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少し短いですが投稿します。また近々新しいエピソード追加予定です。

慌てて教務室へ駆け込み、ウィットモア先生を呼びつける。ハワード先生は不在のようだ。

学園から走って数分。裏庭へ駆け込むと、巨大化したアネモネが大人しくそこへ身を潜めていた。

 

 『アネモネ、ちゃんと言うこと聞けたんだね、良い子だね』


 そこから動くなという命令を忠実にこなす可愛いアネモネ。しっかり撫でてやると、気持ちよさそうに目を閉じる。


 「わ、わーーーー!!!!!なんだこれぇ!!!!!」

 『うるさっ』


 毛並みを堪能していると、後ろから物凄い勢いで叫ぶ成人男性、もといウィットモア先生。眼鏡をガチガチと音を立てながら直して、アネモネを凝視している。


 「本当に幻獣ジズだったなんて!!!えっ!!どうするのこれ!!!!」

 『先生信じてなかったんかい』


 先生は遠慮なくアネモネに触り、匂いを嗅ぎ(?)、姿をスケッチしていた。忙しい人だな。

 そういえば、と手を叩いて思い出した。アネモネが大きくなった原因について先生に聞かなくては。アネモネが咥えていた石を拾って持っていく。



 『先生、実は』


 事の次第を話し、今はただの石ころに成り果てたそれを手渡すと、なるほどと呟く。


 「これは魔力石だね。魔力石には大きさにもよるが沢山の魔力が詰まっている。この大きさなら、魔法士の魔力1回分は回復できるはずさ」

 『先生、これとアネモネが大きくなった事、何が関係してるんですか?』

 「恐らく、魔力をアネモネが吸ってしまったために体が成長してしまったんじゃないかな?」


 さらりと白銀の羽を撫でれば、アネモネは先生の手に擦り寄った。なんか、懐いてるな。先生もとても嬉しそうで、好奇心が止まらない青年のような表情だ。


 『アネモネの躾、徐々にしてこうと思ったのに…』


 犬などもそうだが、子供の頃から育てると言うのは躾のしやすさが違う。アネモネに当てはまるかは不明だが、雛鳥からなら躾がしやすいと思っていたのに。肩を落とす私に、ぽん、と手を置く。


 「大丈夫だと思うよ。この子は君と契約を交わしている。普通の魔獣とは違い、懐きやすさや躾のしやすさは段違いだ。現に、この子、君の言う事聞いていたんでしょ?」

 『は、はい』


 見上げれば、琥珀色の瞳が自分を見下ろしている。そして、ゆっくりと頭を押し付けてきた。

 (力加減も出来ているし、言う事も聞ける。この子、頭がいい)


 「僕も協力するからさ、ゆっくり育てていこうよ」


 ね?と優しく微笑みかけられれば、それ以上弱音は吐けず、小さく頷くしか出来なかった。




⭐︎⭐︎





 夜、シャルとハンナさんを連れて裏庭に連れていく。そして、成長したアネモネを見せると目を見開いて驚いていた。シャルは、星にも負けないばかりの瞳を輝かせてアネモネを見つめる。


 「…幻獣、初めてみたわ」

 『この世界の幻獣って、やっぱり貴重な存在なの?』


 そんな素朴な質問に、当たり前でしょ!と強く肯定される。ハンナも同様に頷く。


 「幻獣は、この世界では伝説なのです。一生に会えないのが普通ですが…。私たちはとても幸せ者のようです」

 「幻獣を見ると、一生幸せになれるんだって!」


 シャルはおずおずと、アネモネに手を伸ばす。アネモネは早くさわれと言わんばかりに体を押し付けた。白い羽毛にシャルは飲み込まれている。ハンナさんも、ゆっくり撫でていた。

 するとアネモネは、自分の翼を突いたかと思うと嘴に咥えた何かを床に落とした。それは3枚の立派な羽であった。


 『アネモネ、くれるの?』

 「きゅーん!!」


 私の言葉を肯定するかのようにアネモネは高く鳴いた。

羽は一枚でも2mありそうなほど巨大。貰っても正直困るような…、どうしたものかとシャル達を横目で見ると、羽を持ち上げ固まっていた。


 『シャル?どうしたの?』

 「ああああああ貴方、ここここれがどれほど価値があるものかご存知⁈⁈」

 『え?まぁ、幻獣の物だから価値はつく筈だよね?』

 「そんな言葉では言い表せないくらい、価値のある物ですよ。この羽一つで国同士が争いますよ」


 え゛っ。そんな物騒なものを3枚もよこすんじゃない!!!抗議するように目で訴えると、ぱちくりと瞬きした後、アネモネが羽に向かって息を吹きかけた。

 『え、羽が』

 きらきらと光が羽を包みこむと、一筋の光となり手首に巻きつけられた。光が飛び散ると、腕に巻かれていたのは細身の銀のブレスレットだった。

 「〜〜〜〜!!!!!」

 ばたり。

 「お、お嬢様ぁぁあ!!!」

 ばたり。

 2人とも、ブレスレットを見た瞬間、倒れ込んでしまった。何故?

 月夜に輝く銀のブレスレットは、曇りなく夜空を映し出している。とても綺麗な贈り物。なんて嬉しいんだろうか。アネモネに抱きついてお礼を言うと、ペロリと頬を舐められた。



⭐︎⭐︎




 後からシャルに聞いた話だと、この腕輪は聖宝といって強力な力を秘めている武器、あるいはお守りなのだそうだ。王族や勇者と呼ばれるものにしか所有を許されていないとか。


 『え、それじゃあバレたら没収されちゃうんじゃ!』

 「そうよ、だから人目に付かないように隠しておきなさいよ。王族のやつには特にね」


 そう言われて思い起こすのは、召喚式でドラゴンを召喚していた王族の嫡男。エリオス・ベルモンテ・グランディアという人物。人当たりもよく、皆から慕われている様子だ。

 銀に輝く腕輪は、ワイシャツの袖にしっかり隠すこととなった。




⭐︎⭐︎




 教室の隅で、モンフォート嬢と話している平民出身の彼女。召喚式で卵を2個召喚して、笑い者になったナナホシという女の子。僕には、そんな失敗は許されない。

 (あの子のような落魄れた奴にはならないようにしなければ)


 「おはようございますグランディア王太子殿下。ご機嫌麗しゅう」

 「お荷物お持ちいたします」


 今日も僕のご機嫌を伺いに貴族の子供が集まってくる。当たり障りのない会話をして、1番前の席に腰を置く。皆の模範にならなければ、次期国王として。


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