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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第三章 赤と桃の二重奏
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サプライズはお好きですか?

「フェイナが気になった人物…か…まだ会ってないソロ冒険者なのかな?」


「んー…そうなのかな?」



 宿に帰り、フェイナと合流した千棘はフェイナから気になる人物がいるという話を聞いていて誰なのかという推察をしていた。



 だがそんな事が分かるわけもなく早々に「直に会える」という結論を出してしばらく王都の屋敷で武器を作る事を伝える。



「さっき工房所属の証明書をノエルから預かったんだけど、これを明日の朝一に提出して大会にエントリーしてくるよ。で、大会まで今日から15日後、明日エントリーするから14日後か。大会当日と休みにする前日を抜けば12日間は武器を作る為に王都の屋敷に籠って武器を作ってくるよ。今まで作った武器は全部コルの名前になってるから使えないし…大体、一つの武器を作るのに三日間かかるとして…最高でも4本しか作れないから今日中にどんな武器を作るか考えないといけないんだけど…どんな武器がいいと思う?」


「んー…ちーちゃんは何でも使えるから何でもいいんじゃない?」


「まぁ…そうなんだけどさぁー…逆に使えすぎるから何使おうか迷う的な…?」


「あーそういう事?んじゃさ?今まであんま使ってない武器とか他の人があんまり使ってない武器にすればいいんじゃない?」


「ふむ…あんま人気なさそうな武器でも使ってみるか……うん、4つ決めたけど結構ギリギリだな…」


「んー?何使うのー?」


「ふっふっふ、大会当日までのお楽しみで!」


「お!そういうサプライズ的なのいいね!…あ!そうだ!金欠幼女の事も驚かそうよ!」


「え?驚かす?どうやって?ていうか本当に金欠幼女かわからないよ?」


「金欠幼女…いいやもう。ランランでもそうじゃなくても変装して出場しないー?」


「変装?…変装かぁ…まぁ確かにいいかも?」


「でしょでしょ?ランランの驚く顔みたいなー!」


「んー…僕の変装の腕輪はユリスに渡しっぱなしだから…屋敷に戻った時に返してもらえばいいか…」


「私の腕輪使う?」


「フェイナがそのままだったらユーランに気付かれるでしょ?」


「あ、そっか…じゃあそれで!」


「んー…なんかいい衣装あるかなー…」



 千棘はインベントリを漁りながらフェイナと会話を続ける。



「フェイナはどんな姿にするの?」


「んー…私黒猫だから白猫になろっかなー?」



 そう言いながらフェイナは変装の腕輪を付けて色が黒から白に変わると目の色も赤から青になり、その場でターンして可愛らしい決めポーズを取った。



「どお?ちーちゃん!」


「おおー!色が変わるだけでだいぶ印象変わるね!」


「だっしょー?身長はちょっと高いけど、これなら明るい雰囲気の服着れるからイメチェンできちゃうな~。ちょっとお嬢様系の服探そー!」



 二人の変装談義は大会の話、武器の話、ユーランに関する話よりもずっと白熱して宿の窓から見える空は夜の星空から明るくなりかけていたのをフェイナが気付き、少しでも睡眠を取ろうという事でお開きになった…。





 ■





「あ、昨日ぶりですぅ。書類持ってきたので大会の登録お願いしてもいいですかぁ?」


「あ、ウルさん。はい、書類を確認致しますね…えっと、エルラシア王国王都リライアに工房を構えている…エルノ・シエル工房所属、鍛冶師ウルさん…以前確認したギルドカードを一致しましたのでエントリー名をエルノ・シエル工房として登録しますが問題ありませんか?」



(エルノ・シエルって…娘さん好きなんだな…ちゃっかり自分の名前入れてるし…)



「ええ、問題ありません~」


「わかりました…はい、今登録が終了しました。トーナメント表は当日に発表されるのでそこまでお楽しみにしておいてください。一応お伝えしますが…今日から14日後に予選があります。そこから一日のインターバルを挟んで本選開始となります。予選は基本一日で終わる予定ですのでよろしくお願いします」


「わかりましたぁ、ご丁寧にありがとうございますぅ」


「ええ、いい商売を」


「はい~、いい実りを~」



 ノエルに用意してもらった書類を提出して無事、大会のエントリーを済ませたコルは日程スケジュールを教えてもらい、生産者達の間での挨拶を交わしてギルドを出る。



 そのまま小走りで宿に戻り、アエリアの姿になるとすぐさま屋敷に転移して再度コルの姿に戻って屋敷の地下で訓練しているはずのユリスを見に行く。



 地下への階段を下った先にある頑丈な鉄の扉を開けると、召喚玉で召喚したシャドーラーニングと戦闘しているユリスを見つけた。



 戦闘を始めてから少し時間が経っていたのか、少し息を切らしながらも木で作った二本の短剣を両手に持ち、背中には弓、腰には矢筒を付け、腕や足が露出した動きやすいレンジャーの様な格好をしたユリスは腕や脚が所々赤くなったり、青くなったりしていた。



(かなり頑張ってますねぇ…シャドーラーニングの動きの速さを見る限り…ライゼン…ティクスにいるバンは超えてますねぇ…)



 シャドーラーニングの動きを見たコルはその動きから逆算して今のユリスの強さを測っていた。



 現状で超えているにも関わらず、今もシャドーラーニングと訓練している為、これをもし倒したら魔法なしのアエリアとなら確実にいい勝負が出来るほど強くなるはずと思いながらユリスの訓練を静かに見守る。



「……っそ!!何であれが防げんのよ…!私がもっと強くなったらあんな動き出来るの!?」



 と、自分より一段階強い仮想のユリスに愚痴りながらも必死に木の短剣を打ち付け合う。



 一度距離を取ったと思ったら目にも留まらぬ速さで背中の弓を短剣を持った状態で持ち、矢筒から矢を取り出して放つ。



 放った瞬間に瞬発してその矢の後ろを追っかけるように走り、矢との時間差攻撃で隙を作って攻め込む。



 そして仮想ユリスを怯ませて体勢を崩してそこで終了かと思ったが、仮想ユリスはそこから防ぐのではなく逆に攻めて止めを刺そうとしたユリス本人の脇腹に影で出来た短剣を打ち付け吹き飛ばす。



「あうっ!?」



 その吹き飛ばされた先にはコルが立っており、軽く横に動くとさっきまでコルが立っていた所に吹き飛ばされたユリスが背中から落ち、そのまま滑ってきた。



「あらあらぁ…すごく痛そうですねぇ…」



 そのまま仮想ユリスは体勢を立て直し、静かにその場で佇んでユリス本人を見ていた。



 まだ横たわっているユリスの横にコルはしゃがみ込んで、インベントリからポーションを出して飲ませてあげる。



「…んっ…コル…っえ!?コル!?どうしたの!?あ、ポーションありがと!」


「ふふふ、随分頑張ってますね~?私は今から武器を作らないといけないのでそれで屋敷に戻ってきたんですよぉ」


「そ、そーなんだ…ふあ~…あれがもらった最後の召喚なんだけど…なかなか倒せない…」


「あらぁ?もう最後まで使ったんですかぁ?」


「ん?使ったよー?でもまぁ…まだあの影には勝てそうにないかも…」


「そうですか~?かなりいい線いってましたよぉ?」


「んー…ずっとあの影と戦ってるからいまいち自分が強くなった感じしないんだよね…倒して次召喚したら絶対今の自分より強いわけで…」


「ふふふ、ちゃんと強くなってますよぉ。あの影を倒せたら~…魔法なしのリアとすっごくいい勝負出来ますよぉ?」


「え!ほんと!?…でもリアは魔法使いじゃん…」


「まぁまぁ…ちなみに今のユリスの強さはこの前試合したライゼンよりも強くなってますよぉ。後ティクスにいたバンさんよりも強いですよぉ?」


「え!?いつの間にかSランク越えてたの!?」


「さっきの戦い見てる限りそうですねぇ」


「お、おお…あれを倒したら魔法なしのリアと同じ…そしたらコルも安心して私に戦闘任せてくれる?」


「ええ、いっぱい頼らせて頂きますよぉ」


「…よし!もう少し頑張る!」


「はぁい、頑張ってくださいねぇ。あ、そうそうユリス?この前渡した変装の腕輪を返してもらってもいいですかぁ?」


「あ、借りっぱなしだった…そういえばほかの装備はいいの?」


「ええ、あれはまだ渡しとくので好きに使ってくださいねぇ」


「ありがとコル!…はい、腕輪ありがと!早速もっかい挑戦してくる!」


「いえい…あらぁ…行っちゃいましたねぇ…」



 腕輪を受け取りお礼を言い切る前にとてつもない速度で仮想ユリスに突っ込み、最初からフルスロットルで打ち合っていた。



 腕輪をインベントリにしまいながらポーションを10個ほど床に置いて静かにその場を離れて鍛冶場へ向かい、武器を作り始めた…。





 ■





「ふっふ~ん、白猫もいいなぁ~この服も似合うし…今日はこの格好でお出かけしよっかな~」



 鏡の前で色んな服を着替えてポーズを取り、ファッションショーを宿の部屋で繰り広げていた。



 そして麦わら帽子に白のワンピースで腰には白の大きいリボン、その下から白い尻尾が出て嬉しそうに横に揺れていた。



 靴は麦わら帽子と同じ色のヒールブーツを履いてばっちり決まっており、フェイナは鼻歌を歌いながら宿を出て、宿の主人は「あんな人泊まっていたっけ…?」と思いながらも楽しそうに出ていくフェイナに声をかけずに見送った。



 それからフェイナは魔道具店に行き、転移魔法やインベントリがなかったら便利なんだろうと思う野営に役立つ魔道具などを見ながら時間を潰していた。



 ある程度見終わった後、ギルドに行ってソロの冒険者の情報を集めたり、図書館で本を読んだりしながら大会の前日まで好きに過ごした…。





 ■





「どうだアル?どこか調整して欲しい所とかあるか?」


「…持ってみた感じ、少し重心を下に下げて欲しい」


「重心を下にか…んじゃ調節するわ。てか両手剣だけでいいのか?」


「うん両手剣だけで…やっぱり片手剣も作って」


「おう片手剣な?…え?片手?アルお前両手武器専門じゃなかったのか?」


「そう。だけど両手剣だとすぐに終わるし、それだとランの武器をアピールする事が出来ないから片手剣」


「お、おう…まぁわかったぜ、あたいに任せときな!そういえば防具の鉱石はどうだった?」


「ああ、忘れてた。90階層のボスの素材が丁度良さそうだった。これでどう?」


「ちょっとまってなー……おし!これならおっけーだ!これで武器も防具も完成させれるから楽しみに待っとけよ!」


「一回使っただけで壊れるのは嫌だよ?」


「わかってらぁ!一回使って壊れるのをメンバーに使わせるわけないだろ!」


「それなら別にいい。そういえば二人組の冒険者の噂って知ってる?」


「ん?二人組?別に珍しくもないんじゃないか?」


「二人組は確かに珍しくない。でも噂の二人は私の到達階層に追いつこうとして凄い勢いで進めてる」


「ほー?そりゃすごいな?」


「それでその二人は今回の大会に出る為に色んな工房に素材を持ち込んで交渉していたらしい」


「ふむ…腕試しがしたいのか?」


「わからない。まぁ詳しく聞いても大した情報は得られなかった。もしかしたらその冒険者のどっちかが出場するかも」


「ふーん?アルは気になるのか?」


「まぁ…こっちに来てから本気で戦った事ないから、少しは楽しければいいなってそれだけ。何かランが知ってたら教えてもらおうと思った」


「なるほどなー…まぁあたいは何も知らないぜ!」


「そうね。まぁ…大会までは宿から出ないから調整の時は呼んで」


「おう!あたいに任しときなー!」



 そしてアルは大会の日までランの作った武器や防具の調整を行い、ランはアルの武器と防具を今出来うる限り最高の状態に仕上げて大会の本選に臨むのだった…。

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