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55/55

55.ずっと一緒に

結局、あばら骨2本が折れ、全身打撲もあったサラフィナ。

皇后キャサリンの治癒魔法で骨の固定と痛み止めをしてもらったものの、3週間は絶対安静だった。


一か月後の建国記念日舞踏会には車いすでの参加が決定だ。

夜景の見える丘でのやり直しプロポーズ作戦も、当然延期である。


「怪我が治ってからでいいよね、焦らない、焦らない」

そうのんびり構えていたのは当の二人だけだったようだ。


「なんとかその辺のプロポーズで手を打ってくれぬか。建国記念日に二人の婚約を発表したいのだ」

そうサラフィナに泣きついてきたのは、皇帝ユアン本人だった。

相変わらず皇族の結婚に前のめりすぎるわね、この国は。苦笑いを隠せないサラフィナだったが、これ以上こだわるのもなんだか自分のわがままのような気がしてくる。


というわけで、現在二人は皇城の薔薇園を散策中である。サラフィナの乗る車いすをレンリッヒが押しているのだが、あちこちの茂みに人が隠れ、聞き耳を立てているのが分かる。

や、やりづらい……。


「なんか、ごめん」

「レンが謝ることじゃないわ。でも久しぶりに皇族って大変だなって思っちゃった」

「俺と結婚するってことは、皇族のめんどくささが漏れなくついてくるよね、ごめん。本当ならサラにはもっと自由な生き方もあるんだと思う。でも、やっぱり、どうしてもサラがいいんだ。ずっと一緒にいてくれないかな?」


答えはずっと前から決まっている。

ただシチュエーションを楽しみたかっただけなのだ。

「不束者ですがこちらこそよろしくお願いします」


「よっしゃぁ!」

そう声を上げたのはレンリッヒではなかった。皇帝ユアンだ。

そして拍手をしながら茂みから次々と人が出てくる。使用人たちまで続々と。

「ほんとにもう……」

呆れながらも、こんな愉快な家族や仲間たちと生きていくのも悪くないかな、なんて思うサラフィナだった。



翌年4月。

新緑が輝くよく晴れたこの日。

グランヴィル帝国皇太子とヴォード公爵令嬢の結婚式が執り行われた。


あの大量のワイルドボア?怪我が治った後、ちゃんと届けましたよ。

これにより帝国とアサムーン国の絆はより強固なものになったのだとか。


レンリッヒとサラフィナの規格外の魔法は国内外に知られることとなり、危険を冒してまでホルズ村を救いアサムーン国に食料を届けた二人は、国民から絶大な支持を得ることとなった。

もちろんルイポルトは別格である。彼は男の子たちの永遠のヒーローだから。


純白のウェディングドレスに身を包み、長いレースのベールを引きずりながら、サラフィナはゆっくりとオープン馬車に向かう。彼女の手を引くのはたった今大聖堂で永遠の愛を誓ったばかりの夫、レンリッヒだ。


「最高にきれいだよ、サラ。さあ、集まった国民に俺の奥さんを見せびらかそう!」


沿道には多くの国民が集まり、旗を振っている。

「おめでとうございます!」「お幸せに!」

詰めかけた人々からかけられるたくさんの祝福。あふれる笑顔。

今日、馬車の上から見るこの景色を一生忘れないでおこう。

自分達にはほんの小さなことしかできないかもしれない。それでも一つでも多くの笑顔を守るため、やれるだけのことをやろう。そう誓うサラフィナとレンリッヒだった。


帝都グランシティの中心部をゆっくりと周り、馬車は皇城へと戻ってきた。

この後は各国からの来賓を招いた晩餐会である。

馬車を降りようとしたその時、

「申し上げます!ハートフィールド侯爵領にて土砂崩れが発生!村が一つ孤立!けが人も出ている模様です!」


思わず顔を見合わせるサラフィナとレンリッヒ。

「行こう、サラ!」「ええ、レン!」


二人の物語はまだ始まったばかりだ。

ただただ、楽しく書かせていただきました。サラとレンのお話、完結です。

つたない文章にここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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