冒険者ギルドとは
夜の七時。
庄府冒険者学校の寮の自室を出て、三十分ほど走った駈の姿は冒険者ギルドにあった。
ダンジョンは、二十四時間潜ることが出来るようになっており、ギルドもそれに対応している。
もはやコンビニ感覚だった。
意外という言葉を使うと語弊があるかもしれないが、ギルド内は割りと小綺麗になっている。
役所の受付窓口のような雰囲気と言えば、イメージはつきやすいだろう。
入り口でも、格好が異常に汚い者については入場を断るなどして、なるべく清潔に保つよう心掛けているのだ。
駈は受付まで歩いていき列に並ぶ。
昼間に比べれば、人の数は少ないように駈の目には見えた。
それでも、最近自然発生したダンジョンのこともあり、夜にしては多くの者がいるのだが。
冒険者ギルドの役割としては、主に四つのものがあった。
一つ目は冒険者ランクの付与。
冒険者ランクには、下級下位から特級上位まで区分がある。
実力や実績に応じて、独断と偏見、試験を経て上がっていく。
冒険者学校の生徒については、下級下位のランクが付与されているが、活躍次第によっては在学中にランクを上げる者も、中にはいるのだった。
二つ目に物の買い取りだ。
ここで言う物とは、ダンジョン内で取得した物に限られていた。
リサイクルショップのように利用する者を防ぐためだ。
ちなみに、ダンジョンモンスターのドロップアイテムには、買い取りランクが定められている。
冒険者ランクと同じようにだ。
ドロップアイテムの買い取りランクから、上下以内の冒険者ランクの者からの買い取り価格が百%、そこから離れれば離れるほど、安く買い叩かれるようになっている。
理由は、冒険者ランク向上の促進である。
実力があっても、ランクを低いままにしておこうとする者もいるため、彼らをお金で釣る形となっている。
三つ目は冒険者証の発行と、そのアップデートである。
冒険者証の発行では、本人の血をそれに垂らす必要がある。
その血によって、個人を識別出来るようになっており、偽装は百%と言っていいほど、不可能なものとなっていた。
どういう仕組みになっているのか、超極秘事項として知っている者はほぼいないのだが、ギルドが発行する冒険者証には、様々な機能があった。
まずはランクの記録と表示。
次に物の保存機能。
原理については未だ解明されていないが、ダンジョンで倒されたモンスターは、ドロップアイテムを残して消滅するようになっている。
宝箱に至っては、出現する場所もタイミングも中身も、完全にランダムだ。
そのような、ダンジョン内で取得したものに限り、冒険者証によって保存できるのだ。
その容量については、ランクが上がれば上がるほど大きくなる。
つまり、一度の探索で、より稼げるようになるということだ。
これは、ランクが上がることによる利点の一つにもなっていた。
冒険者証の最後の機能は、ダンジョンの認識と到達階層の記録である。
ダンジョンに入ると、自動でその名前が冒険者証に表示される。
どういう訳か、人間が名を付ける前に、ダンジョンにはすでに名前があるらしく、冒険者証でその認識が出来るようになっているのだ。
また、その冒険者が、どの冒険者ランクの時に、どのダンジョンの、どの階層まで潜ったのか、記録されるようにもなっていた。
これらの機能は、冒険者たちの中での七不思議ともなっており、彼らの頭をひどく悩ませるのだが、ギルドに聞いても重要機密として答えてもらえず、謎に包まれているのだった。
ギルドの主な役割、最後の一つは、依頼の受発注である。
冒険者ギルドは、一般人や企業などから依頼を募集している。
ほとんどの依頼が、ダンジョンでの素材の収集となっていた。
モンスターとの戦闘を教えて欲しい、という未来の冒険者からの依頼なども、中にはあるのだが。
他にも細々とした役割は多々あるが、主なギルドの役割は、この四つとなっていた。
オーバーテクノロジーの塊とも言える冒険者証だが、その発行方法については、ギルドが行うということしか冒険者の間では知られていない。
゛旧きもの゛が関わっているのではと、もっぱらの噂であったが、それも定かではなかった。
冒険者証の初回発行は無料である。
が、謎の技術が使われているだけあり、冒険者証を紛失した場合のペナルティは大きい。
一年間ダンジョンへの入場禁止と、ランクに応じた罰金となっている。
そのため、冒険者たちは冒険者証の管理に、厳重な注意を払うのだった。
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