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ブラックな冒険者パーティを脱退した俺は自由気ままに誰かの役に立ちます~このレンジャー、いろんな意味で凄かった件~  作者: カワチャン
第三章 魔王軍との戦い、本当の意味での死地へ

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第120話 一時帰還

リュウト・シャーロット・メリスの三名がエレミーテ王国に(一時的だけど、)帰還します!

 翌日。


 視界がパチリと弾けるような白い閃光が一室に瞬いた。


「帰って来たな」

「帰って来たわね……」

「帰って来ましたね……」


 俺たちが今いるのはエレミーテ王国の王宮にある一つの部屋だった。

 無機質でいながら、どこか神秘的な魔力を感じさせる球体があることを除けば、石壁で覆われた殺風景極まりない場所だ。

 俺とシャーロット、メリスは前日までいたフォーペウロからエレミーテに場所を移している。

 フォーペウロの女王陛下であるエリザナ様のご厚意で丸い水晶のような形をした転移する魔道具の使用を許された。

 その転移先とリンクしているのがこの部屋だ。


「……なあ。俺たちだけこうして戻ってきちゃうのも、なんだか落ち着かないな」


 ふと、胸に刺さったままの小さな罪悪感を口にする。

 フォーペウロにはまだ戦いの傷跡が少なからず残っているけど、ロリエとジャードを置いてきた。


「もう、リュウト。それくらいは良いと思うよ。この三人で一時帰還するって、五人で話し合って決めたことじゃない」

「そうですよ。ロリエさんもしばらくは魔力の回復や魔法の開発に専念したいって仰っていましたし、ジャードさんも行って来てもいいって送り出してくれたじゃありませんか」

「……まあ、そうなんだけどな」


 メリスの優しいフォローに俺は少しだけ肩の力を抜いた。

 今回の一時帰還は単なる里帰りなどではなく、果たしておきたい目的が三つある。

 一つ目は魔王軍との戦況報告。

 俺が勇者パーティに加わって以来の進捗、特に幹部を合計三名の討伐という戦果は今後の戦略を左右する極めて重要な情報だ。

 騎士団が総動員で動くべきか、あるいは今の遊軍形式を継続すべきか、ルーフェン国王陛下との意識共有は今後の魔族領侵攻において不可欠なプロセスだった。


「ジャードの奴、盾がないと借りてきた猫みたいにソワソワしてたからな。なんとかして、あいつが満足する防具を見つけてやりたいな」

「フォーペウロの城下町にも良い店は多いって聞いたけど、エレミーテでもあいつに相応しい防具が見つかるかもしれないからね。陛下とも相談の余地はあるはずよ」


 二つ目は、ジャードの新しい盾を探し出すことであり、これが一番の問題かもしれない。

 先日、俺たちは魔王軍の幹部であるシェリーやメルミネたちと交戦した。

 その時の死闘でジャードの愛用していた盾は再使用不可能な金属の塊と化した。

 それは魔王軍の幹部や敵の猛攻を受け止める盾はそこら辺の武器屋で簡単に見つけて手に入るような代物じゃない。

 これから先のことを考慮しても、その同等かそれ以上のモノを用意できなければ、この先に控えているだろう過酷な戦いを切り抜けるにはスルーできない要素だ。

 見つかるといいんだけど、果たしてって思うのが本心だ。


「少しは休むのもいいかもしれないしね」


 三つ目は休息だ。

 死線を潜り抜けた俺たちの精神は自覚している以上に摩耗している。

 ほんの数日でもいい、戦いから離れて心を整える時間や機会はどうしても欲しかった。

 フォーペウロに残っているロリエとジャードもやれることをやりながら身体を休めるようにと伝えてあるから、エレミーテに戻って来た俺たちもできる限りリフレッシュできればと思う。


「よし。まずはルーフェン国王に一時帰還と戦果を報告しに行きましょう」

「おう!」

「はい」


 シャーロットの言葉を受け、俺とメリスは頷いた。


◇———


「そうか……。いよいよ、魔族領へ……そして、敵の本丸へ足を踏み入れるのだな」


 俺たちはルーフェン国王陛下の私室に赴いており、旅立ってから現在に至るまでの過程について報告している。

 そこには帰還を知らされた俺の上司でもあるモーゼル隊長とソフィア副隊長もいる。

 今の状況を知った国王は噛みしめるように呟いた。

 特殊な通信用魔道具を通じて、一時帰還することや今後どうするかの概要をエリザナ様から聞いたのか、それほど驚いてはいなかった。


「はい。手筈が整い次第、魔族領へ向かいます。……準備には最短でも三日はかかるかと」

「ふむ。して、一時帰還の理由は戦果の報告だけではあるまい。殊更に神妙な面持ちなのが気になるが……何か不足か?」

「はい、実を申し上げますと、ジャードのことで少々……」


 王の鋭い慧眼に見透かされ、俺たちはジャードのボロボロになってしまった盾について切り出した。

 これからの魔族領での戦いが更に過酷になるのは想像に容易い。

 一瞬の油断が全滅を招く戦場で盾役の防具が心許ないのは致命的だ。


「……なるほどな。確かに、今のままでは勇者パーティ全員が死神に背中を預けているようなものだな」

「はい。不躾なお願いとは存じますが……」

「案ずるな、事情はよく理解した。彼が振るっていた名品と同等、いや、それを凌駕しうる品を用意させよう。数日だけ待つがよい」

「ありがたきご厚意、感謝いたします。必ずや結果でお返しいたします」


 国王陛下の快諾を受け、俺たちは胸の内で小さく息を吐いた。

 これでジャードの防具に関連する憂いはなくなる。

 国王陛下は窓の外に広がる王都の街並みに目を向けた。


「それで、最低でも三日は休息に当てるようだな」

「は、はい……」

「わずかな時間ではあるが、その間に見知った者たちと顔を合わせてくると良い」

「よろしいのでしょうか?」

「会わせておきたい者との時間は貴重だ。しっかりとその者とのひと時を楽しむと良い」

「ありがたきお心遣い、感謝いたします」


 シャーロットに続く形で俺とメリスは頭を下げる。

 俺が勇者パーティの一人になってから数ヶ月経ってはいるけど、その間、遊軍調査部隊の面々やかつての冒険者仲間であったリリナとはそれから会えていない。


 歩んで来た旅路がいろんな意味で濃かったせいか、どういう感覚なのか?どんなリアクションを取られるのかなって不思議と考える俺なのであった。

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