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Chime ―チャイム―   作者: 夏影
第二章 ライバル
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第二十一戒『夏の月明かり』

 決着、付いたみたいですね…妖精さん。


 でも私はもっと気になることが有るのですが


「ハァ…ハァ……や……りま…したー…逃げ……かっ…」


「春雨〜!勝ったんだね!さすがだよ!!」


 この人状況把握してるのでしょうか…


 新穂さん腕から血を流しておりますよ…今すぐ手当してもらったらどうでしょう?そこにゲームに夢中の佐倉さんがいますよ?


「ふ…ふぅ…ら、らくしょ、勝です…よっけいさっ…つ…つつつ…」


 ピシッと立とうとしているようにも見受けられます。まさか、平穏なつもりですか…?


「いやー本当にすごかったよ!こんなに深いクレーターみたいなの作っちゃってさ!おーい聞いてるー?大丈夫ー?おーい」


「な…なんとも…な…よ」


 ヨロヨロした動きの中に、いつもの無駄な動きの感じが含まれてます。普段通りポーズでもとってる気になってるんでしょうか

 まさか本人が状況分かってないのでは…!?



 反面、負け組の声が聞こえてきます。


「な…負けるなんて…あり得ないだろ!?セラ!?」


「…あんたのせいなんだからねっ!?…… まぁ…一緒に帰ってやるけど…かっ帰るわよ!」


「えっ?あ…はいっ!星良様!って何処に?ていうか起き上がれないよな??」


 こっちのほうが元気な声に聞こえたんですが、錦さんの様子を見るとボロボロで仰向けになっていて、お腹が内出血という状態です。足元には、自分が突き飛ばされた痕跡が。

 それにまだまだ夏なので夜とはいえ湿気のせいか暑さは感じるのですが、こんなにも汗だくになると不安です。あれだけ動いてましたし疲れただけですかね


「ってことで二回戦は新穂はる

「ちょっと待て…そういや…雅は?」


「「「あ…」」」


 立科さん…気付いてましたか。


 実は私は先程からそれが気になって心配なのです…


「…まぁ取り合えず置いといて…第三回戦は月舘白夜対芽野唯花!」


 あ、私ですか。相手は白夜さん…トイレ組同士ということになりましたか

 まぁ仕方ないですね。こっち側人数少ないので…


 そういえば…錦さん達いつの間に仲間になったんでしょうか。そもそも仲間だ、という正式な境界線も無ければ、『うまうま棒組織』のようなものをつくったわけでめありませんしね。全部自然にできたものですから、自然に仲間になったと考えましょう。


 …って雅置いとくんですね


 一応聞いてみますか…


「『雅さん放っておいていいんですか』と妖精が囁いております…」


「そりゃ心配…じゃねぇよあんな生意気なやつのことだしそのうちひょっこり帰ってくるだろうし…では第三回戦……」


「「「スタート!!!」」」


 展開が早すぎないですか?さっきのゴキブリが出るのが嫌みたいな話の関係ですかね…そんなに墓場がゴキブリスポットだと思うのならどこか建物に入ればいいですよね…


 とにかく始まってしまったからにはやりますか…


 …そしてやっぱり雅のことは無視するんですね。



 …まあ今の一さんですし、当然といえば当然ですか…



*****


 夏の夜独特の香りの中、濁った月明かりに照らされる二つの影があった。



「…校長先生どうしたんですかこんな時間に」


 夜が更けていく校長室に、若い男性の声が低めのトーンで響く。


 彼の声は太さは感じるものの、成人しているにしては少々高めであった。


 その中での低く控えめな声、周りの様子を伺うような雰囲気だ。


「野葉教頭先生こそ、何でこんな時間に起きているんですか。」


「いえ、私は校内の監視システムに少々異常があったので確認しに来たまでです。まあその件は既に他の監視員が解決済みで、ただのゴキブリだったことが分かりましたけどね。それに私は彼女の処分について考えているんですよ…校長は?」


 いい終えると少し顔を下に傾けた校長がさらに小さな声で囁くように言った。


「そうですか…。私は…」


 校長の声は野葉教頭の声よりさらに高い。しかしそれは響きやすいので息だけ漏らすように話し、校内の静けさを保って話した。


 続けて、机に置いてある資料の山から少しはみ出た一枚の写真をつまみ上げて、小さめの古い手で正しい向きに持ち直した。

 その写真を教頭の顔の前に突きだす。


「この人物の処分について、だ。」




 静けさが続く。


 散った写真が床に留まる。


 時計が進み続け、日付が変わった。


*****


「お、おい寒くなってきたから…そそそその、教室で続きやろう…!」


「『あなた誰ですか、一さん』と妖精が呟いております」

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