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船讐  -空飛ぶ船から始まった物語-  作者: 梅犬丸
第一部 船編・獣国編
11/63

火炎魔法?!

セナは額に汗を浮かべながら、手のひらをじっと見つめていた。

「……はぁ、やっぱり小さいのしか出ねぇ。疲れた……。ちょっと休ませてもらうよ。」


「ええ、いいですよ。」

キティンは微笑んで頷いた。猫耳がピクリと揺れ、彼女はどこか楽しそうに見守っている。


セナが草の上に腰を下ろして目を閉じると、風の流れる音だけが耳に届いた。

その静けさの中で——キティンはふと耳を動かし、わずかな物音を拾う。


「……ん?今のは……?」

彼女は身を乗り出し、周囲を警戒する。


セナは目を閉じたまま呟いた。

「気のせいかもしれねぇけど……一応、気をつけた方がいいな。」


短い休憩を終えたセナは再び立ち上がり、拳を握りしめた。

「よし、もう一回だ。オラッ!」


彼は深く息を吸い込み、手のひらに魔力を集中させる。淡い光の線が描かれ、小さな魔法陣が瞬く。


——ボッ!


小さな炎が生まれ、ふわりと揺れながら辺りを温かく照らした。


「おぉ、いい感じですよ!」

キティンの声は弾み、彼女の瞳に期待の色が浮かんでいる。


セナは汗をぬぐいながら、苦笑した。

「……少しずつだが、掴めてきた気がする。後は……精度だな。」


「なら、もっと大きな火を目指して練習すればいいんです!」

キティンは身振り手振りを交えて励ます。


「よし……やってやる!」

セナは決意を込め、再び両手に魔力を集めた。何度も繰り返すうちに、炎は少しずつ形を成し、赤みを増していく。


——周囲が明るさを取り戻すごとに、セナの顔には確かな自信が戻りつつあった。


だが、その瞬間。

空気の流れが変わる。


背筋に冷たい感覚が走り、セナの集中が途切れそうになる。

「……今の、なんだ?」


キティンは鋭く耳を動かし、炎の明かりの向こうを凝視した。

「……セナ、気をつけて。誰か——来る。」


低い声に緊張が混じる。

セナはすぐに反応し、炎を消さずにそのまま手のひらに集中させながら、闇に視線を投げた。


「……ちっ、さっきの気配か。」


木々の向こうから、確かに近づいてくる足音があった——。

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