表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第三章 赤と桃の二重奏
32/310

本選前日と一回戦

今日の更新はここまでです。

 武具大会予選を優勝で通過した千棘は決勝の対戦相手、ドグマに傷つけられた鞭の修理をしっかりとコルで行い、一日だけの休日をフェイナとユリス、シエルと一緒に観光しながら過ごしていた。



 特にシエルは貴族の視点からカルフィード共和国の首都を観察しており、その目は次期マクナス家当主の目になっていた。



 千棘とフェイナは昨日の変装した時の格好のままで、千棘を見た街の人々は「昨日の試合すごかった!本選も期待してるよ!」と期待の言葉をいっぱいかけてくれた。



 道行く人に軽く手を振ったりするときゃっきゃしてくれるので軽くアイドルみたいな気分になりながら4人で街を歩いていく。



「にしてもちーちゃんの人気すごいね?」


「ねー?みんな騙されてるのに…」


「え?騙してるんですか?皆さん笑顔ですよ?」


「多分僕が男っていうのが騙してるって事だと思うよ?」


「そういう事ですか!可愛いものは可愛い、かっこいいものはかっこいいでいいのでは?」


「シエルちゃんは考え方が大人でウェイナちゃんびっくりだ…」


「ユリスちゃん的にもびっくり…」


「シエルはノエルに似て、いい成長するって信じてるよ!」


「ええ!お母様は目標です!」



 千棘とシエルのどこかずれた会話に疲れつつフェイナとユリスは二人の後について行く。



 そして外で軽く昼食を取った後、噴水がある広場では明日行われる大会の優勝はどこの工房かという事で賭け事をしていた。



 エルノ・シエル工房は4番人気になっており、その上位1,2,3位はどれも工房名は同じで、代表者の名前と選手の名前が違った。



「ふーん?ちーちゃん四番手だよ?」


「ほんとだー…じゃあみんな僕に賭けておいてよ。頑張って優勝目指す!」


「んー私賭けとかしないからなぁ…ウェイナは?」


「んー…」


「ん?どうしたのウェイナ?具合悪い?」



 ユリスの問いかけにずっと唸り声を上げていたフェイナに千棘が体調を確認するが「いやそうじゃなくて…」と歯切れの悪い感じで言葉を返す。



「この優勝候補の1,2,3位独占しているベルファスト工房の3位…代表者ラン、選手アル…凄い気になる…」


「確かに…ここは明日しっかり確認しておこう。多分この工房の1,2位も結構やり手っぽいしこの工房は要注意だね」


「ん?チヅルもウェイナもこの3位の代表と選手が探してる人かもしれないって事?」


「そうなんですの?」


「うん、その可能性があるね。まぁそれも明日になればわかる事だから今更血眼になって探しに行くとかはしないから、今日は明日の為にこのまま観光続けて英気を養っておこっか」


「そーだねー、でもあらかた回っちゃったけどどうしよっか?」


「こっちのギルドとか見てみたいかも?」


「あ!私も王都のギルドと違うのか見てみたいです!」



 ユリスとシエルは国が変わればギルドは変わるのかという事に興味を持ち、千棘とフェイナの案内でギルドの建物の前まで来た。



 そして二人は、初めて見た時の千棘とフェイナと同じような感想を述べて、冒険者、生産者ギルド両方を全フロアを見てギルドの規模の違いに目を輝かせていた。



 ギルドを見終わった後、かなりいい感じに日が暮れてきたので宿に戻り、各々入浴や食事を済ませて千棘は一人で自分の部屋に行き、フェイナとユリスとシエルは前と同じように三人でガールズトークに花を咲かせてから眠りについて次の日の朝を迎える…。





 ■





「アル、明日ようやく本選だけどよ、体調とか大丈夫か?装備使った感じ、どこかおかしい所とかあるか?」


「完璧。後は私があのチルって子に負けなければ優勝は確実」


「昨日からずっとそのチルって言うのを意識してるけどどうなんだ?」


「どう…?」


「本気出せそうなのか?」


「うん、あの子なら私は迷わず両手剣を使う」


「ふーん…アルがそこまで言うやつがこの世界にもいるんだな?」


「後考えられるのは()()()()()()()()()()


「あー…そうか…あたいらがいるならその可能性もあるわな…」


「まぁ負けるつもりは全くない。最強ギルドの【Daphne】に所属していたから」


「まっそうだな!んじゃ今日は早めに寝て明日に備えるわ!おやすみ!」


「うん、おやすみ」



 ベルファスト工房の二人も明日の本選の為に睡眠を取り、チルと戦う事を楽しみにしながら明日を迎える…。





 ■






「うわ~!予選の時よりも人多い!軽く倍以上いるんじゃない!?」


「しかも会場も広くてステージも予選の時とは違って投影魔法で試合が近くで見れるしすごい…」


「こんな規模のお祭りを一年に一回してるんですね!?」


「まぁ…僕は今からそのステージで戦わないといけないんだけどね…」



 明らかに予選の時とは会場の規模も、観戦している観客の人数も、ステージにかけている設備も段違いによく、カルフィード共和国の一大イベントと評すに相応しいほどのスケールだった。



「じゃあ、今から僕は控室に行ってくるから応援よろしくね?」


「はーい!ちーちゃん頑張って優勝してね!」


「チル頑張ってー!」


「頑張って応援するので優勝してくださいー!」



 フェイナ、ユリス、シエルの順番で声援をもらって千棘は選手一人一人に与えられた控室に移動して大会開始を待っていると大会スタッフがノックをして入ってくる。



 予選の時にも行った武器の製作者と代表者の名前がしっかり一緒か鑑定をかけて調べていくのを見つつ、予選と同じように4つの武器に許可をもらいトーナメント表を見る。



 本選出場の工房は全部で16。



 そのうち前回優勝のベルファスト工房は3枠の出場権をもらっており、ベルファスト工房の名前で代表者三名、選手三名、全て名前が違った。



 トーナメント表通りで行けば第一試合で戦う事になっているベルファスト工房の代表者ラン、選手アルと対戦するのは決勝となる。



 なので3回勝てば4回目で本命と当たる流れだ。



 だが、千棘は優勝候補の2位と初戦で戦い、その次の二戦目では優勝候補1位と戦うなかなかの組み合わせだった。



 トーナメント表の運の悪さに苦笑いしながらそろそろ第一試合が始まるので、控室に備え付けられた魔道具を起動させるとステージの状況が空間に投影される。



 そしてアナウンススタッフがコールをして会場を沸かせ、選手を入場させる。まず本命のベルファスト工房の選手アルは身を軽鎧で包み、頭もフルフェイスの兜を被っていた。



 真っ白で綺麗な片手剣を鞘から抜き放ち、ステージに上がる。



 対戦相手も同じように片手剣を使うらしく、鞘から煌びやかな装飾が施された剣を抜き放ちステージへ上がる。



 そのアルと呼ばれた選手の動きを見逃さないように投影されたステージの状況を確認する…。





 ■





「ふーん…片手剣か…なら違うかもね…」


「ん?片手剣?両方とも片手剣だよね?」


「片手剣が何か悪いのですか?」


「んーん、悪いとかじゃないの。私達の仲間でさ、両手で扱う武器だったら何でも使える獣人の女の子がいたんだけど、ランって人が選んだ相棒は片手剣使ってるからもしかしたら私達の仲間なのかなって思ったんだけど違うっぽいなーって事。まぁ顔までフルフェイスの兜で覆ってるから顔見えないし確定ではないけど……うん、やっぱりランは私達が探してた金欠幼女で間違いなかった」


「なるほど…って、え!?本人だったの!?」


「うん、今、選手が出てきた所に赤い髪の小っちゃい女の子いるでしょ?あれは間違いなく私達の仲間だよ。名前は言えないから金欠幼女って言うけど」


「あんな可愛らしい方が…お友達になりたいです!」


「シエルちゃんは金欠幼女と仲良くなりたいの?」


「ええ!とっても可愛らしいです!」


「じゃあ、大会終わった後にちゃんと挨拶しないとね~」


「はい!」


 …


『ちーちゃん?聞こえる?』


『ん?ウェイナどうしたの?』


『やっぱりランは金欠幼女だった、今確認できたよ』


『そっか…でも金欠幼女が選手として選んだ人、片手剣使ってるよね?フルフェイスで顔見えないけどやっぱり別人だと思う?』


『んー…顔見えないから何とも言えないけど…』


『まぁそうだよね…決勝で戦うからその時、確認して見るよ』


『はいはーい』


 …


「チルに報告してたの?」


「そうそう。やっぱちーちゃんも私と同じで相棒が片手剣使ってるから私達が探してる仲間かそうじゃないかわかんないってー」


「そうなんですね…でも仲間だったらいいですね?」


「うんうん…あ!始まるよ!」



 丁度いいタイミングで始まった為、ユリスとシエルに観戦するよう伝えてしっかりと選手アルの戦い方を見る…。





 ■





 アルは試合開始と同時に動くことは無く、その場で剣を中段に構えた状態で止まっていた。



 それは対戦相手も同じようで小刻みに足を動かして立ち位置を変え、頭の中でどう攻めるかのイメージをしていく。



 どれだけイメージしても最初の一合で剣を弾かれ、そのまま負けるイメージしか出来ずに時間をかけながら少しずつアルとの距離を詰めていく。



 そしてアルの中段で構えていた剣先が少し揺れた途端、一合打ち合った後にアルの剣を弾き飛ばし、場外へ押し出しているイメージが出来たのでそのイメージ通りに身体を動かしていく…が、全てはアルがわざと見せた隙で、相手がイメージした通りにアルは動かず、剣を振り上げて振り下ろす瞬間に合わせて突き技を放つ。



 放たれた突きは相手が持っている剣の柄頭を正確に突き、相手の手から剣を突き飛ばすと剣は場外へ落ち、突いた状態からスッと首元に片手剣添えて相手に降参の声を上げさせた…。





 ■





『ウェイナ…あり得ないぐらい強くない…?』


『うん…片手剣であそこまでやるならあの子じゃないと思う…』


『僕もそう思うんだけど…なんか戦い方が慣れていないっていうか不自然な感じもするんだよね…』


『ああやって相手の出方を見る戦法もあるけど…どちらかというと自分から動くのを嫌って、わざと誘って攻めさせてたし…』


『そうだね…まぁここまで強いなら逆にあり得そうだから見ていくしかないね』


 …


「んー…ユリスちゃん、さっきの戦い方、どう思う?」


「なんていうか…自分から仕掛けるのを嫌った感じがしたかも?」


「そうだよねぇ…」


「え!お二人はあれだけでわかるんですか!?」


「ほんとになんとなーくこうなんじゃないかな?って感じかな~ウェイナちゃんは殴り合い得意じゃないからあんまりわかんないけどね?」


「私もリアと本気で試合したから今のもちょっとそうなのかなぁ…って感じかなー」


「私も特訓したら戦えるようになります?」


「なるけど…戦いたいの?ウェイナちゃん的にはそのままでもいいと思うよ?」


「ユリスちゃん的にも思う~」


「いざという時にお母様を守りたいです!」


「じゃあ後でちーちゃんに相談だね!」


「はい!」



 そしてランことユーランと相棒のアルはこの後、難なく決勝まで駒を進める…。





 ■





『第一回戦最終のカードはこちら!予選大会を鮮やかに優勝したエルノ・シエル工房、代表者ウル、選手チルの入場!!』



 手を振りながらステージまでゆっくり歩いてステージに上がり投影魔法で自分が映ってる事を確認しつつカーテシーを披露し、インベントリから大型の鎌を取り出してアピールするようにくるくると回していくと風を切る音が大きくなるが、程ほどの所で回転を止めて肩に担いで軽くお辞儀をする。



 千棘の後にユーランが所属している工房の別のチーム、優勝候補2位がステージに上がり、槍で軽く演武を披露してアピールをする。



 そのアピールが終わった後、観客や千棘にお辞儀をして槍を構えて戦闘態勢になる。



 それを見て千棘も鎌を持ち直して身体の周りを円を描くようにしてゆっくり、ゆっくり回していく。



『それでは第一回戦、試合開始!』



 試合開始の合図と共に千棘は鎌の回転速度をどんどん上げていく。



 鎌の刃が大型の為、鎌の持ち手をほぼ一番長い状態で持ち、遠心力を使ってどんどん速度を上げていくと千棘の傍では風切り音が絶え間なく鳴り響き、その状態で相手選手に近づいていく。



 相手選手は初めて見る戦い方にどう攻めればいいのかわからず狼狽し、一歩一歩ゆっくり歩を進めながら鎌を高速で振り回し、自分に向かってくるチルを見た時に死を運ぶ死神の様に見え、自分の命が危ないと思いすぐに降参と声を上げた。



 対戦相手の降参の声を聞いた瞬間、千棘は振り回していた鎌を上空に投げ、複雑に回転しながら落ちてくるのを観客は悲鳴交じりに見届けていたが、千棘はそんな心配をよそに軽くキャッチしてそのままインベントリに仕舞い手品のように消して見せた後、軽くカーテシーをしてステージを降りた。



 その光景を見た観客は沸き上がりチルの名前のコールまで始まっていた…。





 ■





「ちーちゃんやりすぎ…」


「あれは絶対に怖い…夜寝れなくなる…」


「あんなおっきい鎌をどうやってあんな早く振ってるんでしょうか!?」



 相変わらずシエルは千棘に惜しみない称賛と拍手をくれるのだった…。

いきなり閲覧数が増えたりブックマークしてくれる方が増え、モチベ上がりまくって5話も投稿してしまいました…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ