表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過保護な龍王と魔界の姫  作者: 猫まんま
仮面の男と、紅の姫
17/23

洞窟での地獄[1]

ここまで読んでくれている方に、

「遅れてすみませんでした!」



 

「くっ……『魔力眼』開眼……!」


 眼に映った映像は、右前方から振るわれる凶爪。

 が、しかし俺は。


「ヘルファイヤ!」


 ()()()()向けて、俺が使える中で一番高火力な魔法を放つ。

 当然、前から襲いかかる爪は俺の首を切り裂こうとするが……


「幻影はもう通じねぇぞ!」


 その爪は幻影。

 何度も騙された技だ。さすがに、これ以上この魔獣に傷を負わされることは避けたい。


「時々混じる本物を見つけるために、偽物にも魔眼を使わなきゃならねえのが痛いよな……」


 魔獣が消し炭になったことを確認し、俺はポケットから取り出した魔力石を地面に叩きつけて割る。


「……チッ……。予備魔力も無くなった……」


 かなり大量の魔力石を用意したのだが、俺の魔力残量は二割と少ししかない。

 二割をきると、魔力枯渇となって気絶してしまうから、実質もう魔法はほとんど使えない。魔眼なんて使えば、確実に倒れる。

 魔光石と魔熱石の魔力を吸収したところで、焼け石に水。光源と熱源が無くなるほうが痛手だ。


「でも、あとはこの道だけ……」


 業火に巻き込まれたのか、こんがりと焼けている兎をナイフで捌きながら、先に続く穴を見る。

 ナイフで捌くと言っても、皮を剥いで内臓を除くだけの簡単なもの。


「くそっ……生焼けかよ」


 魔法の範囲外で、ただ軽く炙られただけなのだろう。

 中まで火が通っていない。

 まあ、でもこれを食うしかないんだよな……。こんな所で魔法なんて使う訳にいかねえから……。


「──っっ……。く……ん…………。………!!?」


 あぐゎ!? うっ……ごぅぁ!


「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 し、死ぬ……! これ、は、確実に……死ぬ!


「うぅぅぁぁぉえぇ!!」


 ──兎の肉を持つ両手から力が抜け、兎がポロリと落ちる。


 ──立っていることすら困難になり、文字通り崩れ落ちる。


 ──吐き出そうとした口からは、夥しい量の血が出るのみで肉が出てくる気配はない。


「あ……あ……は……ははっ……」


 身体の中をかき混ぜられる感覚を感じながらも、決して飛ぶことのない痛覚が引いていき、後には穴という穴から血が吹き出た無残な俺が転がっていた。


「案外、大丈夫じゃねえか……」


 身体の内側と外側のが入れ替わった感覚も、腕が脚になったような感覚も、全てなかったかのように、口の中に苦味が広がった。

 そして……魔力が僅かに回復している。


「初級魔法で殺して食っていけば、いつか満タンになるかも知れねえな……」


 ああ、となれば、あとは簡単だ。

 この洞窟の魔物魔獣共を、殺し尽くすのみ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ