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VS 騎士 決着

 森と草原の広がる29階層。

 コボルトの里で襲撃者たちと戦う僕とリアさん。


 襲撃者の残りの1人、ザザンに苦戦する僕たちだが、僕の能力の1つ《封印耐性(手)》レベル5により、リアさんが前に獲得していた《剣の才》という能力の一部が解放される。


 僕はてっきり剣の腕があがる能力だと思っていたんだけど、どうやら違うようだ。

 能力の解放されたリアさんの言葉は衝撃だ。



「アルル、私はどうしたのだろう。剣の気持ちがすごくわかるんだ」



 リアさんが聞きようによっては気持ち悪いことを言い出したから。

 あまりの恐怖にリアさんが壊れた?

 いや、リアさんは騎士だし、そんなことはないはず。



「あの、リアさん、大丈夫ですか?」


「アルル、少しだけ待っててくれ。……私はロングと語らう必要がある。そうか。ロング、お前はそんな風に私のことを想っていたのだな。それは私も一緒だ」


「…………」



 やばい、リアさんが本格的に壊れてきてる。

 因みに、ロングとはリアさんが剣狼ベーオウルフからもらった、ミスリル製のロングソードの名前だ。

 僕の能力、《封印耐性(手)》って、人をあれな感じにしちゃう精神系の攻撃だったりするんだろうか?

 だったら、ザザンにも試してみるんだけど。

 そんな僕らをザザンが呆れた様子で見ている。



「おおーい、漫才はそれくらいにして、そろそろ終わりにして良いか?」



 ザザンの言葉を受けて、リアさんが立ち上がる。

 良かった。

 どうやら、こちらの世界の声もリアさんに届いているようだ。



「そうだな。終わらせるとしよう。今の私とロングならそう時間はかからないだろうからな」



 あれ、僕は?と思わなくもないが、ここは口を挟まないでおくのが正解っぽい。



「ほう、えらく言ってくれるねぇ。さっきまで俺に手も足も出なかった女騎士風情が」


「こんな裏の仕事しかなくなった、哀れで惨めな元騎士のお前には私が引導を渡してやる」


「こりゃまた、大きく出たもんだな」


「さっきまでの私……いや、私たちだと思うなよ」



 多分、その『たち』の部分はリアさんとロングのことだろう。

 完全に僕は蚊帳の外。

 僕の能力が封印されていると思い込んでいるザザンもそれは一緒だ。



「これ以上は剣で語るとしよう」


「それが早そうだ」



 リアさんとザザンが剣撃の応酬を始める。

 少し前まで、圧倒的に負けていたはずのリアさんの剣が素人の僕の目から見ても互角以上に渡り合えている。

 なんで?

 アドレナリンの過剰分泌で、ゾーンとかに入ったとか?



「さっきまでと動きが全然違うじゃないか。どういうことだ」


「言っただろう。私は愛剣のロングと思いを通じ合えるようになったと」


「気持ち悪いことを言う」



 うん、僕もそう思います。

 でも、今のリアさんの強さは本物だ。



「そして、剣を交えてお前の持つ剣の気持ちも伝わってきたぞ」


「ふん、俺の剣の気持ちだと?」


「荒い使い方ばかりされているせいで、お前に嫌気がさしたので、そろそろ引退したいそうだ」



 激しい剣撃の応酬の間に敵の剣ともそんな会話をしてたの!?

 リアさんの余裕っぷりに驚きだ。



「剣を愛する者として、お前の剣にも引導を渡してやろう」


「何を言っているのか、さっぱりわからんな」



 うん、僕にもわかりません。

 ただ1つ言えるのは、リアさんが強くなったってこと。

 理由はわからないが、僕の能力で解放されたリアさんの能力が関係しているのは間違いない。



「くっ、まるで、こっちの動きが読まれてるかのように当たらんか」


「当然だ。お前の動きや癖は、お前の剣がすべて教えてくれるからな」


「……死ねっ!」



 表情は変わらなかったザザンだが、動揺はあったのかもしれない。

 リアさんは、少し大振りになったザザンの剣を獣のような体捌きのみで避けると、一拍の呼吸を整える。



「『断』っ!」



 リアさんの剣が、ザザンの剣ごと体を切り裂いて、雌雄は決した感じだ。

 これで今回の襲撃者たちは全員倒すことができた。



読んでくださり、ありがとうございます。


まだまだ短い文章なのにブックマークや評価してくださった方もいて励みになります。

m(_ _)m

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