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恋愛ゲーム、ですよね?  作者: 雪屋なぎ
中学生 編
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楽しいパーティ

「おはよう、花音ちゃん」

「おはよう、愛梨ちゃん。もうお昼近いけど、やっぱりおはようって言ってしまうね」

「ふふ、そうね」

私は玄関に急ぐと、待っていた愛梨ちゃんに挨拶をした。今日は待ちに待ったクリスマスパーティの日なのだ。最初1人で堤さんの家に行こうとしたが、彼女の提案で一緒に向かう事になった。

是非ともと請われたので快く承諾させてもらったけど、玄関に藤間さんを引き連れて彼女が現れたから、お父さんがかなり驚いていた。ぎこちない笑みの美少女と長身の執事さんが現れたら、混乱しちゃうでしょうに。固まるお父さんの代わりにお母さんが弟を連れてにこやかに対応してくれたけど、藤間さんをチラチラ見ていたなぁ…もしやお母さん、あなたも私と同じ妄想を抱きませんでした?

愛梨ちゃんが明智くんとくっつくのもいいかもしれないけど、藤間さんとくっつくと絵になり目の保養になるもんね。それにお嬢様と執事さんの恋って萌えますもの。ああ、マル秘ノートの表題を『明智くんと愛梨ちゃん』から『愛梨ちゃんの恋』に変更しようかしら。

心のどっきどき感を隠しながら、来てくれた彼女と一緒に外へと出る。

「でも遠回りになってごめんね。帰りは大丈夫だから」

「駄目です。一緒に帰りましょう?そんなに距離は変わらないので気にしないでください」

にっこりと笑われたら、拒否し辛くなる。

「さ、急ぎましょう。約束の時間前に着く方が大事です」

愛梨ちゃんが車へ体を向けると、藤間さんがそっとドアを開いた。彼女はすぐに車へ乗り込む。私は彼女の反対側に乗るべく移動すると、それよりも早く移動した藤間さんがドアを開いてくれた。

「ありがとうございます」

彼は目を伏せているので、今日は何を考えているのか分からない。けれど相変わらずとても綺麗な人で、宝塚みたいだなと思ってしまう。愛梨ちゃんが男嫌いを克服するように、彼女のお祖母さんが雇ったのも分かる気がする。この人なら男臭くないし理想と呼ばれる王子様になれそう。

私が車に乗り込むと、藤間さんは静かに扉を閉めて助手席に座った。今日の車の運転は彼とは違う人のようだ。

「でも楽しみだね。私、堤さんの家に行くの初めてだからドキドキしてしまう」

「私もです」

「あとごめんね、一緒にショッピングに行けなくなって」

「ううん、そんなの大丈夫だから。お下がりを貰ったんならまずは整理しないと」

「ゴホン」

いきなり藤間さんが咳き込んだ。

「あっ、すみません、えっと…整理整頓をしなければならないので大変ですね?」

「ね?」

「あの、花音ちゃん、ごめんなさい」

小声で私にだけ聞こえるように謝られた。

「え……ううん」

?、一体どうしたんだろう。困った様な笑みを浮かべる愛梨ちゃん。

ここかな?『肉のツツミ』と書いてある店を発見。堤さんの家の側とおぼしき場所に止まったので、車を降りる。あっ!愛梨ちゃんは藤間さんが扉を開けるまでジッとしていたのに、私はさっさと降りてしまった。勝手に車のドアを触って良かったんだろうか?つい恐々と丁寧に抑えてみる。

「あ、あれれ」

力強く押さなかった所為か、ドアがちゃんと閉まらなかった。だって高級車でしょ?バン!と音が出るようになんて出来ませんよ!色々と怖い。

「すみません…」

白い手袋が私を制して、代わりにドアを閉めてくれた。もちろん、その人は藤間さん。

「ありがとうございます」

「大丈夫ですか?花音ちゃん」

心配したのか愛梨ちゃんも私の側に来てくれる。

「ごめんね、上手く出来なくて」

「気にしないで」

「ゴホン」

まただ、藤間さんを見ると拳を口元に寄せていた。

「…ください」

言葉遣いの特訓でもしているのかな…お嬢様は大変だ。

「こちらを」

藤間さんが袋を愛梨ちゃんへ渡す。今日はクリスマス会というランチ会なので、各々が何かを持ち寄る事になっている。私はクッキーやプチパンだったりするんだけど…藤間さん怒ったりしないよね?変な混ぜ物なんてしていないので多少形が悪くても許してほしい。

「では四時にお迎えに上がります」

そして頭を丁寧に下げると、車に乗って行ってしまった。今回は隠れて撮影とかしないのかな…。

「頼元さん、伊賀崎さん」

「三条さん」

不機嫌そうな声を聞いて振り返る。やっぱり彼女だ。長身にあったスリムなコートを着こなしている…やはり将来モデル系に行くかも。

「初めてにしてはヒナの家が良く分かったわね。それじゃ、行くわよ」

ふん、と言うように背を向けて『肉のツツミ』に入っていく。玄関とかからじゃないんだ。

愛梨ちゃんはお店に入る前にコートを脱いで持ったので、私もそれに倣う。行儀作法は真似させてもらおう。

「あら、澄ちゃんもういいの?」

お店でおばさんの声が聞こえた。

「あ、ちょっ」

「なかなか入ってこないと思ったら、友達待ってたんだねぇ」

「そ、いえ、たまたまですっ」

「日菜美ー!お友達来たわよー」

やはり三条さんは可愛い。私達が迷ったり困らないように外で待っててくれてたんだ。寒かったろうに…いつもありがとう。

「始めまして、頼元愛梨と申します。今日はお世話になります」

「始めまして、伊賀崎花音です。宜しくお願いします」

「ちょっと忙しいから何も出来ないけど、楽しんでってね」

おばさんはにっこり笑うと、店の奥に通してくれた。他に堤さんのお父さんらしき人やほかの働いている人もいたので、頭を下げて通る。

そうだよね、クリスマス前でお店忙しいはず、なのにクリスマス会場にしてくれて申し訳ない。

「いらっしゃーい」

堤さんがお店と自宅の境に現れた。

「こっちなの、靴はこの端辺りに寄せてね」

お店の扉を越えて廊下を少し進むと、玄関の横に着いた。繋がっているんだね。

「もう千尋ちゃんと美咲ちゃんいるから」

嬉しそうに玄関を上がると、階段のところまで進む。

「こっちこっち」

三条さんはブーツなので、脱ぎにくそうだ。

「大丈夫?」

「別に。それより狭いんだから早く行きなさいよ。私は部屋を知ってるから」

「うん」

愛梨ちゃんと一緒に先に階段を上る。堤さん先導のもと、二階の奥の部屋には木枠が掛けてあった。

 『Hina's Room』

手作りのようで、花のモザイクタイルのデザインが可愛らしい。

「これって堤さんの手作り?」

「うん、小学校の時に学校で作ったんだよ」

「へぇー、可愛いね」

「へへ、こだわったからすっごく時間が掛かったの」

「お蔭で放課後までつき合わされたけどね」

三条さんが追いついた。

「同じ小学校だったんだ」

「ええ。百花とヒナと美咲と山崎は同小よ」

「幼馴染ですね、羨ましい」

愛梨ちゃんの笑みに陰りが。

「なら、私と愛梨ちゃんも一年生から幼馴染ね!」

「え」

「前の学校の幼馴染に失礼でしょ」

「でもこれから大人になっていくと、数年も十数年も変わんないって、ね」

なんとなく言ってみると、愛梨ちゃんが微笑んでくれた。

「友達は友達でしょ?年数関係あるの?」

堤さんが可愛らしく首を傾げる。

「問題もなにも、とにかく部屋に入りましょ。山崎と美咲を待たせてるんだから」

三条さんが呆れて扉を開けた。

「わぁ…」

かなり驚いてしまった。部屋中飾り付けをしてあったからだ。窓からカーテンからベッドカバーにまで、クリスマスを演出している。

「すごい、堤さん」

窓枠にはスノードームが並んで飾ってあり、可愛らしいキャラがこちらをうかがっていた。

「クリスマスツリーは私達が組み立てたよ」

山崎さんと巻淵さんがミニツリーの前に座っていて、まさに電気を入れる所だったようだ。

「飾り付け本格的だね、雪の演出まで」

カーテンレールに綿が飾ってあったり、壁にはクリスマスのリースが、他にもフェルトやリボンでオーナメントが一面に飾ってある。もうクリスマス!と。

「ベッドカバーはキルトですよね、もしかして堤さんが手掛けられたんですか?」

カバーの細かい設計に、根気強さが要りそうだ。私なら挫けそう。

「これは二年越しなんだよ!もう頑張っちゃった」

「やっと完成させたような言い方しない。出来たの夏じゃん」

「酷い、千尋ちゃん。でもその分オーナメントに力入れたもん」

「すごいすごい。それじゃテーブルに食べ物を置きましょうか」

巻淵さんがテキパキとテーブルにコップや取り皿を配り始める。

「あ、これ…私が作ったものではありませんが…」

「手作りケーキ!」

堤さんが愛梨ちゃんの差し出した箱に飛びつこうとした。

「ストップ。私が受け取るわ。ヒナじゃ心配」

「えええ、そんな事ないよ」

三条さんが代わりに受け取り、テーブルに下ろす。

「あの、私が作ったものを持っていこうとしたんですが…ちょっと問題が」

「愛梨ちゃん何かあったの?」

最近藤間さん仕込でケーキを焼くようになってきた彼女が、今回のクリスマスケーキを準備するはずだったのだが、何か問題があったようだ。

「実は、その…これは私の焼いたケーキではないんです」

「もしかして買ってきたの?」

山崎さんが箱からケーキを取り出すと、高そうなブッシュ・ド・ノエルが現れた。しかもピンク色のクリームだ…これはイチゴ味風?しかもサンタや動物達が土台の空いた場所に飾ってあり、…これは見て、力作と言える。

「可愛い!でもどこで買ったの?」

堤さんがデジカメを構えて何度も写真を撮り始めた。

「うちの、藤間の作品です」

「藤間さんの!?」

全員がケーキに食いつくように張り付いた。

「パティシエみたい」

「すごいすごい」

申し訳なさそうな顔だったけど、みんなの反応で少し胸を撫で下ろした愛梨ちゃんは複雑そうに眉を下げる。

「何があったの?」

近寄って小さく聞けば、新しく入ったメイドさんが間違えてナイフを入れてしまったのだそうだ。

「でもこれで良かったです。藤間が作ったほうが、みんな嬉しそうですし」

「そんな事無いよ?愛梨ちゃんのパウンドケーキもふわふわで美味しかったし、ザッハトルテも舌の上で蕩けて美味しかったよ?私は食べたかったな」

最近は愛梨ちゃんとばかり遊んでいるので、かなりご馳走になってたりする。私もお返ししたいんだけど、何がいいのだろうか。

「で、では、花音ちゃんの誕生日ケーキなんか作っても受け取ってくれますか?」

「え?いいの?家族で喜ぶよ?」

「ぜひお祝いさせてください」

「ありがとう」

愛梨ちゃんはこのままで行くと、パティシエールになりそうだ。

「ちょっと、そこ2人の世界を作らない。美味しい話はみんなで共有させてもらわないと」

山崎さんがニヤニヤと割って入ってきた。

「私たちも食べたいな」

「別にこのケーキは藤間さんが作ったんだから、気になっただけよ。別にあなたのケーキが嫌って言ったわけじゃないわ」

「頼元さんの作ったケーキはどうなったの?」

三条さんと巻淵さんが顔を上げる。

「間違ってお茶に出されちゃったみたいなんだ。残念だよね」

「もしかしたら、二個ケーキが来てたかもしれなかったのかー、残念」

堤さんが唸って立ち上がると、押入れからかごを取り出した。

「なら、代わりにこれを食べて!なーんて」

ケーキの隣に置かれたかごには、色とりどりのクッキーが?

「ん?」

「あ」

「わお」

山積みされたフェルトクッキーがそこにあった。他に小さなリースやサンタやトナカイ、もみの木なども入っている。

「ははーん、これって試験勉強中に作ったんでしょ」

「すごい、千尋ちゃんなんで分かったの?」

「あんた細々した物つくるの好きじゃん。勉強が進まないと特に」

「気持ち分かるな、それ」

私も頷いた。

「勉強が進まないと片づけをしたり、本を読んだりしちゃうの」

「ああー。なら私は新聞や雑誌の切抜きかな」

「私は爪の手入れや枝毛探しをしてしまうわ」

山崎さんと巻淵さんらしいな。雑談で笑っていると、扉をノックされた。

「みんないらっしゃい!あら、まだ始めてなかったの?」

先程の堤さんのおばさんがトレイを片手に部屋に入って呆れる。そういえばパーティをするんでした。でもお肉屋さんの所為か、香ばしい良い香りが食欲中枢を刺激する。

「もう始めるよ、みんなで持ってきたもの出そう」

堤さんがテーブルに置いた籠を持ち上げ、部屋の隅に置いた。

「はい、揚げたてだよ、早く食べてね」

こんがりから揚げとフライドポテトがケーキの横に置かれた。

「お母さん、ありがとう!!」

「はいはい、約束を忘れないように」

「はーい」

おばさんが出て行くと、みんながそれぞれ持ち寄った食べ物をテーブルに載せる。三条さんはサラダ、だけどシーザーサラダのようで準備を始めた。クルトンを取り出したので、多分そうだろう。巻淵さんはクーラーボックス持参となかなか本格的。未成年なので子供用ノンアルコールシャンメリーを二本取り出したので、私もお菓子やパンを用意。

「巻淵さん、そのクーラーボックス歩いて持ってきたの?」

「いいえ。父のよ、車で送ってもらったわ」

「そうだよね、お疲れ様」

つい社会人挨拶をしてしまった…、そんな重いものを持った気だるげ美女は想像できないので良かった。

「…ところで、誰が封を開ける?」

パーティ準備が整ったところで、みんな固まる。開けるとはシャンメリーの蓋の事だ。ははは、あんまし開ける機会ないもんね。勢いよく飛ばすイメージから、怖がっているのが女の子らしくて可愛い。

「私が開けようか?」

「え、伊賀崎できるの」

山崎さんを筆頭にみんな驚くような顔をした。たかだかシャンメリーの蓋に、そんな驚くようなもんでもないのに。

「別に平気よ。布を被せて引っ張れば飛ぶ心配もないよ?」

「布を使うの?」

「壁や天井に飛ばすんじゃないの?」

「蛍光灯に当たったら大変じゃない。美味しい食べ物も台無しになっちゃう」

「なるほど!」

後、布を使うのは溢れた時の非常事態に備えての意味もある。ふふ、経験からのものだから、私にとっては楽勝。みんなが耳を押さえたり身構える中、普通に蓋を開けて用意されたコップに注いでいく。

「…あまり派手じゃないのね」

コップを持つ巻淵さんが、キャバ嬢に見えそうになる。中二でそんなに色気があると、お姉さん将来が心配でなりませんよ?彼女の爪やセットしてある髪を見て、一瞬お隣の席の村野さんを思い出した。おしゃれが似合っている人と背伸びしている人の差を見たような気がする。板についていないんだ、村野さんは。

「なに?」

あまりにジッと見ていたので、巻淵さんがこちらを見返す。

「い、いや、綺麗なイヤリングだなって」

「早くピアス開けたいけど、校則だからね」

ふふっと笑う彼女は耳をそっと触る。また村野さんと比べてしまった。そんなのいけないのに。

「ピアス開けたいんだ」

「だってイヤリングだと痛いでしょ?」

「あ、あー、はさむからか」

「それに、開けたら運気が変わるって言うじゃない」

「うん」

「それにあやかりたいの」

「そっか」

伏せ目がちに微笑まれると、何か力になりたくなる。何か悲しいことでもあったんだろうか?

「ほらほら炭酸抜けちゃうし、から揚げ冷えちゃうよ、早く乾杯しよう!」

「ヒナ、あなたの部屋なんだから、乾杯の挨拶しなさいよ」

「はーい!じゃ、かんぱーい」

「乾杯!」

みんなでグラスを鳴らし合い、口にシャンメリーを運ぶ。

「まずはから揚げ食べて、揚げたて最強なんだから!」

堤さんがみんなのお皿に二、三個から揚げを載せていく。

「それよりケーキを冷やしておいた方がいいんじゃない?部屋が暖かいから危ないわ」

そう言うと三条さんはケーキを箱に戻す。

「それは危険、私冷蔵庫に入れてくる」

机の引き出しからメモ紙を取り出すと、サラサラと何かを書いてケーキの箱に貼り付けた。

『ヒナ クリスマスパーティの大事なケーキ、食べるとおこっちゃうぞ!!!』

可愛い注意文を読み、微笑ましい気分になる。

「イッテキマス」

堤さんが指令を受けた兵隊のように敬礼をすると、慎重にケーキの箱を持ち部屋を出て行った。

「ヒナのうち、兄弟がいるのよ」

「だからメモを付けたんだ。子供なら冷蔵庫にケーキを見つけたら普通食べちゃうもんね」

「大きなケーキですし、ご兄弟と分けても」

「高校生と小学生の男の子だから、半分以上は消えるわ」

「なるほど」

堤さんは3人兄弟の真ん中でしたか。でも男に挟まれてあの可愛さが変わらないなんて…。

「堤さんがあんなに可愛いなら、兄弟も可愛いんだろうね」

優しい三兄弟を思い浮かべ、つい微笑んでしまう。

「いんや、体育会系だよ」

「え」

「ほら、ヒナんち肉食だから」

山崎さんに言われて、筋肉ムキムキの兄弟を…堤さんの顔からお兄さんや弟さんの姿が想像出来ない。ほわほわムキムキ男子?

「まぁ明日明後日は忙しいらしいよ」

「稼ぎ時らしいわ。クリスマスチキンやローストビーフとかが人気でうちも予約しているけど、かなり売れるから準備が徹夜だって」

ふぅ、と三条さんがから揚げのお代わりをする。

「それは美味しそう」

「マジで美味しいよ?伊賀崎も家に話して買ってみるといい」

そういうと山崎さんが美味しそうにから揚げを齧っていく。カラリと揚げられている鶏皮の音がまた食欲をそそる。堤さんがいないけど、先に食べていいよね?とさっそく頂いた。

「うん、美味しい」

から揚げってなんでこんなに美味しいんだろうねぇ。すぐに二個目に箸をのばす。

「でもクリスマスにお仕事なんて、大変なんですね」

愛梨ちゃんが上品にから揚げを摘む。

「恋人でも出来たら、大変でしょうね」

「そっか、クリスマスデートが出来ないのか」

堤さんなら、すぐに彼氏が出来そうだがイベントが難しいのか。

「それもあるけど、あの兄弟が許すかどうか…」

何かを知っているようで、三条さんが心から心配していた。シスコン?シスコンなの?堤三兄弟は!

「そういう三条はクリスマスの予定は?」

「…宿題が出ているでしょ」

「あっはっは、やっぱ無しだよね。美咲は?」

「別に」

「ならヒナには悪いけど図書館で勉強でもする?」

「ごめんなさい、私は用事が」

愛梨ちゃんが謝る。

「ん?用事があるの?」

「恐らく」

お金持ちのお嬢様だから、そういうパーティでもあったりして。

「んじゃ、伊賀崎は?」

「多分大丈夫。でも家に聞かないとなんともいえない。弟の面倒があるから」

「なら三条と美咲とで集まるか」

「私も無理」

巻淵さんが視線を合わさずコップを見つめながら答える。

「用事が…あるの」

「え?もしかして、デート?」

「さぁ…分からない」

意味深の答えにみんなが固まる。

「どういう」

山崎さんが詰め寄ろうとした所で部屋の扉が開いた。堤さんが帰ってきたんだけど、様子がおかしい。

「駄目よ駄目!女の子のふわふわパーティなんだから、男子禁制よ!」

そう言うと扉をすぐに閉める。

「紹介ぐらいしてくれよ」

男の人の声が聞こえた。これはお兄さん?

「駄目、出来ない、無理」

「ヒナの学校での話を聞きたいだけだから」

「ダメー!ヒナの友達はみんな可愛い子ばかりだから狙ってるんでしょ!」

「おいおい、お兄ちゃんをそんな目で見ないでくれよ」

「クリスマスの仕込みあるんでしょ?早く行ってよ!!」

扉の問答は10分ほど続いた。最初は驚いたけど、から揚げやポテトを食べながら演劇でも見ている気分で堪能させてもらった。三条さんたちを見ると、これが通常のよう。溺愛されているんだな、堤さん。


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