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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第五章 突入。魔王城!

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第173話 訪れた決着

リュウト・ロリエ・ジャード VS. バリオルグ戦


クライマックスです!

 魔王軍の幹部の一角にして、最強戦力と称されるバリオルグとの戦いはピークを迎えようとしている。


 立て直したジャードの勢いそのままの唐竹割りはバリオルグの握るグレイブで防がれ、返す刀で薙ぎを放たれる。


「オォオオオッ!」

(何度も同じ手は喰らわねえ!)

「ハァアッ!」

「カァアアッ!」


 頭部を狙った横薙ぎをジャードは盾で受け止め、バリオルグが追撃として放ったグレイブの石突による下段打ちを、紙一重のバックステップで回避した。

 その光景を見て、ジャードはこの極限状態の中で、確実に成長している。

 人類から見ても規格外に片脚を踏み込んだ相手と刃を交え、その理不尽なまでの武技を見て適応し始めているのだった。


「ロリエ!」

「ルクシオンヴォルト!!」


 ジャードが作り出した一瞬の隙にロリエの詠唱が突き刺さる。

 彼女の杖から放たれたのは超高密度の魔力を凝縮した紫電の奔流であり、それは音速を超え、バリオルグの胸元へ直撃した。


「なっ!?ぐぉおおおおお!?」


 堅牢な魔力の甲冑を貫かんばかりにバリオルグの体躯を激しい電光が焼き尽くす。

 持ち堪えてはいるものの、その表情から余裕が消え失せるのを俺は見逃さなかった。

 だが、代償は大きい事を示さんばかりにロリエの顔には死相に近いほどの疲労が浮かび、肩で激しく息を切らしている。


「くぅ……っ!」

「小賢しい真似を!まずはその魔導師の首から撥ねてくれるわ!!」


 怒りに任せんばかりにバリオルグが標的をロリエへと切り替えた。

 グレイブを上段に構え、必殺の突進を仕掛けようとしたその時。


「氷の精霊よ。我が持つ矢に万物を凍てつかせる息吹を……」


 静かな詠唱と共に矢の先端に淡い水色の気流が渦巻き、極限まで圧縮された凍てつく空気が結晶化させた“氷結の矢”二本を速射する。

 放たれた二本の蒼い矢の内、一本はバリオルグの左肩に、もう一本はヤツの足元の地面に突き刺さった。


「グゥウウウッ!」


 パキパキパキッと耳障りな凍結音が辺りに響き渡る。

 肩を貫いた矢から冷気が広がり、筋肉の組織を瞬時に凍てつかせ、足元に突き刺さった矢から氷の牙がせり上がり、バリオルグの足を地へと縫い止めた。


「やったか……!?」

「舐めるなぁああああああッ!!」

「「「なっ!?」」」


 絶叫と共にバリオルグの全身から火山のように爆発的な魔力が吹き上がった。

 それは漆黒のマグマのような禍々しい力と現わさんばかりに奴を縛っていた氷の牙は粉々に粉砕され、傷口を凍らせていた冷気さえも、その熱狂的な圧力によって吹き飛ばされた。

 バリオルグの瞳は一介の存在と一線を画さんばかりに理性のタガが外れた獣のような形相に変わる。

 自らの身を削り、魔力を暴走させることで限界を超え狂戦士のように……。


「……受けてみるがいい!塵一つ残さず、消し飛ばしてくれるわ!!」


 バリオルグがグレイブを大きくも、あまりに巨大な円を描くように振り抜いた。


「黒流旋牙・超乱爆!!」


 それは技というより、局所的な天災だった。

 漆黒の衝撃波が不規則な軌道を描いて撒き散らされ、辺りに映る何もかもを紙細工のように容易く砕け散っていく。


「ぐぅ、うっ……!」

「オォオオオッ!!」

「ハァアアアッ!」


 ジャードが盾を構えて衝撃を逃がし、彼に守られているロリエが魔力を振り絞ってマテリアルウォールを展開する。

 その防御の隙間からねらいすますかのように俺は三本の矢を同時に番えた。


――視える。


 荒れ狂う漆黒の奔流という中の複雑に絡み合う魔力の糸の中に一点だけ、不自然な淀みを見つけた。

 バリオルグの不完全な身体捌き、奴が肩の負傷を庇い、身体を捩じるその瞬間の継ぎ目。


「ガァアアアアアアッ!!」

「……ッ!!」


 奴はグレイブの柄を縦横無尽に操り、自身に降りかかる攻撃や脅威を散らさんばかりに跳ね返す。

 それは虚空へと消えていくことを知りつつも、気づいていなかった。

 三本に束ねられたその矢がただの矢ではないことを。


「むぅう!?……貴様ぁあッ!」


 バリオルグが捉えたのは弾き飛ばした最後の矢の陰から、三本の矢を手で握ったまま肉薄する俺の姿だった。


「覚悟しやがれぇえええええ!!バリオルグッウウウウウッ!!」

「ヌォオオオオオオオオオッ!!」


 俺は三本の矢を束ねたままに魔力や体重、そして仲間の想いを一点に集中させ、奴の身体の中心へと穿つのだった。

 バリオルグの絶叫が空間そのものを震わせた。

 俺が突き出した矢の束は塗り尽くさんばかりの黒い魔力の壁を貫通し、最終的にはその魂の芯を確かに、深く貫き通した。


「ガァア……アアア……」


 バリオルグは身体から不気味な光の粒子を散らしながら倒れ伏していくのだった。


 手応えは確かでありながら、勝利を確信しながら……複雑な表情を浮かべる俺をよそにしながら……。

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