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黒色のドレスのオーダー

前回までのあらすじは!

どうもグリムヒルデです。

白雪姫のバースデーパーティに乗り込むため、ドレスを仕立てようと商人ロナウドの紹介でデザイナーを呼んだけど、そのデザイナーのミス・ローゼンベルクはこの時代背景にはあまり見ない、女装した隣国の第3王子だった。


そして今、ミス・ローゼンベルクに警戒されているようで……


とりあえず突っ立ったままにさせる訳にはいかないだろう。

ミス・ローゼンベルクに椅子を勧める。

こういうのは出だしが肝心である。



「ミス・ローゼンベルク…あなたには私の戦闘服を作って欲しいの」


「戦闘服……?ですか?」

ドレスを作るために呼ばれたのに戦闘服を作ってほしいと言われればみんな、首を傾げるだろう。

ミス・ローゼンベルクも何を言ってるんだ?という顔で首を傾げる。


「社交界や王城は一筋縄ではいかない。そんな所だわ。そして社交界や王城ではドレスは自分の権威をもっとも表せられる物だと思っているの。王様の王冠は権威を表す象徴…そうでしょう?」


ミス・ローゼンベルクはハッとした顔をした。


「このミス・ローゼンベルク…全身全霊を注ぎ、女王様のドレスを作らせて頂きます」


ミス・ローゼンベルクは片膝をついて、騎士の礼をした。

その瞳にはもう私のことを探るような色はなかった。


そこからミス・ローゼンベルクとの相談が始まった。


「白雪姫のバースデーパーティが来月開かれるわ。それまでにドレスを仕上げてほしいの」


「これはまた無茶なことを言ってくれますわぁ…私、売れっ子デザイナーなんですよ?」


「でも、ロナウドの紹介だもの。あなたならできるでしょう?凄腕デザイナー、ミス・ローゼンベルク?」


「あら…これは1杯食わされたましたわ。ロナウドの野郎に昔の借りを返せと言われて断れませんでしたのよ…いいでしょう。どんなドレスがお好き?」


ミス・ローゼンベルクにこんなドレスがいいとあらかじめ羊皮紙に描いておいたドレスの大まかなデザインを見せる。


このお話はパニエなどでお尻などを下を膨らませ、コルセットを締めて腰やお腹のくびれを強調するドレスが主流だ。

でも、私にパニエとかフリルのあしらったドレスは似合わない。

なら、自分に似合うドレスを生み出せばいいじゃない!


そのデザインはミス・ローゼンベルクにとって革新的な物であった。

その名もマーメイドドレス。

ニホンの記憶を持つグリムヒルデにとっては、なんてことのない代物であるが、それはミス・ローゼンベルクに大きな影響を与えた。


「このドレス……なんて新しいのかしら!こんなデザイン見たことがない!上品で優美な印象を受けるこのラインに、セクシーさも兼ね備えている!」


ミス・ローゼンベルクは大興奮だ。


「さっきの言葉は前言撤回しますわ!こんな素敵なドレスを作らせてもらえるなんて感激よ!」


よかった、ミス・ローゼンベルクが新しい物に対して否定的な人じゃなくて。


当日つけるつもりである、ロナウドから買ったダイヤモンドの腕時計をミス・ローゼンベルクに見せる。


「当日はこの腕時計をつけて参加するつもりよ。」


「あら、これはロナウドの店の商品ですわよね?しかもすっごい高い…わかりましたわ。それに合うドレスに仕上げます。ドレスの色はお決まりですか?」


「えぇ、黒でお願いするわ」


「は?黒…?ですか?」


ミス・ローゼンベルクの目が点になっている。

パーティーに黒いドレスを着る人なんていない、しかもバースデーパーティにだ。


黒いドレスを着る時は、喪にふくすという意味だ。

バースデーパーティに喪にふくすという意味の黒色のドレスを着る。

目が点になるのは仕方ない。


でも白雪姫の誕生日は同時に白雪姫の母である前妻の女王様が死んだ日、つまり命日にあたる。


ミス・ローゼンベルクは少し考える素振りをしたが、私に何も聞き返すことなく「わかりました」と承諾した。


そして私が描いたデザイン画を少しアレンジすると、これでどうですか?と見せる。


薔薇のレースの手袋、蔦のようなデザインのドレスのレース。

ミス・ローゼンベルクが手を加えグッとオシャレになった。


靴は黒じゃなくて赤いヒールを勧められる。

これは控えめに言って最高にかっこいい。


「これ…1ヶ月以内に作れる?」


「女王様のデザインしたドレスが流行れば更に私の知名度も上がりますもの!作れるかではなく作ってみせます!」


ミス・ローゼンベルクから力強い返答をもらい、ホッとする。

服のオーダーメイドは通常、最低2、3ヶ月。最高で1年はかかるものもある。


「もし何か必要な物があったら揃えさせてもらうわ。サポートだってするわ。なんでも言ってちょうだい」


「かしこまりました」


そう言うとミス・ローゼンベルクはデザイン画をまとめて帰り支度を始める。


「あら、もう帰るの?お茶くらい飲んでいかれたら?」


「いえ、そんな時間も惜しい。早速工房に持ち帰って製作にかかります。」


そう言うミス・ローゼンベルクの顔はとても凛々しかった。

彼に任せれば素敵なドレスが出来上がることでしょう。


さて、白雪姫のバースデーパーティまでに城内のメイド達の粛清を進めましょうか。


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