34階層のこれから
大海広がる34階層。
そこの入り口近くの砂浜に僕たちはいた。
見渡す限りの海と遠くに浮かぶ島があるだけで、空は快晴波も穏やかで気持ちよかった。
「ここから見える、あの島に次の階層への入り口があるみたいですね」
僕は王宮の記録にあるこの階層の情報をみんなに説明する。
「じゃあ、33階層みたいに私が空から運んでいけば、すぐに攻略できそうですの」
「いえ、そうも簡単にはいかないみたいなんです」
僕たちのいるところから浮き島までは少なく見積もっても1キロはありそうだ。
この距離を飛ぶというのも怖いけど、海の中からの襲撃というのが一番怖い。
海竜はここの階層主ではないみたいだし、身動きの取れない空中で攻撃されて不時着したところが、足もつかない海の中ってのは最悪だ。
僕は、その事についても説明する。
「じゃあ、襲撃されないくらい高いところを飛んでみるとか?」
「もし、何らかの理由でクウデリア様の《天使の移し身》での天使化が解除されたら、僕たちはそれだけで死んじゃう可能性があります」
「う~ん、難しいですの」
「アルル、王宮の記録には攻略法は記録されていないのか?」
「それがあるんです」
僕は続きを説明する。
「この階層の海の部分には迷路のように張り巡らされた浅瀬が存在するみたいなんですよね。そこを辿っていくっていうのが攻略法みたいです」
「なんだ、簡単じゃないですか」
「でも、いうほど簡単じゃないんですよね」
「というと?」
「さっきも言ったみたいに、浅瀬は迷路みたいにもなっているし、波の状態や時間によって変化するみたいなんですよ。それに浅瀬の両側は深くなっていて、奇襲される可能性も高いです」
「なるほど、迷ったり、行き止まりになったところを海竜たちにでも襲われでもしたら危険だな。記録だけを頼りに行くというのは止めておいた方がよさそうだな」
リアさんもこの危険性について理解してくれたようだ。
「では、どうしますの?」
「僕はクウデリア様に空を飛んでもらおうと考えています」
「それこそ、アルルが最初に言ったように危険じゃないか?」
「だから、僕とリアさん、ポルンは海竜の気を引きつつ倒しながら浅瀬を進むんです。空からクウデリア様に浅瀬の場所と進む先を示してもらえば、浅瀬の場所が多少入り組んだりしてても安全に効率よく進めると思うんですよね」
「時間がかかりすぎると、リアさんの《剣の才》はともかく、ポルンの《踊り上手》による雷狼状態が時間切れで解除されてしまうかもしれないですし、これしかないと思うんです」
ポルンの雷狼状態が解除されたら、再発動には踊れる場所と時間が必要だ。
さすがに浅瀬で敵を相手にしながらというのはキツすぎるだろう。
「私はいい作戦だとは思いますが、王女はどう思われますか?」
「私も自分に役割があって異論はないですの」
リアさんもクウデリアも賛成してくれた。
「確実に海竜は僕たちを狙ってくるからポルンにも負担をかけるけど、大丈夫かい?」
「ポルル」
ポルンが任せておけと言わんばかりに自分の胸をトンと叩く。
よし、準備が整ったら攻略開始だ。
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