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夜神が侵した少年少女  作者: (征服したい愛猫家。略して)征猫。
九年前の夜 ユキ・クラウンハート ミウ・ウルティア
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九年前の夜・侵喰

誤字脱字があればご連絡お願いします。

どうぞお読み下さい。

ちなみにタイトルの読み方は月さんの やがみ ではなく よがみ と読んで よがみのおかしたしょうねんしょうじょ となります。

まあ、ぶっちゃけどっちでもいいです。

星暦(せいれき) 443565年 シスイ国 首都イザギミ


「嫌な夢見たな……」


 十六歳くらいの少年は目覚めたばかりの目を擦りながら呟く。

少年の名はユキ・クラウンハート。九年前の悲劇の魔法家(まほうけ)の生き残りだ。

 悲劇の魔法家とは九年前に起きた、一夜にして魔法術師(魔法を専門に扱う技術師のこと。魔法家とは全員が魔法術師のこと)と魔法術師と深い関係を結んだものが壊滅的な被害を受けた夜の名称だ。人口約五十億二千三百万人のなかの、約二億四千五百万人いた魔法術師は一夜にして、約二千三百万人ほどとなった。

 九年経った今でもまだ約三千万人ほどだ。理由は魔法は一・二を争うほど血筋が必要となる技術だからだ。魔法とは使用者の生命エネルギー、魔力(マナ)を消費するのと引き換えに強力な現象を起こす技術だ。

 魔力(マナ)は全人類が持つわけではなく例外除いて、代々魔法家の家柄のものしか魔力(マナ)を持っていない。

ゆえに、どれだけ魔法の知識を得たところで、魔法の動力源である魔力(マナ)を持っていなければ魔法を使用することはできないし、魔法術師になることもできないため、なかなか数が増えないのだ。


 そんな貴重な魔法術師の彼がいるのは学校の寮である。

「はぁ…またかよ……」

 ユキは寝ていた身体を起こし、深い溜め息をつく。

理由は目が覚めたら自分の隣に美少女さんがすぅすぅと寝息をたてているからだ。

 美少女の名はミウ・ウルティア。彼女もまたユキと同じく九年前に起きた、悲劇の魔法家の生き残りだ。だが、少し彼女は他の魔法家とは違う。

彼女の家柄、ウルティア家は代々ユキの家柄、クラウンハート家に仕える異色の魔法家だった。そんなウルティア家に生まれた彼女が仕えたのが、ユキだった。

 そしてユキと彼女がもうすぐ七歳になろうとしていた頃、悲劇の魔法家は起きた。

「ったく…ほら起きろ!朝ですよー!聞こえてますかー?」と言いユキはミウの身体を揺らす。するとミウは目を覚まし、目を擦りながら身体を起こした。

「んっ…もう朝ですか……ふわぁ」

「あのなぁミウ、当たり前のように毎朝お前をベッドの上で見るんだが……」

「そんなの私が毎日夜、ユキのベッドのなかに入るからじゃないですか。馬鹿ですか?」

「馬鹿はお前だ……ってうお!!」

ユキは呆れた表情で答えると、鼻と鼻が触れるほどの距離までミウはユキに顔を近付けていた。

「ユキ…顔色悪いですよ?具合悪いですか?」

「え?あ、いや。ただ嫌な夢見ただけだよ」

「もしかしてまた……」

「ああ。またあの日の夢さ……」





星歴 443556年


 ある貴族のやかたの庭の中心に幼い女の使用人と、幼い少年が立っていた。二人の年齢は共に7・8歳前後。

『ねぇ、ミウ。あれ何?』

『申し訳ありません。私にもわかりません』

 二人が見ているのは、目の前の人。人では無いかもしれないけれど、二人には人に見えた。その人の様な者は、全身が黒い煙の様なものに覆われていて、顔は確認できない。

 常人ならその人の様な者を見て多少恐怖か何かするだろう。だが、まだ幼く好奇心旺盛な少年には面白可笑しく思えた。

『凄い!何か凄い!触ってみよ~♪』

 人の様な者はただそこに立っているだけで、何もしようとはしていなかった。少年は腕をのばし、人の様な者に触れようとした。

『いけませんユキ』

 当然使用人は止めた。何かわからない者を、自らの主に触れさせるのは色々と問題があった。それに万が一のことも考えてのことだった。

『大丈夫だって!』

『あっ、ちょっ……』

 それでも少年は触れようとした。いや、触れた。何も考えず、好奇心に身を任せて。それがある意味での少年の終わりで、ある意味での少年の始まりだった。

 最初は好奇心で触れてみたものの、なんの感触も無かった。

『ほら大丈夫だよ!けど何も無いみたい…』

『はぁ…もう抜いて下さい』

『わかったよ……あれ?』

 少年は言われた通り腕を抜こうとした。だが、抜けない。何度引っ張っても、どれだけ力を入れて引っ張っても依然抜ける様子はない。

『あれ?あれれ!?どうしようミウ!』

『どうしようと言われても……』

 逆に引っ張られていった。どんどん腕が黒い煙に飲み込まれていく。

そこで初めて少年は悟った、この世には触れていいものと悪いものがあると。そして少年は気付いた。この人の様な者は自分を引き込もう、としているのではない。自分と融けようとしているのだと。今この人の様な者を自分から引き離さなければならないと。理由は簡単。ただ自分の頭がそう言っているように思ったから。

『引き抜くからミウも手伝って!』

『しょ、承知しました』

『何でこーゆーときだけ……!まあいーや!』

 少年は使用人の発言に少々苛立ったが、今は腕を抜くことが大事だと思ったのでそのまま流した。

使用人は言われた通り少年の腕を両手で握りしめ、力いっぱい自分の持てる最大限の力を使って思いきり引っ張った。少年も思いきり引っ張るが依然抜ける様子が無く、焦りだけが増していく。

『あっ……』

『どうしたの!?』

 使用人が突然声を上げ、使用人に目を向けると、黒い煙が使用人の腕にまでのびていた。そのまま二人はどんどん飲み込まれていく。

『何だよ!これ!!』

 少年は荒く声を上げるが、それは何の意味も無くただ飲み込まれていく。ついには身体全体が飲み込まれる。

 少年の意識が遠のいていく。目の前が真っ暗になり、耳は何かで栓をしたかの様に何も聞こえない。

(今、ミウはどうなって……)

 少年は最後に思ったことは自らの使用人のこと。物心つく頃から一緒にいて、面倒を見てもらっていた女の子。自分と同じくらいの年なのに、どこか雰囲気は大人びていて。やっぱり中身も大人びていて。でも少年は知っていた。彼女の弱さを知っていた。

(だから……)

 少年の意識はここで一度途切れた。

お読みいただきありがとうございます。

すんごい、ちょくちょくやって更新していきますのでお読みいただけると……マシンドールのed全部一気に歌えるようになるかと思います。

嬉し過ぎて。

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