休暇
男side
簡易的な風呂場で体を洗い、服を着替えたところで俺は少女の部屋に向かった。
彼女に厳しい言葉をかけてから顔も合わせていなかったことに申し訳なさを感じてきたのもあるが、単純に俺が少女に合いたくなったからだ。
少女の部屋の前に着き、俺は扉をノックする。
「俺だ、少し話さないか? 」
「お兄さん、うん! 」
少女は笑顔で自分の部屋の中へ招き、嬉しそうに俺の向かいに座った。
まるで俺は何も言わなかったかのようだ......。
「こないだは厳しいことを言って悪かったな。でもそう考えないと生きていけない世の中になっちまったんだ。
お前は生きづらいと感じるかもしれねえが、その分は俺がカバーしてやる。」
「ありがとうお兄さん。
でもね、私決めたの......。
お兄さんたちに守ってもらいながら、自分自身も強くなるって! 」
少女の目は、確かに現実に向き合う覚悟が決まっている目だった。
前の弱弱しい彼女とは違う、優と似たような雰囲気だ。
「そうか。それならそれでいい。
強くなったな、お前も。」
その言葉に少女は笑顔を浮かべた。
その屈託のない笑顔に俺まで嬉しくなってしまい、口元を緩め少女の頭を撫でた。
「まぁ、ここんところは血の気の多いことばかりしてきたからな。
たまにはお前と遊ぶとするか。」
そういって俺は優からもらった人生ゲームのボードを床に広げた。
少女はまるで見たことのないものを見るように興味津々にそれを眺め、俺に話しかける。
「初めてやるから難しくてわからないかも......。」
「大丈夫だ、ルールは簡単だからな。」
少女に一通りルールを説明すると、早速彼女は車のミニチュアに人を模したピンを指し、スタート地点にそれを置いた。
「お兄さんより運がいいから負けないよ! 」
「俺も負けてられないな。」
俺たちはつかの間の休暇を、心行くまで満喫した――。
優side
感染者の群れを倒してから、お父様が忙しなく動いていた。
その忙しそうな様子から私はお父様に声をかけることもできず、一人廊下を歩いていた。
「雪が止んだわね......。」
窓を見ると振り続けていた雪は止み、地面にはうっすらと雪が積もっていた。
ストーブもない廊下は酷く冷え、私は足早に自分の部屋に向かった。
向かう途中、彼と少女の楽しそうな声が聞こえ、扉に聞き耳を立てた。
「お兄さん運いい!
やっぱり私かてないよぉ......。」
――何かのゲームかしら。――
私は気になって仕方なくなったから、ノックもせずに扉を開けた。
するとそこではボードゲームが行われていて、笑顔の少女とそれを見て微笑んでいる彼がいた。
――いつもの、風景みたいね......。――
「優お姉ちゃん!
お姉ちゃんも一緒に遊ぼうよ。」
「優も参加するならもっと楽しくなりそうだな。」
二人に誘われて、断る理由もなかった私はその「遊び」に参加した。
久しぶりの遊びはとても楽しく、私の中の病みもなくなった気がした。
それでもどこかで、真奈美が離れなかった――。




