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第一話:いや、戦わねぇよ

※既に完結しているので、最後までお読みいただけます。基本的に夜の10時頃に投稿することが多いです。念のためブクマして頂けると幸いです。

もし読んでみた結果「超くっっだらねーわ!」と、時間を無駄にしたと思われましたら、罵詈雑言すらも抱きしめる用意はあります。

目を覚ました途端、強烈な光が目に飛び込んできた。


(眩しい!)


思わずその眩しさに、目を閉じた。

──少し待つと、光の強さが落ち着いた。


「……な、なんだ、ここは?」


夢? にしては、鮮明すぎるし……。

俺は辺りを見渡した。

どこかの部屋にいる気はする。しかし、見上げても天井はなく、足元には床を踏みしめている感覚がない。


「気づかれましたか?」


突然、背後から女の声がした。

振り返ると、そこに金髪の美人が立っていた。

女はギリシャ神話のような薄いドレス一枚だけ。俺がよく読んでいる「異世界漫画の表紙」のように、やたらと露出度が高い。


(てか、胸! でけぇーな!!)


思わず、食い入るように眺める。

いや待て待て! 初対面でそれは流石に恥ずかしいだろ──と視線を逸らすも、気づけばまた巨乳に目が行ってしまう。


白い謎空間に、巨乳ムチムチの金髪美女って、どんだけテンプレだよ! これで『はじめまして、私は女神です』とか言い出したら笑ってしまう。


「はじめまして。私は、この世界のことわりを司る女神です」


(!)


「……あ、はいはい。出た。やっぱりこの流れね」


俺は納得したフリをした。が、もちろん本心からではない。冷静な思考がすぐに訂正を入れる。


「──いや待て待て! そんなんで納得できるかーい!! つーか、なんでこんな状況になってんの! ドッキリかなにか?」


当然の疑問だ。誰がそんな荒唐無稽な話を信じると言うんだ!

しかし女神は、俺の疑問を完全にスルーして、悪びれる様子もなくこんなことを告げた。


「突然ですが、あなたはこれから、異世界へ送られる予定になっています」


「はああ!? なんだそれー!? つか、今、しれーっと『予定』とか言ってなかった? ね、言ってたよね? そもそも俺に拒否権はねーのかよ!」


「私の言うことを、信じていただけませんか?」


「そんなすぐに、理解できるやつなんて、普通いねーだろ!」


と言いつつ、俺の大好きな異世界ハーレムアニメだと、皆一様に、状況を受け入れるのがケトル並みに早い。人生で百回は怪しい詐欺に引っかかるレベルで、二言目ふたことめにはもう信じ込んでいる。


でも、俺は騙されないからな!


「ね? カメラどこ? どうせスマホなんかで撮影してるでしょ?」


俺がそう言うと、女神は「はぁ…」と、ため息をついた。


「皆さん、最初はそう仰います」


「あ……言うんだ?」


「はい。現実的に見て、このような果てしなく、ただ白いだけの空間なんて、そちらの世界には存在しないでしょう?」


俺は、再び周囲を見渡した。

今度はじっくりと──。

どこまで見渡しても、全てが均等に白く、継ぎ目も影も見当たらない。目を凝らしても、壁や天井の「終わり」を示す境界線が一切ない。


確かに、ここまで徹底した『白』は人工物でも無理だろ。CG加工でも、こんなに空間は作れない。

もしこれがドッキリやイタズラだとして、ここまで精密なセットを組む意味があるのか? しかも俺一人のために……。


その異常さに、俺は納得するしかなかった。


(まあ…そりゃ、そうだよな)


「そっか……」


「ね?」


(『ね?』じゃねーわ!)


「まあ……大体は把握できました」


(不本意ながらね……)


「よかったです」


女神はホッと息をついた。


だが勢いに負けて、半ば納得しかけた──その時! 俺の「やろう脳」だけは”ある事実に”敏感に反応していた。


因みに「やろう脳」とは、小説家しょうせつけ野郎やろうという小説投稿サイトの偏った思考スタイルのことを指す言葉だ。つまり=俺!


「てかさ、本来、召喚って召喚士とかの仕事じゃね? 異世界側がする儀式だよね? なんでそれを女神が直々にやってんだよ! おかしくね?」


それを聞いた瞬間、女神は露骨に目を泳がせた。


「え、ええっと……その……。はい、色々ありまして……」


(いや、ぜってぇー裏があるよね!)


俺の”やろう脳”が「まだ進むな!」と うるさいほど警笛を鳴らしている。


「で、俺は死んだの? 転生? 転移? 目的は?」


「!? あ、それはですね! あ! ……それより早くスキルを授けなきゃ!」


(なんでこの女神、こんな焦ってるんだろう……)


女神はサッと杖を取り出し、やたら急いだ口調で話を続ける。


「強力な力を授けます『あなたにも戦える力』を……」


「いや、戦わねぇよ」


「……へ?」


「勝手に呼ばれて、戦って死んだら意味ないし。知らない世界のために命張るとか割に合わねーし……」


俺ははっきり、明確に断言した。


「どうせ、黒くて、デカくて、角生えた、黒タイツ野郎と戦えってことだろ? だよ、そんなの。リスクに見合わないもん。元の世界に帰してくれ」


女神は申し訳なさそうに俯いた。


「帰す方法は……ありません。召喚はできても、帰還のすべは……」


「ほら来たよ理不尽テンプレ! 召喚はできても帰せないって、マジで無責任の極みじゃん! 炎上案件だよ」


「本当に……本当にないんです。唯一、魔王なら方法をご存知かもしれませんが……」


「魔王!? はいはいはい、そうきますかぁー? そーなっちゃいますよねー!? はいそれテンプレ!! なんで召喚した本人じゃない魔王が、そんな都合よく帰す方法だけ知ってるんだよ!」


女神は小さく肩をすくめた。

申し訳なさそうというより、精神的に疲弊している感じだ。


「……なあ。なんで俺なんだ? 俺よりもっと強靭な肉体とか、高い戦闘スキルを持った奴、他に居ただろ」


女神の顔色が一気に曇った。


「前の勇者様が……少し、いえ、かなり強すぎまして……」


「ほう……」


「その……『俺は神にも勝てる!』などと仰りだして……結果、神々の逆鱗に触れてしまって」


「ああ、やらかしてるねェー、前任の勇者ちゃん」


そりゃ神に喧嘩売ったら、勇者適性ゼロだろ。

他人ひとの不幸話と、自意識過剰勇者が「ざまぁ」される様が大好物な俺は、興味津々で話の続きを促した。


「それでそれでー、どうなったの? そいつ」


女神は続ける。


「それで神様から『チート過ぎない勇者を召喚しろ』と厳命されまして……。本来なら『そこそこ強い』方が来るはずだったのですが……」


女神は、気の毒そうに眉をひそめ、俺のことを指さした。


「召喚の結果……あなたが……」


実に残念そうな顔だ。


激弱げきよわ! って言いたいんだな?」


女神は無言で頷いた。

まあ、否定はできない。俺の現実的な判断も同じだ。


「だからといって、同意なく勝手に呼び出しといて、危険な戦いを強制するのは身勝手すぎない? 俺は戦う気ないし、スキルとかマジでいらないからな」


そんなもの授けられた日には──それこそ、どんな要求を飲まされるか、分かったもんじゃない!!


「い、いえ、ですが! あなたは異世界を舐めすぎです。このまま転移させると、あなたは即死します! 危険すぎます!」


「じゃあ帰してよ」


「帰せません!」


堂々巡りだった。

それから何度か押し問答を繰り返し、最後は観念したように折衷案を出してきた。


「わかりました……あなたの言う通り『戦う系』のものは避けます。ですが……せめて、本当にせめて、生存率を上げるものだけは……」


女神は、焦った様子で杖を握りしめた。

その疲弊した姿は、高位の神というより、カスハラを受けるコンビニ店員のようだ。


(俺はカスハラなんてしねーけどな!)


「では……こちらを……!」


杖の先から、強い光が溢れる。


「あなたに授ける加護は──『現実主義』です!」


「……何それ」


「そのォ……えーっと『事象を極端に偏らせない』力でして。世界を公平に観測し、敵味方の極端なステータスの偏りを……その、調整したり」


正直、何言ってるのか全然分からない。

まるでAIの回答のような曖昧さだ。説明が詳しい割には、結局なにが言いたいんだか一向に伝わってこない屁理屈。(チャッピーのように……)


「じゃ、準備しますね! すぐ転移させますから!」


「いや、だから戦わないって言っ──」


「いってらっしゃい!!」


有無を言わさぬ、雑なノリ。


強烈な光が、俺を包み込む。

視界がかすむ。移転がはじまったようだ──女神が大声でなにかを叫んでいる。


「着いたら必ず! まず、ク──」


そこから先は、光の轟音でかき消され、聞こえなかった。


(おい 一番大事なとこ、言えてないだろ!)



気がつくと、石畳の上に立っていた。


王都のど真ん中。

ざわめく人の声、屋台から漂うスパイスの匂い、あらゆる現実感が一瞬で押し寄せてくる。


(……マジで転移しちゃったよ)

平均すると1日3話ペースで投稿していますので、読み進めていく過程で、最新話に追いつけなくなってしまう事もあるかもしれません。しかし、既に完結はしていますので、どうぞ読者様の無理のないペースで完結までお付き合いいただけると幸いです。一応ブックマークしておいて、あとから、最新話を追えなくなったり、飽きてしまったり、嫌いになった時にブクマを外す、という使い方もありますよ?

余計なお節介でしたら、すみません。

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