旧きものの感傷(?)
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「僕もそろそろ帰ろうかと思うんですけど、お二人はどうしますか?」
「あっ、ボクも帰るよ。もうクタクタだよっ。早くシャワーを浴びて眠りたいねっ」
ほんとですね。
駈は大きく息を吐き出しながら蓮火に同意した。
この場で寝てしまいそうな勢いである。
「リストさんはどうしますか?」
駈はリストに如何した。
「……わたしはもう少し、ここにいるよ」
リストの視線は、少し離れた地面に向いていた。
先ほど大きな揺れとともに飲み込まれていった穴が、ポッカリと開いていた場所である。
ほんの数十分前までそこに建っていた嘆きの館のその下、アカズのダンジョンの隠し部屋に駈たち三人は潜っていたのだ。
しかもだ。
リストは数十年前にそこに入り、そのまま半分閉じこめられた状態だったという話だ。
感傷的になるのも無理はないだろう。
リストの憂うような横顔を見た駈は、そんなことを思っていた。
「……帰りましょうか、蓮火さん」
「……うん、そうだね」
駈と蓮火は、リストをそっとしておこうと、そのまま部屋に戻ろうとしたが。
「……どうしよう」
二人はリストの呟きに動きを止めた。
何か緊急事態が起きたのだと悟った。
「ど、どうしましたか?!リストさん?!」
「だ、大丈夫ですかっ!?」
「ダメかもしれない……」
ここまで聞いたことがなかったリストの弱音に蓮火は本気で焦り始めた。
しかし、駈は少し警戒していた。
もしかして。
「一体何が起きたんですか!?リスト様っ!?」
「ないんだ……」
リストは下を向く。
蓮火はさらに、聞き募った。
「何がないんですか!?」
リストはぐっと言葉を詰まらせながらも。
「……家が」
「……はい?」
蓮火は首を傾げた。
駈は顔を上げた。
「……だから帰る家がないんだ」
蓮火はずっこける。
駈は白目を向いていた。
「「人騒がせだよ!!」」
駈と蓮火は今日の中で一番、息が合うのだった。
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