表情筋とコンプレックス
どうも!皆さんこんにちは、こんばんわ!お久しぶりです!え?そんな久しぶりじゃない?
まぁまぁ、そんな話は置いておいて…改めまして。白雪姫の物語に出てくる悪役といったらこの私!
白雪姫の義理の母で魔女で世界で二番目に美しいと鏡に言われる(何故か、私の魔法の鏡は言ってくれないけど)この国の女王にして、魔女!クイーン・グリムヒルデと申します。
さすが童話の中でこの世で二番目に美しいと言われるだけあって、きれいな顔をしていると私は思います。
いわゆる自画自賛なんですけど……
それに美の価値観なんて人それぞれですし、「世界で一番美しい者はだぁれ?」と質問した時なんて、鏡にバカにされましたし!
魔法の鏡があったら、この質問をしてみたくなるのが乙女心じゃないっ!本当にわかってないんだから!
話が脱線しちゃった、いけないいけない!それで話を戻すんですけど…不機嫌そうな美人とニコニコしてる優しそうな美人、一緒にいたいのはどっちだろう?と考えたんですよ。
100人中99人がニコニコしてる美人を選ぶだろうって!残りの一人?世界には様々な趣味趣向の人がいるんで…不機嫌そうな美人に睨まれたい人とか…つまりは、そういうことです。
私は長年お城でメイドや使用人たちにバカにされ、蔑まれてきたわけですよ。
怒りや悲しみを押し殺し、旦那である王を支えようと弱味を見せないように無表情の仮面をつけて。
女は笑顔が一番の化粧と言います、社交の場では笑顔が大事です。
鏡とにらめっこしながら笑顔の練習をすること30分。
不気味な笑みを浮かべる美人が目の前にいました。そう、鏡の中の私。
怖い、怖すぎます。魔法の鏡が悲鳴を上げ気絶してしまうレベルで。小さい子供ならチビるレベルですね。
この顔は自分でも悪役の表情にぴったりだと思います。
でも私、悪役になりたくない!鉄を熱した靴なんて履かされて死にたくなんかない!
あら、頬の表情筋がピクピクしてきました。
女王である私の生活費やお小遣いの横領、私物に盗みに嫌がらせ。なぜ白雪姫が私を目の敵にしているにか?解決しなければならないことはたくさんありますが、国民や貴族から支持を受けなければ今の待遇はどうにもなりません。
まずはこの表情筋をどうにかしましょうか。
笑顔、泣き顔、照れた顔、この表情は白雪姫の武器です、私も表情で白雪姫に対抗できなくてはいけません。
幸い前世の記憶の中に表情筋の鍛え方があります。
絶対に白雪姫の誕生日パーティーまでには美しい笑顔を浮かべられるようにしましょう!
えい・えい・おー!
さて!次に取り掛かるのは、このひっつめ髪を布の中に入れるこの髪型。
髪の毛ってポニーテールやお団子にすると老けた印象になっちゃうことってない?
普段、髪の毛を結んでいる人が髪を下ろしてるとあどけない印象になるのもそのため。
そして、なぜ美に執着するグリムヒルデがそんな老けた印象を与える髪型をあえてしていたのかというと……それはグリムヒルデのコンプレックスが関係している。
グリムヒルデの髪色は生まれつきの白髪だった。
だがこの世界では白髪は老婆などの老いの証、貴族や親戚にバカにされ気味悪がられ、嘲笑われたグリムヒルデは隠すことを選んだ。
だが私はこの色素がまるっきり抜け落ちたようなこの髪の色を案外気に入っている。
おばあちゃんになって白髪が出来ても、この髪ならわからないし染めなくてもいいしね!
白雪姫の誕生日パーティーはどんな髪型でいこうか思いを馳せる。
私は世界で二番目に美しいと言われるくらいだもの!どんな髪型だって似合うこと間違いなし!
そうだ、ハーフアップとかいいかも!黒いドレスに白い髪!映えること間違いなしね!
クイーン・グリムヒルデにはもう一つコンプレックスがあった。
それは顔。世界で二番目に美しいと童話で言われていたのに何がコンプレックスなのかというと、なんとグリムヒルデ!いつもの紫のアイシャドウに真っ赤な口紅をとると……あら不思議!強そうというか意地悪そうというか怖そうな顔から、今にでも消えてしまいそうな儚げ美人がそこにいた。
グリムヒルデのコンプレックスは自分の顔が女王としての威厳がないことであった。
夜伽の時、薄化粧のグリムヒルデの顔を見て国王はピシッと固まったのを思い出す。
グリムヒルデは気づいていなかったが、完全に化粧した時との差に驚くのと同時に見惚れていただろうと二ホンの国出身の私は推察する。
白雪姫の誕生日パーティーには今までのイメージをガラリと変えてナチュラルメイクで参加することにしよう。
白雪姫のお母さんを悼むのに、ケバイメイクで行く訳にはいかないし。こっちのほうが絶対にいい。
白雪姫がお人形さんみたいに可愛いのなら、私は伝説の森の妖精エルフのように美しいのよ!
グリムヒルデが愛せなかったところも私が全部愛そう。
この城で唯一味方だと思ってた旦那に裏切られ、義理の娘である白雪姫に目の敵にされ、メイドや使用人にバカにされ、物語の中ではみんなに嫌われ最後は熱された鉄の靴を履かされるという残酷な方法で殺される、物語の悪役クイーン・グリムヒルデ。
あなたは私、私はあなた。二人でバカにしてきたやつらに鉄槌を下してやるのよ!
クイーン・グリムヒルデは記憶を遡っても、白雪姫に嫌がらせなんてしていない。
むしろ仲良くしようとしていた、だが身に覚えのない噂が流されメイドや使用人には嫌がらせされ精神的に参っていたのだ。
今ならわかる、白雪姫は初めから私のことを敵対視していた。
私が死んでハッピーエンドなんて物語の筋書き通りにはさせないわ!
そもそも白雪姫があんな性格な時点で物語の筋書きから大きく外れてるじゃない!
迎え撃つ準備は万全よ!!
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