ダンジョン実習2
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その後は多少、打ち解けた様子で進んでいく一行。
ヤンキーと動物好きは、相変わらず無口であったが。
実習用のダンジョンの道中では、ほどよく弱いモンスターと、ほどよく簡単なトラップが、ほどよいテンポで出現するようになっていた。
トラップについては、班員が順番に解除していく。
どちらかと言うと得意不得意が出てくる分野であり、ダンジョン実習を受けるのは初めてだというアシュリーは、少し苦戦しているよう駈の目には映った。
しかし、こと戦闘になると、苦手なトラップの解除など他のやつに任せとけと言い切ってしまって良いほどに、話がまったく違った。
戦闘力、魔法だけで言えば、今すぐ十年ダンジョンに潜るとしても通用するほどの腕前だと、アシュリーの周囲で魔法を使わずにモンスターと交戦する駈は目を見張る。
同時に羨望と、僅かばかりの嫉妬心を胸に宿しながらではあるが。
そして当然の如く、彼女の得意な属性の魔法を放つ際には、髪の色が変化する様子も見受けられた。
さすがに五聖人の一族だった。
「えぇーー!? それじゃあ気を抜く時間もないじゃないですか!?」
「ふふっ。そうかもしれないですね」
意外にも、お下げとアシュリーは話のウマが合ったようで、割と盛り上がりを見せている様子だ。
先ほどから小一時間、ずっとこんな調子である。
同じ凶悪なものを持つ者同士、波長が合ったのかもしれない、と。
彼女たちの一部分を、鈴にバレないようビクビクしつつチラ見しながら、駈はそんなバカげた予想を立てていた。
お下げが驚きの声をあげた話題とは、アシュリーの普段のスケジュールについてであった。
アシュリーの一日は早朝のマナー学習から始まる。
五聖人の一族として、それに相応しい振る舞いや礼儀を身につけるためだ。
日中は学校に行き、帰ってからは魔法の鍛練をし、将来人の上に立つだろう状況に備えるため帝王学について学び、そして就寝する。
自由に過ごせる時間は、一日に一時間あるかないか。
先を見据え、自分を必要以上に追い込むかのような、そんな内容だ。
十代中盤の少女には、間違いなく厳しい日常であろうが、アシュリーはそんなことをおくびにも出していない。
今のところ、駈にはそう見えた。
五聖人としての責務が、彼女にそうさせているのだろうと、駈は勝手に納得する。
「すごいね」
アシュリーとお下げの話に、同じく聞き耳を立てていた鈴が、駈に話しかける。
先ほど、駈を巡って言い争い(?)をした相手でも、思うところがある様子だった。
「うん。そうだねぇ。なかなか真似できることじゃないよ」
お下げと話しているアシュリーの雰囲気を見ると、その突出した美貌以外はそこらにいる普通の少女と変わらないようで、逆にそれがすごいことだと、駈は尊敬の念すら抱いていた。
その身にかかる重圧はいかほどのものか、想像もつかない、想像することもおこがましいと思う駈なのだった。
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