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第17話 Conflict

アヤとの共同作戦です。

 アヤから受けているレーダー共有で右下の緑の点が急速に上へ移動を始めた。

 アヤが接敵したら突撃だ。


 レーダー上でアヤが相手と接敵した。即座に飛び出す。

 レーダーは向いている方向が上になる機能があるらしい。

 この能力、便利だな。


 敵の姿とアヤの姿が見えて来た。

 アヤは動きやすそうなデニムのパンツとレースのブラウス姿だ。

 敵は迷彩柄の上下で背は高めで痩せ気味だ。見た目からは欧米人に見える。


 アヤが拳と蹴りの連打を入れているのが見える。

 あれで弱い方っていうんだから『異能者』は怖い。


 対して相手は無表情でアヤの攻撃を捌いている。

 弓は手放して素手で対応しているのが見えた。

 あと10mほどで俺も接敵する。

 右手の鉄パイプに『異能』を篭める。


 恐らく、今篭めた『異能』を感知した敵がこちらに気付いた。

 視線を一瞬こちらへ向け、俺の鉄パイプに注視した。

 もう遅い。

 相手の下から突き上げるように鉄パイプを突き出した。


 敵はそれを左手で防ごうとした。

 『異能』が篭もっているのが解っているからだろう。

 アヤもそれに合わせてローキックを当てる。

 敵の動きが一瞬止まる。

 敵は左の手の平で鉄パイプを受ける形になった。

 鉄パイプは先を斜めに切って竹槍のようにしてある。

 かなりの『異能』を込めたが刺さらずに受け止められた。


 しかし俺は構うことなく力いっぱい押し込める。

 鉄パイプがずれる感触と共に風船が破裂したような音がした。

 俺はその音と共に相手から一気に3m程下がる。


 敵の射手の左手の平から血が落ちる。

 そして二の腕には俺が射出した矢のシャフトが刺さったままになっている。

 どうやらぶっつけ本番でなんとかなったようだ。


 鉄パイプは二重構造になっていて内径と外径の等しい2本の鉄パイプを用意した。

 工場内にたまたまあっただけだが。


 それを外径の大きい方を外径の小さい方に差し込んでズレるように組み合わせた。

 ズレるとL字型をしたパーツ内に溜め込んだ圧縮した空気が、外径の小さい方の鉄パイプに流れ、

 中に入っていた弾を飛ばす仕組みだ。そのためにスリットを切ってある。

 空気の圧縮は『異能』を使ってやった。


 簡単に言うと空気銃なんだが、トリガーを造る前に敵襲があったので何もできなかった。

 多分こんな変な作りにしなくても銃になったんだろうけど、空気の漏れがなくて本当によかった。


 空撃ちした時に成功はしていたからトリガーや弾を造ろうと思っていたのだが、間に合わなかった。

 だからさっき矢を射られた時に刺さったのを流用させてもらった。

 外径の小さい方の鉄パイプに突っ込んで鏃の形を少し変えたのだ。

 

 今度はもうちょっとちゃんとしたものを作りたい。パーツとネットを見て作り直そうと思う。

 今回の作りはサメ撃ちの銃を参考にした。空気銃のトリガーを造るための資料がわかりにくかったからだ。


 さて、相手にはそれなりにダメージを与えた。奇しくも同じ左の二の腕の負傷の上、手の平で防御したから

 手にも風穴が開いてボトボトと血が出ている。

 

 射手はため息をついて左手に『異能』を集中させ、止血をした。

 鮮やかな集中だった。力を感じた途端、ピタっと血が止まったのだから。

 そして射手は初めて口を開いた。


「見事だ。『異能』に『覚醒』してまだ二週間程度とは思えない。

 さて、ここから交渉になるんだが、お互いにこの場は手を引かないか?」


 声の質から間違いなく男であろう。

 いきなり何を言い出すんだろう、ただ今の状況からするとこちらとしてもありがたい。

 多分まだアヤとのテレパシーのチャネルは切れていないはずだ。聞いてみよう。


(アヤ、聞こえるか? どう思う?)


(聞こえるわ、私としてもその提案が本気ならありがたいわね。

 そいつ、明らかに強いわよ。手加減されてる。

 シュウジのソレが思ったより威力あったのも驚いたけど)


(この銃もどきか、よく動作したよなぁ)


(何もしないより全然マシだし、上手く行ったからいいじゃない。

 ちょっとあたしから交渉してみるわ。)


(すまん、任せた)


 情けないが、事情をよく解っているのはアヤの方だろう。

 交渉をするなら俺よりアヤの方が向いているはずだ。


「あら、交渉も何もシュウジを連れて行きたいのは貴方たちではないの?

 あたしは少なくともそう聞いてるわ」


 その問いに射手はこう答えた。


「それはそこの建物の中で気を失ってる男が言ったんだろう?

 連れてこい、というのは間違いではないがね」


 アヤは少し考え込んで言葉を継いだ。


「……なるほどね。単刀直入に聞くわ。貴方達、『エクソダス』の所属よね?」


 アヤの言葉に射手の男は右眉を少し上げて反応した。


「『エクソダス』を知っているのなら話は早い。我らの理念を知っているだろう?」


「ええ、全ての『異能者』を開放する、だったかしら? あたしはテロリストとして認識しているのだけども」


「我らは『異能者』の自由を目指しているだけだ。テロリストとは呼んで欲しくないものだな」


 そういえば前に『エクソダス』という名前を菊川さんから聞いたことがある。

 迫害された『異能者』がテロリスト化をするとか、だったかな。


「呼んで欲しくない、も何も各国から指名手配が出てるのは動かぬ事実でしょ?

 事実拉致もしてるじゃない。シュウジだって問答無用で襲われたんだし」


「あぁ、あれは本当に死ぬかと思ったぞ。」


 俺はアヤの言葉に頷く。

 射手の男は肩を竦めてやれやれ、といった体で答えた。


「あれは本当に済まなかった。今日もそんなつもりではなかったのだが。

 あの男、橋本なんとかという新入りが功に焦ってな。

 ダンが拾ってきたのだが、どうにも手綱が取れてなくて困っている。

 言い訳にはなるがね。俺も君がどう戦うのか見てみたくなったのだから」


「橋本……? 金髪のヤツの事か? ダンってのは?」


 俺が戦ってたのは、やはり新入りだったのか。


「そうだ、その金髪の男だ。ダンっていうのはそこで戦ってる、ごつい男だ。

 俺たちの仲間の一人だ。申し遅れたが、俺はガドという」


 改めてガドと名乗った男を見る。背は高いな、少なくとも180cmくらいある。

 痩せてはいるが弱さは感じない。筋肉質で『痩せマッチョ』と呼ぶのがふさわしい。


「俺は久我山 修二だ」


「何を呑気に自己紹介してるのよ! ここは戦場よ!!」


「アヤ、挨拶は人としての基本だぞ? おかんがそう言ってた」


「シュウジ、あんた頭おかしいんじゃないの!? 相手を見て言いなさいってことよ!」


 すっごいキレてるな、アヤ。


「シュウジにアヤ、な……仲が良いのだな。まぁ、いい。お前達のことは知っていた」


「あたしの名前もバレちゃったじゃない! って知っていたってどういうこと?」


「そのままの意味だ。『エクソダス』では『異能者』の情報を集めているからな。

 保護すべき者や敵対するであろう対象を中心に集めている。不思議なことではなかろう?」


「確かにそうだけど……あたしはともかく、シュウジはどうして? 覚醒もまだしていなかったのに」


「さぁな、こちらも上の指示でな。覚醒前に穏便に連れてきて欲しいっていう指示だった。

 覚醒したのなら連れてこなくても良いとも言われてはいたがね。

 橋本なんたら、というのが『まだ覚醒していない、邪魔が入ったから撤退した』 と言っていたのだよ。

 我らとしては君に危害がなければそれで良かったのだが。

 確認の為に訪れたのだが、流れが戦闘になってしまってね。興に乗じて攻撃して申し訳なかった」


 彼はそう言い、頭を下げた。

 興に乗じてというレベルか、腕貫通したんだけど……


「ちょっと殺意が強すぎでは? 二の腕を貫通してるのは当たりどころが悪かったら死んでいるのでは」


「それはお互い様だな、俺の腕にも刺さっているしな。意外と強い攻撃で驚いた」


 ガドはそう言いながら左腕の矢を引き抜いて『異能』を右手に集中して傷に手を当てた。

 ……傷がなくなっている。続いて穴の空いた左の手の平も同じように手を当てると傷が消えた。


「ヒーリングも使えるのね。あたし達に見せてよかったのかしら?」


「何、構わんさ。君の腕も治しておこうか? 停戦を申し出たい」


 ガドは俺の腕を見てそう言った。


「治してくれるのはありがたいけど……アヤ、どうなんだ?」


「そうね、こちらとしても今戦っても利がないわ。相手に敵意がないのもわかったし治してもらいなさい。

 この人、かなり強いわよ。本気で戦ってたら多分負けてた」


「では、停戦だな。すぐ治そう。それとあちらで戦ってる二人も止めないとな」


 なんとか会話になりそうだ。

 これで家に帰れるようになればいいんだけどな……

なんとか落ち着きました。これから説明回です。

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