105話 海③
「これは~シュライムだね~」
噛んだのかと思ったらシュライムと言う名前だそうだ。海月ではなかった。
「触手が付いているから~触手のスライムでシュライム~毒は持ってないよ~」
スライムの仲間だからライムと遊んでいたのか。海で泳ぐのに邪魔だから、どうにかしようと考えていたのだが、ライムと一緒に浮いているのならば追い出さなくてもいいだろう。
ユージはビーチバレーのボールとして使っていたシュライムを海に還す。
「実は……私、泳げない。」
「私も!」
「じゃあ、私、練習付き合うの!」
ツキはななしの姉妹の手をとると、下半身が浸かる位の深さの所まで連れていった。ツキはそこで手を放すと、一人で泳ぎ始めた。どうやら泳ぐところを見せることで泳ぎ方を教えるつもりのようだ。
ユージは彼女達を見ながら、ライムの側でシュライムを使って浮き輪を作り始めた。シュライムの触手同士を絡ませて、ほどける事のないようにしっかり結ぶ。あとでほどけるようにはしてあるけれども。
プカプカ浮いているシュライムは浮き輪にはもってこいだった。独特なさわり心地なのはご愛敬である。
ユージはシュライムの浮き輪を2つ作るとそれぞれななしの姉妹に渡した。ライムは一緒に浮かんでいる仲間が減ってしまって少し寂しそうにしていたので、ユージはななしの姉妹に、泳げるようになったら返してもらう事にした。
「じゃあそろそろ帰ろっか。」
ななしの姉妹はあれから練習して泳げるようになっていた。ステータスは普通の人と比べれば圧倒的に高いので、一回コツを掴んでしまえば、あとはスイスイと泳げるようになっていた。そしてライムにシュライムを返した。
ライムはずっとシュライムとプカプカ浮いていただけだったが、本人が満足そうだったので良かった。
ユージが流れるプールを教えるとナナが「面白そう!やってみる!」と言って、スキル≪水操作≫で流れるプールを作ってしまったのには驚いた。
「はぁあーっ、疲れたの。今度はピィとリアと一緒に来たいの!」
ピィは仲間ではないとはいえ、しょっちゅう一緒にいるので参加することが出来るかもしれないが、リアはスキル≪変化≫の効果が長く使えるようにならないと参加は難しいだろう。それでもやはり海に行くのならば、大人数の方が楽しい。
ユージはリアやピィとも一緒に海に行く事を想像しながら宿に帰る。明日は買い物をするつもりだ。




