禁酒令と馬鹿大使共
とある王国で大使達との会談。
「とりあえずは魔国と人族連合の間ではこれまで通り我が国を緩衝地帯として交易を行う事ででよろしいですかな?諸条件についても、麻薬、人身売買の禁止を改めて盛り込ませてもらいますが・・・・・・・・」
「その件なんだが、うちの侯爵の身代金をもう少し負けてもらいませんかな?」
「その件については話がついているはずです。うちの国民をさらっておいて奴隷として売り出していたのは貴国の侯爵様ですよ。悪いですけど芋虫にして晒し者にしておきたいのを我慢しているんです。金貨の500枚くらい安いものでしょう。」
「戦でもするつもりですか?」
「我が民を脅かすものを放置しているならばそれは仕方ありませんね。戦争は最低の愚策ですがこの際だから奴隷商人を保護しようとする国を潰すのも吝かではありませんな。」
「…………本国に相談してみます。」
「ちなみに期限までに支払いがなければ、うちから輸出している小麦を止めますからそのつもりで。」
「わかりました。(この某王国め。足元見やがって)」
「負けて差し上げてもいいですよ。ただし貴国に奴隷解放令と奴隷禁止令を公布してくれるのでしたらね。金貨50枚くらいにはして差し上げますよ。」
「そういえば魔国大使、貴方の姪御さんが【聖騎士総受本】を綴っているようなんですが止めてもらえませんかね?」
「無理だろう、王国の。そっちの王妹殿下を止めることできるならばその方法を知りたいのだが・・・・・・・・」
「ううっ・・・・・・そっちも駄目ですか。」
「勘弁してくださぁい!」
「聖騎士殿、すまないねぇ・・・・・」
「雷竜の長殿・・・・・・・・我々男というものは無力なものですな。」
「ああ、無力だ・・・・・そっちの第一公爵令嬢もなかなか・・・・・・・・」
「恥ずかしいことに・・・・・・・【魔王勇者本】略して【まおゆう】なんて分類を作り上げまして・・・・・・・・・某王国の初代人外公との三角関係を・・・・・・・・・」
「それは聞いてないですよっていうか、聞きたくなかった・・・・・」
「お互いに苦労しますなぁ・・・・・」
「ええ・・・・・・・」「この件についてはお互いに協力いたそうか。」
「うむ。魔王陛下も苦慮されているから……まさか魔王国第5王女が腐化しかけているから」
「うちも聖女様が・・・・・・・・・」
「頭から腐るのは・・・・・・・・・まさか腐教とかしてないでしょうな?」
「それが・・・・・・・・ううっ、私の力及ばず・・・・・」
「うん、悪くないよ悪くないんだ聖騎士殿は・・・・・・・・すまんな我が国に召喚された忌々しき異世界人があんな物を流布してしまったからだから。」
「ああ、神よ。我等は貴方を恨みます。」
ここに長く対立の歴史を歩んでいた人族連合の要とも言える聖徒王国と異種族連合ともいえる魔国との初めての協調路線が築かれるのであった。
ごめんよー 文学神の暴挙を止められなかった(by境界神)
まこと異世界人の欲望は理解しがたい(by大地神)
恨まれる筋合いはないわ!女性だけ餌食にされる文学なんて不平等ですわ。それに異世界人の持ち込んだ文学は世界をさらに芳醇にしてくださいますわ。(by文学神)
しかし、世界平和がこんな形でなんて……記録に残したくない(by歴史神)
うんうん、その気持ちよくわかる。(by風の神)
「ところで雷竜の長殿、貴殿が酒場で打ち取られたという話を聞いたのですが。」
「いやぁ、お恥ずかしい。交易の件で某王国の官僚共と酒場に赴いたときに緑魔酒をしこたま飲んでしまいましてね。」
「かくゆう私も官僚達に腐女子対策について教えを乞いに行ったときにしこたま飲まされましてねぇ・・・・・・・・」
吾輩もとか我が国の副大使もとか前任大使が飲みすぎで引退したとか・・・・・・・出るわ出るわ・・・・・
「某王国の官僚達には酒の席でつぶされているから一度打ち取らないか?」
「それはおもしろそうだ。」「同意する。」「では、酒は用意しよう。」
「このまま引き下がるのも我が国の威信に・・・・・・・」「それはないから。」
「そういうことで国王陛下、貴国の官僚達を酔い潰す許可を!」
「・・・・・・・・・う、うむ。仕方あるまい。(あの馬鹿共が外交問題おこしやがって)」
「では、日時とか場所とかは後程決めるとして準備にかかるとしよう。」
「本国から酒豪を呼び寄せねば・・・・・・・・・」「落陽国の本気だな。」「鬼族と竜族を・・・・・・・」「酔い覚ましの魔具があったなぁ…・」「極東のそれは反則だろう!」「そ、そうか?(がっかり」
こうして酒合戦が始まるのであった。(冒頭につながる)
陛下の怒声が響き渡る!!
「お前等、どれだけ他国の者を酔い潰したんじゃ!!」
「えっと、魔国の雷竜の長殿に聖徒王国の聖騎士様に・・・・・・・奴隷売買で捕まえた某国の侯爵様も酒の席で漏らしたことをもとに捕まえたなぁ・・・・・」
「南国商業連合の営業担当も二人ほど本国送りになっているけど……」
「それを言うなら洛陽国の大使なんかは裸踊りして見苦しかった・・・・・・・」「裸踊りといえば酒国の姫大使が脱ごうとしているのは・・・・・・・・」「それは見たかったぞ!」「どうして誘わなかった!!」「馬鹿言え、脱ぐの止めようとすると切り付けられるし死にかけたんだぞ!!」
「・・・・・・・・……それでもいいから見たかった。」
「それはわしも見たかったなぁ…・」
陛下・・・・貴方には王妃がいるでしょうに!
「たまには違うものも・・・・・・・・」
「それは十分理解できますが・・・・・・・」
「うぉっほん!!」
宰相閣下の咳払いに一同静まる!
「兎も角、向こうから再戦の挑戦状が来たのだからお前等は無様さらすんじゃないぞ!」
「さらしたら?」
「禁酒令発動する!!」
「げっ!」
「その上で減給処分だ!」
「うぐっ!」
「更には王都中の酒場に手配書回して出入り禁止にしてやる!!」
「ひどい・・・・・・・・・」
「大丈夫だ、君たちが無様晒さなければ良い!」
うなだれる官僚共・・・・・・・宰相閣下の禁酒令がよほど効いているのだろう。
最近官僚の酒がらみの苦情が多いから腹に据えかねているのだろう。
私には関係ないけど・・・・
「王室顧問、君も孤児姉に飲みすぎだと心配されているぞ。程々にしておけ。」
くぎを刺されてしまった。
孤児姉・・・・・余計なことを。
「実際ご主人様は飲みすぎですよ。月に銀貨10枚とか家計に余裕があるといわれましても控えてもらいませんと・・・・・・・」
「それは飲みすぎだな・・・・・・・・・」
「孤児姉は良い家令になりそうだな。」
「実際、孤児姉がいなければ私はもっと自堕落に過ごしているからな。頼りになる従者だよ。」
「・・・・・・ご主人様。」
「それはそうと、王室顧問。準備はよろしく!!」
「なんでですか?」
「この官僚共に任せると酒に毒を混ぜかねないから・・・・・・・・」
「そこまではしないと思いますが・・・・・・・・せいぜい弱い酒に見せかけて性質の悪い酒を用意する程度でしょうし・・・・・・・・」
「それに、この大馬鹿共は監禁して仕事させないとな!!ここの所酒がらみの苦情が多発していて少しお灸を据えないと・・・・・・・・・いかんだろう。」
「それは良いですけど・・・・・・・・死にますよ官僚達。酒が主食だから……」
ああ、禁酒して仕事しろと聞いた途端にうなだれる官僚達・・・・・・・どうするのだろうこれは?
「また、俺達の仕事が増えるのか・・・・・・・・」
あきらめろ、補佐見習。君はそんな定めだ!
「大丈夫・・・・・・・・補佐見習には私がついているから・・・・・・・・・」
「傷跡娘・・・・・・・・お前だけだよ、頼りになるのは……」
「あのぅ、私達もいるんだけど・・・・・・・」
「もう二人の世界だね。」「らぶらぶ。」
「ほら仕事しろ!!官僚共!!子供にばかり仕事させるんじゃない!!」
「「「うぃーっす。」」」
さて、どこでどのように行うかね?
勝っても負けてもいいお祭り騒ぎとして考えておけばいいかな?
酒はこっちで用意して、解毒魔法等の使用は禁止で・・・・・・・・便所で吐いて逃げるのは反則で・・・・・・・
酔いつぶれたり吐いたり粗相をしたら負けにして……
適当に官僚共を潰させて他国に花を持たせないといけないからなぁ・・・・・
酒だけだと悪酔いするからつまみを用意するか?それとも持参も可とするか?
食べ物の戒律とか好みとか色々あるからなぁ・・・・・
「だんな、市場でお祭り騒ぎにしたらどうだい?場所もそこそこあるし旨い酒と肴は揃うだろう?」
「それは良いな、警備の問題があるがまずは市民とかの造った酒の品評会なんかをして我が国の物産の営業をするのも悪くなかろう・・・・・・・・・良い案だな。」
「酔いつぶれたものの介抱するための人手が必要ですわね。」
「それだったら医療神の神殿から人手を借りて、性愛神殿からも綺麗所を揃えてみるのも面白そうだな。」
「なんか大掛かりになってますわね。」
「その方がよいだろう。派手に騒いで楽しんで有耶無耶にしてしまおう!!」
「ついでですから賞品とか罰とかも用意したらいかがですか?」
「それも面白そうだな・・・・・・・・・酒を一樽とかつまみの詰め合わせなんかでいいか……」
「だんな、盃なんかいいんじゃないか?酒飲みの証として大杯で栄誉とか……ダメ押しで酒精神あたりから祝福つけてもらうとか・・・・・・・・あのお方だったら酒の匂いにつられて出てきそうだし。」
「なんか神の扱いが適当すぎる気がしないでもないが頼んでみる価値はありそうだな。」
だんだん案が煮詰まってくる。あとは挨拶回りだ・・・・・・・・・
何事にも根回しが必要だな。
次は酒合戦の場面となるのでしょうか?
ああ、酒が飲みたい・・・・・・・・