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光の杖のアルス  作者: 伏神とほる
第2章 聖なる森アシュヴァルト
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第6話 神樹族からのお願い

【前回までのあらすじ】


アルスは王家に代々伝わるというダイヤモンドを渡される。

しかし宝石を手にしたとたんに、宝石は宝杖に姿を変える。

アルスは世界を救うために神に選ばれた“光の使者”だったのだ。

そこで世界中に散らばる5つの宝石を集めるため、ラオンダール帝国に協力を仰ぐことになった。

 長老の後に続いて来た道を戻ろうとした時、アルスは誰かに呼びかけられた。


〈…ス。アルスさん〉


 気のせいではなかった。確かに聞こえている。

 しかし、誰の姿も見当たらない。


〈アルスさん。聞こえますか? 私は神樹ユグド族のアンジュといいます〉


神樹ユグド族!? ……はい、聞こえます、アンジュさん。

あなたはどこにいるのですか」


 アルスは周りをきょろきょろ見渡した。サラサラサラ……と風で葉がこすれる音がした。


〈ふふふ。私は今あなたの右隣におりますわ〉


「僕の、隣? 」


 そこには太い幹のトネリコの木があった。いや、もしかして……。


「もしかしてあなたはこのトネリコの木ですか? 」


〈ええ、そうです。神樹ユグド族は“世界樹”を守るため、木の姿をしていますから。

あの宝石を手にされてから、私たちの声がはっきり聞こえるようになられたと思います。

あなたとお話ができて嬉しいです! 〉


「僕の方こそ、あなたとお話ができて、なんというか……すごく光栄です」


〈ふふふ。私だけじゃなくて、周りの木々もみんな仲間なんですよ。ほら、みんなも話したら? 〉


 アンジュに(うなが)されてか、急に周りの木々が騒がしく枝を動かし始めた。


〈僕はオランジュです! 〉元気よく枝を振り、葉が何枚かヒラヒラと落ちてきた。

〈あたしはルージュよ〉礼儀正しそうな印象で、枝もシュッと伸びていた。

〈ジュノーです。よろしくどうぞ〉みんなから好かれる性格なのか、鳥が数羽集まってきていた。

〈ジュディです。ほんとにお話できるのね。夢みたい…… 〉恥ずかしがり屋のようで、他の木に隠れるように立っていた。


「すごい。本当に神樹ユグド族の方って、見た目は木なんですね…… 」


〈私たちと会話ができる人は限られててね。普通の人はまず聞き取れないみたいなの〉


 アンジュが寂しそうに言った。


〈ほんと。話せるのってエルディシアの王様たちくらいよね。みんな優しくていい方ばかりだったわ〉


 ルージュが過去を思い出しながら言った。


〈あれ、昔ここに来た旅の人も僕たちと話せたよね。あれどこの国の人だったかな〉


 オランジュがうーん、とうなった。


〈そんな人いたの?私が生まれる前かなあ…… 〉


 ジュディはどうやらまだ若い木のようだ。


〈ねえ、アルスさん。長老様に代わって1つお願いがあるんです〉


 アンジュが言った。


〈長老様には2人のお子さんがいらっしゃるのですが、2人ともここを出て行ったきり戻ってこないんです。

双子の兄妹(きょうだい)なんですが……。

空を旅する鳥さんたちに捜索(そうさく)をお願いしても、全然見つからないようなんです。

もし各地を旅する中でお会いしたら、ここに戻るように伝えてもらえないでしょうか? 〉


「わかりました。それらしい方を見かけたら、声をかけておきましょう」


〈ありがとうございます。あなたの旅に、光の加護があらんことを…… 〉


◇◇


 アルスがその場を離れると、長老が少し先で待っていてくれた。


「すみません。神樹ユグド族の方々と話をしてました」


「みんな、いいやつじゃったろう」


 長老がゆっくり歩みを進めた。


「はい、いい方たちでした! 」


「家についたら、昼食にしようかの。

その後は“白い森”を案内しようか。“白い森”のみんなも、お前と話がしたくてたまらんようじゃ」


 アルスと長老は深い霧の道を戻り、長老の家に戻った。


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