船の上1
「セナ!起きて!もうすぐ雲嵐だ、手伝え!」
ティア姉ちゃんの声で目が覚める。夢のことはよく覚えてないけど、変な感じの夢だった気がする。今はそんなことより、嵐が来る前に動かないと。
「はいはい、わかったよ!」
布団を蹴飛ばして飛び起きる。船がぐらりと揺れて、思わず足を踏ん張る。窓の外には鉛色の雲、風がうなる。
甲板に向かって急ぐ。樽が転がりそうで、思わず避ける。肩にぶつかりそうになった船員に「すみません!」と声をかけながら走る。まだ小さいけど、一応手伝えてるつもりだ。
「セナ、おはよう。嵐が近いぞ、早く手伝え!」
カピテラ船長の声。黒髪で筋肉質、頼れる大人。俺も真似して大きく手を動かし、樽を抱える。
「わかった、今やる!」
樽を運びながら、風に煽られてぐらりと体が揺れる。踏ん張りながらも、手は滑らせないように必死だ。ティア姉ちゃんの声が耳に入る。
「遅いわよ、セナ!もっとしっかり!」
「あぁ、わかってるって!」
肩で息をしながらも、樽を次々と運ぶ。14歳の体で精一杯だけど、動ける。まだまだ子どもだけど、船の仕事はちゃんとやる。
[この嵐が過ぎるまで、耐えなきゃ]
ティア・ミーシャ獣人の女性いつもは優しくて船の人気者でもしっかりしてる所もかなり多い、そしてかなり美しい




