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第1話 二人の出会い




 雨の日の小さな雨粒から生まれた精霊が少女に初めて会ったのは、少女が随分幼い頃の夏。

 やはりその日は雨が降っていて、少女は傘も差さず迷惑そうな表情で走っていた。

 その道は少女にとって当たり前の、いつも通りの下校中だった。


 ()()()は僕ら精霊が見え、触れる事や会話も出来る。

 そして愛し子が精霊を愛し、精霊も愛し子を愛する事が出来る。


 そう他の精霊に聞いていた。

 だから精霊は目の前の愛し子もきっとそうなのだと思っていた。

 そして精霊は自ら愛し子に声をかけた。


『ねぇ、(愛し子)

雨は嫌い?』

「……え?」


 雨の降る中、精霊が声をかけた事で幼い少女は戸惑う。

 それは、二人が傘も差さずに雨に降られながら立ち止まっていた為、当然の戸惑いだったのかもしれない。


『僕は(愛し子)に雨を、好きになって欲しいんだ』

「お兄ちゃんは、雨が好きなの?」

『うん、勿論

雨は植物の恵みにも、巡ってまた雨にもなる愛し子の飲み水にもなるんだ』

「……むずかしい」

『そっか、じゃあ雨が綺麗って事を教えれば好きになってくれる?』

「きれい?」

『ふふっ、見せてあげるね』


 精霊はそう言って雲だけを操り、少女に美しい青空と虹を見せた。


「きれい……」


 少女は拙い声でそう言い、呆然と虹を眺める。

 精霊が生み出した虹は少女の心に、目に、脳に焼き付き、時々夢を見る様になった。

 そして精霊はそんな雨を好きになったと幸せそうに笑った少女を見守っていた。



 幸せそうな愛し子を見て、心がぽかぽかと暖かく感じた。

 だから僕は愛し子に呼びやすい名前を教えた。

 元の名前はエルレインだが、愛し子にはレインと呼んで欲しかった。


『覚えててね

僕の名前はレイン

雨の精霊なんだ』

「れいん?

私は時雨って言うの」


 そしてこれは後に精霊が本人に聞いた事だが、愛し子が挨拶とは言え名前を教えてくれた事が嬉しかった。

 しかし、この出会いを全て覚えていたのは精霊だけだった。




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