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黒耀の瞳、翡翠の涙  作者: 石崎 英


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22/22

22.これから

 ――昨日の皆既日食は生憎の雨と重なって、うまく観測できなかった地域も多かったようですが……

 リビングにニュースの流れる中、逢沢家は各々が平和にくつろいでいた。

「ううん……」

「どうしたの、シウ?」

「いや……少しな。日本に帰化できないか、資料をあたっていたところだ」

「そうなんだ。それで、どんな感じなの?」

「うむ……結構条件が厳しくてだな。ここに『特定の犯罪組織と関りがないと裏付けがとれること』とあるんだが。戦士でつくっている集団がそれと混同されるかもしれない……とか、懸念点がいくつかある」

 シウは書類をまとめながら、溜め息をついた。

「現状、催眠暗示の得意な”魔術師”が何人か所属していて、公文書で問題になりそうな部分があったらそこを幻術で改ざんしたりしていたんだ。その手がどこまで通用するか、ちょっと怪しくてな」


「ふぅん……あ、そうだ。わたし、進路決めたんだよ。進学する」

「そうか。何を勉強するんだ?」

「うん……スペイン語」

 ほんの少しだけ、シウの表情が変わったような気がした。こちらを見つめるシウの瞳が、明るく晴れやかに輝いて見える。

「国際交流学部ってのがある大学にしようと思ってるの」

「そうか……」

「シウもヨァルも日本語上手だから、そのままでもいいかなって思ったけど。せっかくだし」

 微笑みながら水緒は話を続ける。

「――それに、日本に帰化するとメキシコ国籍を捨てないといけないけど、メキシコのほうは二重国籍OKなんでしょ? なら、わたしがメキシコに行くっていうのもありかなと思って」


「いやぁ、俺は日本のほうが住みやすくていいかな~と思うぜ? 頑張って日本国籍取りにいきたい」

「ヨァル……そんなに日本、気に入ったの?」

「そうだな……もう少し〈アシ・アシ〉の店長に相談しよう。やはり彼が一番、頼りになる」

「だれかー、お餅切るの手伝ってー」

「あ、はい! 今行くよ」

 夕餉の匂いが、リビングに漂っていた。


〈完〉

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