アカズのダンジョン6
よろしくお願いいたします!
「あのぅ……」
駈がそう声を掛けたのは、彼の腕がプルプルと震え始めた時だった。
蓮火が興味深そうに、駈が手に持つ脇差を見て、いや、凝視していたので、見やすいよう律儀に腕を胸の高さまで上げ、固定していたのだ。
それは腕や脇差に穴が空くのではと思うほどの視線だった。
駈のそんな様子に気付いたのか。
蓮火はバっと離れて、駈を気遣う。
「あっ、ごめんね?!ボク、集中してて気付かなくて?!ほんとにごめん!」
「いえいえ、全っ然それは問題ないです。一度手に取って見てみますか?」
駈は蓮火に提案をした。
蓮火の目がまだ若干、物足りないかのように駈の手元に集中しているのが分かったからだ。
「えぇっ!?えぇっと、でも……」
「いやいや、こんなことで遠慮なんかせずに。さあ、どうぞどうぞ!」
友達なんですから。
駈はそう言って、蓮火の手に脇差を握らせる。
その際に、ちゃっかり手に触れる暴挙にまで出る駈である。
抜け目がない。
「あっ……えぇっと、ありがとう!」
宝石の輝きにも勝る笑顔を駈に向ける蓮火。
友達って、すごいや……。
そんな呟きまで駈の耳に届いてくる始末だ。
何だかとてもほっこりした気持ち、今だったら輝子にも優しくでき、いやそれはないな、というかしたくないなと思う駈。
気心の知れた友人には異常なほど厳しい一面を持つ駈なのだった。
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