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『異世界リペア工房 ~ハズレスキル「鑑定・修理」でガラクタも人生も直します~』  作者:


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第15話 王都からの依頼


朝。


「ご主人様!」


「起きてください!」


リペの声で修は目を覚ました。


「……おはよう。」


「おはようございます!」


「今日は壊れてません!」


修は目を丸くした。


「本当に?」


「はい!」


リペはその場で一回転した。


「見てください!」


クルン。


ドンッ。


柱にぶつかる。


「痛いです。」


「惜しかったな。」


修は苦笑した。


「あと一歩だった。」



チリン。


工房のベルが鳴る。


入ってきたのは町長だった。


「修君。」


「例の手紙だが……。」


町長の後ろには、一羽の配達鳥が止まっている。


修は手紙を受け取った。


封蝋には王家の紋章。


「本物ですか?」


町長は頷く。


「間違いない。」


修は封を切る。



王都リーヴェル修復局より


異世界リペア工房 森谷修殿


あなたの修理技術について各地より報告を受けました。


王都には現在、いかなる職人にも修復できない魔道具があります。


ぜひ力を貸していただきたく、ご招待申し上げます。


なお、報酬についてはご安心ください。



修は最後の一文を読み終える。


「……報酬はご安心ください、か。」


ガインが笑う。


「王都は気前がいいぞ。」


ルナは腕を組んだ。


「気になる。」


「私も見てみたい。」


町長も頷く。


「町としても行ってきてほしい。」


修は少しだけ考える。


そして笑った。


「行ってみよう。」


「でも。」


「工房はどうしよう。」



その瞬間だった。


パン屋のおばちゃんが顔を出した。


「留守番なら任せな!」


続いてガイン。


「俺も毎日様子を見に来る。」


ルナ。


「工具の管理くらいできるわ。」


町長。


「町で見守ろう。」


修は少し驚いた。


「みんな……。」


町長は優しく笑う。


「修君。」


「この工房は、もう君だけのものじゃない。」


「町のみんなの工房だ。」


修は照れくさそうに頭をかいた。


「ありがとうございます。」



リペは慌ただしく走り回っていた。


「荷物!」


「荷物!」


「旅です!」


修は苦笑する。


「そんなに持っていく物ないだろ。」


「あります!」


リペが持ってきた荷物を見る。


モップ。


雑巾。


ほうき。


バケツ。


「掃除道具しかない!」


「旅先でも掃除します!」


「王都で何する気だ。」


ガインは腹を抱えて笑った。


「はっはっは!」


「さすがリペだ!」


ルナも笑う。


「絶対何かやらかすわね。」



出発の日。


町のみんなが見送りに来ていた。


パン屋のおばちゃん。


時計屋のおじいさん。


ぬいぐるみの少女。


配達鳥の青年。


子どもたち。


修は少し照れながら頭を下げる。


「行ってきます。」


子どもたちが元気よく叫ぶ。


「いってらっしゃーい!」


リペも大きく手を振る。


「すぐ帰ってきます!」


その勢いでバランスを崩し、


荷物が全部転がった。


ゴロゴロゴロ……。


モップ。


雑巾。


ほうき。


バケツ。


町中が笑いに包まれる。


修は荷物を拾い集めながら笑った。


「出発前から賑やかだな。」



町の門を出る。


修は一度だけ振り返った。


工房の煙突から、白い煙がゆっくりと上がっている。


看板が風に揺れる。


異世界リペア工房。


「行こうか。」


「はい!」


リペは元気よく歩き出す。


その時、頭の中に文字が浮かんだ。


【大型依頼開始】


【目的地:王都リーヴェル】


【推定達成報酬:???】


【新たな出会いを確認】


修は苦笑した。


「報酬より……。」


「どんな人に会えるか楽しみだな。」


リペは満面の笑みで頷く。


「はい!」


「今日もたくさん笑顔を修理しましょう!」


修も笑う。


「ああ。」


「行こう。」


二人はゆっくりと王都への街道を歩き始めた。


その旅が、異世界リペア工房の名を王国中へ広めることになるとは、まだ誰も知らなかった。

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