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船讐  -空飛ぶ船から始まった物語-  作者: 梅犬丸
第一部 船編・獣国編
39/63

それぞれの目標

ギルドの食堂に入ると、昼時を過ぎていたせいか、そこまで混雑していなかった。木製のテーブルが並ぶ広い空間には、ところどころで酒を飲む冒険者たちの笑い声が響いている。


「適当に座れよ。」


セナがそう言って空いている席に腰を下ろすと、カナトも無造作に椅子を引いてどかっと座る。キティンはすぐに店員を呼び、適当な料理を頼んだ。


「で、カナト。お前、本当に隣の大陸から来たのか?」


セナが向かいのカナトをまじまじと見ながら尋ねると、カナトは軽く肩をすくめる。


「ああ、本当だ。こっちの地理も人もよくわかんねえしな。まあ、鍛治屋の家に生まれて、ずっと鉄と向き合って生きてきたんだけど……色々あって、流れ着いたって感じだ。」


「色々?」


「まあ、そのうち話してやるよ。」


そう言って、カナトはちょうど運ばれてきた料理に手を伸ばすと、手を合わせて「いただきます」と言い、そのまま豪快にかき込んだ。


「……お前、行儀悪いな。」


「腹減ってんだよ。文句言うなら、お前も食え。」


「はいはい。」


セナとキティンも食事を取りながら、カナトの様子をそれとなく観察する。


この男、少しがさつなところはあるが、悪い奴ではなさそうだ。


「ま、とにかく。俺も旅をする理由がある。だから、お前らの旅に混ぜてもらうのが都合がいいんだ。」


カナトはそう言いながら、空になった皿を置いて腕を組む。そして最後に、しっかりと「ごちそうさま」と口にした。


「それで、お前らの目的は何なんだ?」


セナとキティンは顔を見合わせ、少しの沈黙の後、ゆっくりと答えた。


「俺は……やることがあるんだ。」


セナはぼそっと言うが、それ以上の詳細は語らない。


「私は、一人前の冒険者になりたい!」


キティンは胸を張りながら続ける。


「強くなって、誰からも認められるくらいに!」


「ほう、それは頼もしいな。」


カナトは笑いながら言うと、椅子の背もたれに寄りかかりながら考え込むような顔をした。


「じゃあ、腕試しってわけじゃねえが、まずはクエストでも受けてみるか? 旅に出る前に、互いの力量を知っておいた方がいいだろ。」


「確かに……ギルドの依頼を見てみるか。」


セナがそう言い、三人は食事を終えるとギルドの掲示板の前に向かった。そこには様々な依頼が張り出されていた。


「どれにする?」


キティンが真剣な表情で掲示板を見つめる。


「まずは手頃なやつだな。」


セナが依頼書を眺めながら、ある一枚に手を伸ばした。


「……ゴブリン討伐か。街の外の草原にできた拠点の破壊。最近、数が増えてきて問題になってるらしい。」


「ちょうどいいじゃねえか。」


カナトがニヤリと笑う。


「俺たちの初仕事だな。」


こうして、セナたちは初めてのクエストへと向かうことになった。

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