王弟殿下とハゲ談義
にーちゃん、おなかすいたよぉ~
これ食べな
にーちゃん、これはにーちゃんの分じゃ
気にするな、俺はお腹一杯だ。
いただきます むぐむぐ・・・・・・・おいしい・・・・・・・・
おいしいか、そりゃよかった。これしかないけどごめんな。
にーちゃん おなか一杯だよ。
これでお前は今日も生き延びる事ができるな。
でも、ニーちゃんほんとうにだいじょうぶなの?
俺はお前より体が大きいから食べなくても大丈夫なんだ。
そーなんだー
ある日、身なりの良い人が着て俺達を見て
「何か一つ我にできうるものを与えるとしよう。」
にーちゃんはいった。
「毛布を・・・・・・・・・」
身なりの良い人は聞く
「お前は痩せこけて明日にも死にそうではないか?どうして食べ物ではないんだ?」
にーちゃんは
「俺は明日か明後日には死ぬ身だ。ならば食べ物よりもチビ共に残してやれる毛布のほうが良い・・・・・・・・・・・」
身なりの良い人は何か言いたげだったが、毛布をにーちゃんに買い与えると去っていった・・・・・・・・・・・・
明くる朝、にーちゃんは冷たくなっていた。
毛布はチビ共を包んでいた。
そのチビ共も一人しか残っていない・・・・・・・・・・・・
おいらはにーちゃんみたいになれたのだろうか?
だんなについていって多くの誰かを助ける手伝いはした・・・・・・・・
でも、本当に必要な誰かに手を差し伸べる事ができたのかが疑問だ・・・・・・・・・・・
おいらはあの時のカビまみれの麺麭の味を忘れないだろう・・・・・・・・・
にーちゃんが自分の分を与えてくれたから・・・・・・・・今のおいらがいる。
荒野の人々も解放奴隷の戦士達も極北の酔いどれ共も泣いてくれたがその時に助けに来てくれなかった・・・・・・・・・・・
おいらは、その時に駆けつけることができるようになりたい・・・・・・・・・・・・・・
でも、この幼女のときはおいらはちゃんと必要なときに駆けつけられたのかな?
聞けば、幼女の兄は体を売ってボロボロになっているし、同郷のチビ共は路傍に散っていたと聞いている。
何で何だよ世界は!!
おいらは理不尽を強いる誰かに物申したい!!
おいらがだんなに拾われて、孤児や街娼の姐さんたちや色々困っている人を助ける場面に立ち会っている。
妹分は奴隷商人に売られて糞貴族の慰み者としてぼろきれ当然に殺された。生活のためだと体を売って死に掛けた人も沢山見た。勿論死んでいった者達も・・・・・・・・・・・・
助けられた街娼の姐さん達はおいらを男にしてくれた。
汚れた体でごめんねと泣きながら・・・・・・・・
おいらは姐さん達が世界で一番綺麗だと思う。
苦界に落ちて尚、誰かを思うことが出来るなんて・・・・・・・・・・・
そんな素晴らしく馬鹿な女たちを見捨てるわけ行かないじゃないか・・・・・・・・・・
おいらは子供で王室顧問のだんなに扶養されている身だ。
男だったら慕ってくれる女を全て囲うくらいの甲斐性がなければ・・・・・・・
おいらはつよくなりたい!
そうか、この思いが家族という者の始まりか・・・・・・・・・・・
おいらは始めて家族という者を手に入れることができる。
おいらの家族に手を出す馬鹿は本気でつぶす!!
そして街娼の姐さん達が願ったように、おいらは幼女を力の限り保護して、理不尽になく誰かのために力を振るおう・・・・・・・・・・・・・・
神よ世界よ運命よ!!
誰かに理不尽を背負わせるならばおいらがそれをぶん殴る!!
孤児弟の見た夢。
市民どもは不安がっているかと思いきや、のりのりである。
少年貴族に庇護を求めた幼い子供、少年貴族は泣きながら周りに助けを求めてそれに応じた六大貴族達・・・・・・・
少年の後見たる全裸賢者は国王に直談判して王国の理不尽を正すべく詔を挙げる!!
神々仕える者も遠く世界の果ての戦士達も少年の叫びに子供の嘆きに馳せ参じる・・・・・・・・
おい、どこの御伽噺だ!
「俺が情報操作した・・・・・・・・・・愚民共には幸せな夢を見せてやりたいだろう・・・・・・・・」
この禿・・・・・・・・
毎日毛が抜ける呪いにかかりやがれ・・・・・・・・
その呪いは意味ないよぅ、王弟殿下は毎日抜けているから・・・・・・・・・・・・(by毛根神)
市民共には幸せな夢か・・・・・・・・・・
それでも現実を見せて立ち向かってもらわないと、いつか貴族が腐るときが来たときには立ち上がって新たなる王となり新たなる幸いの種を育てる人を育てなくては・・・・・・・・・
はらり~
道という道は我等の為にあるようなものであった。
野盗も魔獣も大人数に怯えて出てこないし、出てくれば美味しいえさだったのに。
「だんな、だんな、血に飢えてないですか?」
「多少飢えているかな、特に王族のに・・・・・・・」
ちらりと王弟殿下を見るのだが・・・・・・・・
「俺はここに来たときから犠牲になる覚悟は出来ているが、俺のルビにハゲと入れるのは止めろ!」
地の文を読みやがる。それは反則だろう。
王族を狙うならばまずは王妹殿下からだろうな。これは世界に対する害が大きい。
王弟殿下は最後だなまともだし、繰り返し言うと若年性脱毛症は最後のほうだな!
「だからどうして俺のルビははげ関連なんだ!!しかもハゲに俺をルビ振るんじゃない!!」
どうして地の文を読めるのかが疑問である。
王弟殿下の分際で・・・・・・・・・・・・・さっさと王位につきやがれ!
そうして、私に隠遁生活送れと年金と共に放り出せばいいのに・・・・・・・・王弟殿下はその度量もないか・・・・・・・王弟殿下はへタレだし・・・・・・・・・・・
「はげはげいうな!」
地の文どころか心まで読んだぞ・・・・・・・・・・危険人物だ!!
「其処まで悪意に満ちた地の文を読むなというほうが無理だろう!!」
「でも、奥方ははげと結婚なんてと嘆いていたぞ・・・・・・・・・・」
あっ、王弟殿下は崩れ落ちたぞ・・・・・・・・・・・・
それは置いといて・・・・・・・・・・・
我々だけを見れば道楽貴族の避暑か観光みたいに見えるのだが周りに散らばっている同行者を見ていると
商会公の隊商とその護衛・・・・・・・・(主に奴隷公開放奴隷戦士団)
性愛神殿巡礼集団と護衛有志・・・・・・・(主に人外公人外兵団+極北戦士団)
荒野の民の行商に農園公の農作物を売りに出る若い衆(共にえげつない装備付)
どこで如何間違えたのだろう?数百くらいいるし・・・・・・・・・・まぁいいか。
「良いかで済ませるな!!如何考えても内戦起こせる数だぞそれは!!」
「内戦起こさせない政すればよいだけだろう!」
「起こす張本人が言うな!」
「起こしてないよ、私は孤児弟が幼女を助けたいという声に応じたまでだ。」
「其処でおいらを出汁に使いますか・・・・・・・・・」
「孤児弟は悪くない、悪いのは其処の非常識の塊である孤児弟の保護者だろうな。」
「非常識というより無茶というか無謀というか・・・・・・・・・・」
「ごね得といったほうが・・・・・」
「参戦している私達が言うせりふではないけどね。」
「御主人様が至らない部分を私達で補いますよ。色々魔法具や霊薬をもらったでしょう。」
「ところでどう見ても対人用ではなくて戦術用というか戦略用のものがあるんだけど・・・・・・・・・」
「官僚の皆様方の親心ですからありがたく受け取っておきましょう。」
「こっちにも非常識が・・・・・・・・・」
「これには同意。」
「どこからこんなにも禁呪クラスの魔法具を用意したんでしょうかね?」
「四席、お前の所属するところかららしいぞ・・・・・・・・・・・・」
「辺境伯家系魔術師が道楽で作ったとか言わないでくださいよ。聞きたくない聞きたくない・・・・・・・・・・・・」
「四席、残酷な現実を突きつけるようで悪いが、その通りだ。しかも代々の作製物の実験をかねて提供したらしい・・・・・・・・・」
ああ、ままならないものだ。
さけがきれたのでこれまで