腕相撲…?
セナとキティンは港町を並んで歩いていた。
「ねぇ、セナ。もう少し海を見てても良いかしら?」
キティンは少し遠くを見つめながら、しんみりとした表情で言った。
「……ああ。」
セナは黙って頷く。キティンの気持ちに寄り添うように、静かに答えた。
「ここから海をずっと眺めてるとね、小さい頃の私とお爺ちゃんを思い出すの。……私、最初は魔法学校に行きたくなかったのよ。でも、お父さんもお母さんも、お兄ちゃんやお姉ちゃんも、みんな魔法学校に行ったって言うから……だから私も行くことにしたの。」
キティンは懐かしそうに微笑んだが、その表情は次第に翳っていく。
「でも、魔法学校に入って三年くらい経った頃、お爺ちゃんの訃報が届いたの。……私、お爺ちゃんともっとこの町で遊びたかったなって。」
彼女の声がかすかに震え、目を伏せる。その胸の奥にある寂しさが、痛いほど伝わってくる。
『キティンにも、そんな過去があったんだな……』
セナは静かに立ち尽くしながら、彼女の言葉を噛み締めた。
「お爺ちゃんが亡くなった時、本当に悲しかった。でも、その時ふと、お爺ちゃんが昔言ってくれた言葉を思い出したの。——『人生は一度きりだ、後悔しないように生きろ』って。」
キティンは目を閉じ、一呼吸おいてから顔を上げる。
「……まあ、お爺ちゃんはきっと、私を励ますために言ってくれたんだろうけどね。でも、私はその言葉を信じることにしたの。だから、冒険者になろうって決めたんだ!」
彼女の目には、確固たる決意が宿っている。
「……良い話だな。」
セナは思わず呟く。キティンの決意に感動し、その強さを感じた。
その時、海辺に一人の老人が近づいてきた。
「若者よ、その決意を貫け。苦難があっても前に進むことを忘れずに。人生は冒険だ。フォッフォフォォ〜!」
「……なあ、キティン。あの人、知り合い?」
セナは困惑しつつ、警戒心を隠しきれずに尋ねた。
「いえ……全然、知らない人よ。」
キティンも不安そうな顔をしている。
「……え? こわ……」
セナは眉をひそめ、そっと一歩後ずさった。
「ごめんね、私の長話に付き合わせちゃって。でもそろそろ帰らないと、本当に真っ暗になっちゃうから。」
キティンは少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「そうだな。」
セナも彼女の気遣いに応えるように、穏やかに頷く。
「なぁキティン、明日どうする?」
「……あんたねぇ、だから明日はモーディのお店に服をもらいに行くんでしょ? 全くもう……」
キティンは呆れたように言うが、どこか楽しげだった。
「あはは、そうだったな。」
セナは笑いながら、そのまま歩みを進めた。
「ふぅ……よぉ〜やく着いた!」
セナは大きく息を吐きながら、安堵の表情を見せる。
「キティン、帰ってくるのが遅くて心配してたぞ。」
アキレアが腕を組みながら言った。
「それはまずいわね……ただいま!」
キティンは少し照れくさそうにしながら、家へ入る。
「キティン、こんな夜遅くまでどこに行ってたんだ?」
アキレアは心配そうに眉をひそめる。
「港の方まで行ってたのよ。」
キティンは大丈夫だと伝えたくて、少し笑顔を見せた。
「そうか……ならいいが。一瞬、人攫いにでも遭ったのかと思ったぞ、ハッハッハ!」
アキレアは安心した顔を見せながら、ホッと胸を撫で下ろす。
「何事なくて良かったわね!ご飯にしましょう!」
カサンブランカがご飯を運んできた
「この匂いは……昨日と同じハンバーグか!」
セナは目を輝かせる。
「やったわね、セナ!」
キティンも嬉しそうに声を上げる。
「いただきまーす!」
みんなが美味しそうに平らげた
食後
「やぁ、セナ君。ちょっと俺の部屋に来てくれないか?」
アキレアがニヤリと笑う。
「……え?」
セナは若干の警戒心を抱きつつも、頷いた。
「セナ君、単刀直入に聞こう。」
アキレアは真剣な顔をして口を開く。
「……なんでしょう。」
「キティンとはどういう関係なんだ?」
「……は?」
「彼氏だよな? そうだよな? いや〜、実はな、家族みんな付き合ってることに賛成なんだ!」
アキレアは興奮気味に言う。
「……盛り上がってるところすみませんが、俺とキティンは冒険仲間です。」
セナは苦笑しながら、事実を伝えた。
「……そうか。なら俺と腕相撲をしよう。」
「いや、何で!?」
「いいから! さぁ、セナ君、腕を置いてくれ!」
「ええぇ……」
セナは困惑しつつも、仕方なく腕を置く。
「よーい、ドン!!」
「うぉおおおお! 妹は絶対にもらってもらうぞぉぉぉ!」
『……なんなんだこの人……』
セナは全力で押し返す。
「ん、力が……!」
ドンッ!
「勝てた……!」
セナは息を切らしながら、ようやく勝利を収めた。
「セナ君……やっぱり君にキティンを……」
「だから何で勝手に賭けの対象にしてるのよ!!!」
ガタッ!
扉が勢いよく開き、キティンが乱入。
「……あれ?」
パシッ!!
「痛ってぇぇぇ……!!」
キティンのビンタを食らったアキレアは、頬を押さえながら崩れ落ちた——。
因みにキュイヴルシープのお肉は後2.3日分ぐらい余ってますよ!このお肉結構常温でも日持ちしていいお肉何ですよね




