第二十二戒『対決の放棄』
「四月一日先生、隣良いでしょうか?」
明かりが灯り煌々としているが、雰囲気はどこか夜中の暗さに呑まれた部屋。
ひとり机に向かっている四月一日蘭子に声をかけたのは、野葉源五郎教頭だった。
「あらお久しぶりですね!ハゲさん!」
「………」
一部の生徒などの間で流行した『ハゲさん』というあだ名で当然のように呼ばれ、あからさまに気分を悪くした教頭であったが、二回咳払いをして怒りを振り払い、ゆっくり落ち着いて蘭子の横に置かれた椅子に腰掛ける。
「…どうですか?」
「?」
「Z組の様子は、どうでしょう?」
「それはそれは、もう素晴らしくて…完璧なクラスですよ!私の話を皆さん揃ってこちらの目を見て真剣に聞いてくれます!」
無論そんなことは無く、真逆の情況にあるのだが本人は嘘をついてるつもりなどない。
彼女は本気で、生徒全員が聞いてくれてると思い込んでいる。
周りを見る能力に欠ける などという軽い言葉で済まない重症教師、それが四月一日蘭子というZ組が適した担任。
「…あなたの能力は、全然活かされていません…!あなたにはもっと教師らしい勉強を教える素質があるはずなんですよ…なのに自分で無駄にするのはもったいない!きちんとよく考えて生徒に伝える気持ちを持って!授業をやってください授業を!」
「…??授業ならばやってますけど…」
教頭の言う蘭子の能力というのも、もはやただの思い込みのようだ。実際もし分かりやすい授業をできるのだとしても伝わっていないのだから、それは能力が無いのと同じである。
蘭子はさらに普通なら教頭を失望させるような、「ちゃんと授業やってますよ、それで何の話をしてるんでしたっけ…」といった態度をとり続ける。
遂に苛立った教頭は珍しく大きめの声で怒鳴った。
「それは授業だなんて言いません!今すぐに直してください!!あなたの実力を早い内に見せつけておかないと、あなたの危機なんですから!!!」
*****
※白夜の愚痴※
俺と唯花が戦うことになった。でもさ…
ねみぃ……今何時だと思ってるんだ?深夜0時だぞ
…寝ようか
「『あの…じゃんけんでもしますか?』と妖精が呟いております。」
寝かせろよ
…まぁでも…じゃんけ……ん…?
こいつの今の言い方からして妖精がじゃんけんするって設定か?
…まぁいっか 取り合えずじゃんけんしよう
「じゃあ……始めるぞ」
「『じゃんけんぽん」』
「と妖精が囁いております」
う〜ん…やっぱだめだなこいつじゃんけんも妖精任せか
じゃんけんも終わったことだから
よし寝るぞ(´∀`)
「……」
Zzzz…
Zzz…
※唯花の解説※
…白夜さん…寝てしまいました、ね
「よ…妖精が『すみません相手にしてくれないので眠り粉を使ってしまいました』と呟いております…」
「勝手に寝たんだろうが…」
ごもっとも。なのですが、この方がいいじゃないですか。なぜなら…
「………じゃあ第三回戦の結果…引き分け?」
「『いえ…』」
「何…?」
「『私達の勝ちですよ、相手の不戦敗です』 と妖精が囁いております」
私(と共にいる妖精)が眠らせたとすれば、もっと私の勝利らしくなりますし。
相手が対決を放棄しているのですから、私の不戦勝で正しいのではないかと思いますね。
「いや、でもどう見たって…」
「私達の勝ちです。」
「そ…そうか、じゃあ茅野の勝ち…だな」
…一さんのキャラ少し薄れてません?
そもそも引き分けって決めようとしてる時点で少し違和感ありましたよね。
なんかこう、『フハハハハ!試合中に寝るとは半人前にも程があるぞ!この神たちの組、茅野唯花の勝利だぞ!フハハハハハハハハハ!!』とか言い出しそうなものなのですが、もしかして白夜さんに思い入れでもあったんでしょうか…?最近なにかありましたっけ…
「じゃー五回戦するかー?」
日向さん…存在忘れかけてました。そもそも次四回戦ですからね。
「スタートーー」
「え?いや…誰対誰だよ」
「すたーーーとーーー」
「無視するなよ…」
取り合えず… これ何の勝負でしたっけ
えーと…確か今日の朝車に飛び乗って…逆走してたから…ってここはどうでもよくてその次でしたね。
ポキポキだ、うまうま棒だと争って、なぜか勝負ということに…結局どうでもいい戦いということですね
「四回戦スーターートーー」
「だから…」
…形だけでも言っておきましょう。
こうして四回戦が始まった




