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異世界にTS転生した僕がサキュバスクイーンになった理由  作者: 望月優志


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ゲームをしよう

「みんな、よみかき、おぼえてくれない…」

「…おもしろくないからじゃない?アンタがやろうっていうからつきあってるけど、わたしもおもしろいわけじゃないし…」


 そ、そうなのか…


 毎回一緒になって勉強しているアイビスからの思いもよらないカミングアウトに少し愕然としてしまう。


 …だが、考えてみたら当然かもしれない。


 僕も子どもの頃は半強制的に学校に行かなければならなかっただけで、勉強が好きなわけではなかった。


 高校や大学だって、テストや単位のために必要に迫られたから頑張って勉強をしたけれど 、興味のある事以外は覚えるのが大変だったし、今ではほとんど覚えていない。


 無理せず自然に覚えられたことなんて、興味があることだったり、理科で実験したとか楽しかったことくらいのものだ。


 やはり、勉強に楽しさは必要不可欠なのだろう。



 一応今でも計算の早解き勝負などはしているのだ。


 クルカラやオープルなど周りでお絵かきしてたり暇そうにしている子に2〜4桁の足し算引き算の問題を作ってもらい、それを使って早解き勝負をしてみんなで答え合わせをするというもの。


 みんな同じ問題だとどうしてもカンニングが発生してしまうので、紆余曲折ありつつ、全員違う問題に挑戦する形となった。


 そして解くのにかかった時間も外野にいる誰かに毎回数えてもらっている。

 問題が早く解けても、計算間違いをしていたら意味ないからね。


 これも最初だけはみんな楽しそうにしていたが、実力の差が出てくると毎回負ける子が決まってきてしまうため班分けをするなどして対策した。


 …が、人数が減った今では組み合わせが難しくなってしまい、それも頭を悩ませる原因となっている。


「…できたっ!」

「セラ早ーい!」

「アイビスもがんばれー!」

「むむむむー…」

「あとちょっと!」


 ちなみに言うまでもなく、計算がいちばん早いのは僕だ。


 前世で散々勉強してきたからね。足し算引き算くらいはパッと見ですぐできる。


「あー!?セラまちがえてるー!!」

「ほんとだっ!!2秒増えて〜…あれ?何秒だったっけ」

「こっちもちがう…かも??」

「ここもちがう!!」

「ふんっ!!いくらはやくっても、そんなにまちがえてたらいみないわ。わたしのかちね!!」


 …とはいえそれでマウントを取ってもシラケてしまうのは目に見えているので、所々わざと間違えた答えを出すようにしている。


 騙しているようでちょっと気が引けるけど、全く勝てなければ面白くないのだ。


「まけちゃったぁ…あ、アイビスここまちがってるよ」

「…え??」

「あっ、ほんとだ!!じゃあ…きょうもセラのかちだ!!」

「セラすご〜い!!」

「〜っ!!もうっ!!なんでまちがえてるのよ!!」

「けいさんミスは、だれにでもあるものだよ…」

「…みっつもまちがえてるアンタにいわれたくないわよ…」


 うんうんと腕を組み余裕ぶって慰めたつもりだったが、怒っていたはずのアイビスに逆に呆れられてしまった。


 おかしいな…連勝中の強者の風格を出そうと思ったのに…



 今日こそは負けるギリギリを攻めたつもりだったが、今日もまた勝ってしまったようだ。


 ま、まぁ、圧勝じゃないし…アイビスのやる気は高いから大丈夫だろう。


 ちなみに、2秒の加算なんて大した事ないように思えるが、子どもの数える2秒は結構長い。


 時計なんてないから適当なのだ。



 …それにしても。



 外野は多いのに、参加してくれる子が少ないのはどうしたらいいのか。


 確かに見るだけでも勉強にはなるし、答え合わせの時はみんなで計算しているから、問題ないといえばそうなんだけど…


 問題は計算より、文字のほうだ。


 文字を使ったゲーム??なんだそれ…思い付かないよ…


 うーん…


………


……



 夜、みんなが寝静まった頃。


 僕はどうしたらみんなが文字の練習をしてくれるのかと頭を悩ませていた。


 春にシアノが大人用の娼館に移動してからは、僕はジュリが来ない日は毎日日替わりで色んな少女たちに抱き枕にされている。


 アイビス専属のようになっていたアイラも一緒に出ていってしまったので、アイビスもだ。


 僕の今日のお相手はリビアンらしい。


 リビアンの慎ましやかなふくらみもなかなか良…げふんげふん、慎ましやかなふくらみはよからぬ煩悩を抱かずに済み、考え事をするのに最適だ。


 …これはこれでちょっと失礼か。例えるのはやめよう。


 みんな言葉はわかるし、数を数えることもできる。問題は大きい数の計算と、知っている言葉と文字の結び付けだ。


 計算は足し算引き算しかやっていないのでみんな時間をかければできるようになってきたが、文字の方は…どうしよう。それにそろそろ、掛け算割り算にも手を付けたいところだ。


 …そして、面白くなければいけない。


 数字…文字…ゲーム…


 うーん…いくつかゲームを作って、文字は説明書きを読んでもらう…とか??


 文字を読む必要があるゲームといえば、すごろくや人生ゲームもあるな。


 あ、でもサイコロがないや…


 うーん…うーん…


 ………


 ……


 …



 翌朝。


 僕は日課のお花を手早く描き終え、壁にマスを書いていった。


「四角がいっぱいですね。何を書いてるんですか?」

「おもしろいことかんがえたの。リビアンもてつだって!!」


 線を引き目印をつけ、それに合わせてマスを作ってもらう。


 できあがったのは壁に描かれた大きなすごろくだ。


 途中でマスが少ない道と多い道に別れた後、合流してゴールを目指す。


「なにこれー??」

「みんなー!!セラがまたおもしろいこと考えたみたい!!」

「まだないしょー。できたらみんなであそぼっ」


 ちょっ…まだみんなを呼ばれても困るよ…


 まだマスを書き上げただけなのに、もうみんなが集まってきてしまった。


 これからマスに文字を書かなければならないのだ。


 ………


 ……


 …


「もうできるー??」

「まーだだよー」


 見ればわかる通り、まだ半分も書き終わっていない。


 さっきからもうできるー?と何度も何度もしつこく聞いてくるクルカラに、思わず苦笑いが出てきてしまう。


 …あ、そうだ。


「クルカラ、ひまならきのぼう、ひろってきてー」

「木のぼう??」

「そう。ちいさいのでいいよ。いっぱいおねがい」

「わかった!!」

「あと…あっ」


 わかったと言うやいなや、クルカラはダっと全速力で木の群生地の方に走り去って行ってしまった。


「わたしたちもひろってくる!!」

「あっ、まって。きのぼうもだけど、キレイなはっぱもいっぱいもってきて」


 小さい組の子たちも張り切ってお手伝いを申し出てくれたのでお願いすることにした。


 このゲームには木の棒と葉っぱが必要なのだ。


 他のものでもいいんだけど、ここにはそれくらいしか使える小物がない。


 裸足でかけまわる僕たちのために小石も綺麗に撤去されてしまっているからね。


 踏んで怪我をしなくて済む反面、小物が欲しい時に何も無いのは不便だ。



 大きい組の子たちはというと、僕の書いた文字をあーでもないこーでもないと言い合いながら、文字の読みがあやふやな子に教え合っているようだ。


 絵本に書いてある文は雰囲気でなんとなく読むことができても、絵本と全く関係の無い文になると難しいのだろう。


 ………


 ……


 …


「じゃじゃーん!!かんせーい!!」

「「「おおーー……???」」」

「これでみんなで、ゲームをしようっ!!」


 そうしてこうして、大きなすごろくが完成した。


 みんなの反応はまちまちで、ほとんどの子は何コレ状態である。


 …ふっふっふっ…ぽかーんとしていられるのも今のうちだけ…


 みんなで楽しく遊ぶ…と思わせておいて、知らぬ間にお勉強させてしまおうという作戦なのだ。


 誰も彼も、一晩かけて一生懸命考えた、このすごろくの虜にしてやんよ!!



 遊び方は結構シンプルで、数人でチームを組み、途中のマスで得られるアッポやお金『メル』を集め、所々にあるお店マスでメルを消費してアッポを購入し、ゴールを目指すというもの。


 今回はとりあえず初めてなので、5才組〜12才組までの8組に別れることにした。

 早くゴールするとアッポが最大で8個、ビリのチームは1個もらえる。


 全チームがゴールした後、1番多くアッポを獲得していたチームが勝ちだ。



 この世界のお金『メル』やアッポの実物を用意することはできないので、みんなに集めてきてもらった木の棒をメル、葉っぱをアッポのかわりとして使う事にした。


 木の棒は1本100メルとなり、アッポは1個500メルで買える設定だ。


 …なぜアッポを直接集めるだけでなく、メルを集めてアッポを買うシステムにしたのかって?


 それは文字の読みだけでなく、これで3桁〜4桁の計算と、この機会に「お買い物」という行為を一緒に学んでもらおうと思ったからだ。

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