続・ロリータ少女をナめてはいけない。
四月八日。
それが今日の日付だ。
今日は沙庭総合術師学園高等学校の入学式の日だ。昨日は街が水没するかっていうくらいの大雨だったが、今日の朝は街が干からびるかっていうくらいの素晴らしい晴天だ。
まさに入学式日和。
だが、一つ疑問がある。
普通、入学式などの行事は週の最初の平日、つまり『月』曜日に行うものではないだろうか。
では今日の曜日は何だ?と聞かれたら誰もがこう答えるだろう。
「『日』曜日だ」と。
☆
「ユキ」
今まで口を閉じて、ただそこにいるだけ的な感じの存在になっていたミウがユキを細目にして見る。
「ん?」
「一つ聞いてもいいですか?」
少々語尾に怒気が含まれている。。
ユキはまたか、とため息をつきながら「いいよ」と答える。
度々、ミウは特殊な属性が発動する。ユキがミウ以外に目を向けること十数分経つと。
「ユキは幼女みたいな女が好きなんですか?身体が小さくて、でも胸の大きい。
ロリ巨乳とかいう意味不明な、ニジオタヒキニートとかの妄想のなかで生きる存在価値のない女が――」
「ん?ウルティアはどうしたんだ、クラウンハート?」
「あー、気にしないで流してもらって構いませんよー」
ユキは疲れて精気の抜けた顔で遠い目をしながら、答える。
かれこれ九年程、ミウはこの調子だが、ユキが中学生になり、思春期に入った頃からもっと酷くなった。毎夜毎夜飽きもせず夜這いをし、学校では授業中以外では片時も離れず、否、離さなさった。
鬱陶しくなったユキは、こっそり自室に結界魔法を張ったが朝は『あら不思議』と言ってしまいそうになる。
いる。いるのだ。ユキが活動する場所に必ずと言っていい程の頻度でいるのだ。一夜にして魔力切れする程の結界魔法を張っても、罠の魔法、罠魔法(そのまんまじゃん!と思うだろうが、名前なんて単純なものだ。気にしてはいけない)を仕掛けても、いる。怖いくらいにいる。
だが、いるだけで何もしようとはしないし、どうしても一人にさせろと言って聞かせれば数日は解放(?)してくれる。もう一度強調して言おう。
『数日』は解放してくれる。
加えて何故だかユキにはわからないが、ユキが十数分ミウ以外と話していると、男子の場合ユキを睨みつけ、女子の場合、今現在のように「こんな女が好みなんですか?」とか「確かに私には胸がないですよ。でもだからって胸の大きさ=女性の価値とは――」その他諸々、ネガティブ発言や罵声を繰り返す。
「クラウンハート、お前も大変だな」
「いえいえもう慣れてヘッチャラですよー」
ユキはアハハと笑いながら言うが、目が笑っていなかった。
「話を戻しますが」
「ん?ああ、そうだったそうだった」
と、何か思い出したような顔をするロリータ(教員)。
「お前らもう帰っていいぞ」
「すいません、話が読めません」
「え?」
「え?じゃなくて――」
「いや、まあ、明日だ」
「何がですか?」
「入学式」
「今日って連絡きたんですが?」
「あー、『がせねた』ってやつだ。私の」
悪びれもなくテヘペロッっとするロリータ(教員)は、一回デコピン程度のことをしてもいい気もするが、顔にはださず、そっとしゃがみ込み、笑顔で――
「ていっ」
「いたっ」
――デコピン。
ユキはそっと立ち上がり「行くよ」とミウに声をかけ、ロリータ(教員)・学校に背を向け、スタスタと歩き出す。その後ろに、ミウが続く。
ロリータ(教員)は、痛む額を擦りながら――
「まだ名を教えていなかったな。私は沙庭総合術師学園高等学校『校長』――テル・アマミヤだ。
覚えておけ」
◇
「ねえ、開かないんだけど。扉」
「ねえ、アカ。今日って日曜日なのに――何で学校来たの?」
「え!?え――――――――――――――――――っ!!!!」




