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50:災禍と呼ばれしもの・2

 鈍重そうな見た目の地の災禍だが伝説に語られるに相応しい強さを誇り、その頑強さもさることながら、見たこともない武装の数々によるトリッキーな動きにエイミたちも苦戦を強いられた。

 中でも直線的な動きで遠くまで飛んでくる腕は厄介で、後衛のプリエールたちも何度か地の防御壁を作り直す羽目に。


「長期戦は覚悟してたけど……」

「なかなか近づけないし、硬くて攻撃が通らないよー!」


 直接攻撃をメインとする中で特に攻撃力が低いサニーが悲鳴をあげると、彼女の両手に握られた二本の短剣が翠色の雷を帯びた。

 どうやらシグルスが属性付与魔法をかけたらしく、振り向けば彼がふっと口の端を上げる。


「シグルス兄ちゃん!」

「泣き言なんてらしくないな。ケイオスの自動人形と同じならこいつが効くはずだ」


 サニーの攻撃は軽いが、この中の誰よりも身軽で素早い。地の災禍の猛攻をかい潜り、懐に飛び込んで一撃を当てられれば災禍の弱点がわかるだろう。

 そんなシグルスの意図を汲んでか、サニーは小さく頷くと、災禍めがけて地を蹴った。


「そういうことなら……任せて、よっ!」


 まっすぐ飛んできた弾はサイドに跳んでかわし、ぐんぐん距離を詰めると雷を纏った短剣で数回斬りつける。

 非力なはずの攻撃を受けた災禍がビクンと跳ねるが、自動人形よりも頑丈な造りなせいか、さほど怯む様子はない。


「効いたっ!?」

「……うん。少しだけど、内部に届いてる。根気強く当て続ければきっと……!」


 防御壁の隙間から災禍の反応を窺っていたモーアンが、ぐっと杖を握り締める。


「へっ、ガマンくらべなら得意だぜ! シグルス、オレにも魔法をかけてくれよ!」

「順番だ。お前は少し時間稼ぎしてろ」

「えぇー」


 シグルスの属性付与魔法は今のところまとめてかけることができず、サニーの次はミューと共に宙を舞うエイミの槍が輝いた。


「これで有効打を与えられる……!」

『そろそろ攻めるわよ!』


 回避と撹乱に重きを置いていたミューが身を翻らせ、災禍に向かって突っ込んだその時。


〈迎撃。石化光線、発射〉

「えっ!?」


 感情のない声と共に災禍の胸に埋め込まれた橙色の石が光り、地面から上空へ、エイミめがけて細い光線が発射された。


『きゃあぁ!』

「ミューっ!」


 避けきれず、ミューの翼を光線が掠める。薄く柔らかな白い翼はみるみる硬い灰色の石に変わっていき、バランスを崩した彼女は乗り手もろとも地上に落とされてしまう。

 どうにか無事だったエイミはすぐさま飛び降りて攻撃に移るが、倒れ伏すミューの全身に石化が拡がり、もはや身動きがとれない状態だ。


『ぐううっ、なによ、これ……っ』

「清浄なる雫よ、穢れを消し去れ!」


 すかさずモーアンが呪文を唱えると、ミューの頭上から光の雨が降り注ぐ。すると彼女を蝕む石化の進行が止まり、やがて元の状態に戻った。

 再び動けるようになったミューはふわりと飛ぶと、自分の体を確かめるようにその場で一回転する。


『た、助かったわ。ありがと』

「ひとりふたりなら魔法や道具で治せるけど、全員石化してしまったら終わりだ。気をつけて」

『ええ!』


 態勢を立て直したミューは『次はやられないんだから!』と天井高く飛び上がった。

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