八話 食事会4
俺は席順について悩んでいた。左隣が椎名さんなので話しかけずらい分、右隣が優なのはありがたい。
俺はイギリスの学校に行っていた時に、美女に囲まれて質問攻めにあって以来、美女が苦手だからだ。俺の左にいらっしゃる椎名さんはとんでもなく美人なので苦手だ。
「お〜い、蒼〜。何考えこんでるの?」
「いや、何でもない」
「何?どうしたの?まさか…椎名さんに惚れたの?」
「そんな真顔で言うなっ!っていうか違う!!」
「違うの?」
「うん」
「イギリス育ちでイギリスの美女を見てきた蒼が美人って言ったからてっきり…」
「何がてっきりだよ(笑)」
俺は目の前にあるご馳走にかぶりつく。
うまい!それにしてもなんて量だ、これが奢りだなんてちょっと気が引ける。
そんな事を思いながら食っていると、左側の椎名さんが視界の端にはいった。
美しかった。ご馳走を食べるひとつひとつの動作がどこかの絵画のように美しい。
俺はまたも見惚れてしまった。
「何のよう?」
椎名さんのその一言で俺は気づいた。見惚れていたため、長時間見続けてしまった。
「い、いや…そ、そのお肉美味しそうだなぁと思いまして…ははは…」
「このお肉?」
「あ、うん」
「そう?じゃあ、あげるわ」
椎名さんは一度口にしたお肉を俺にくれた。
…ってちょっと待てぇ!!!これって…か、間接キスというやつではないかぁ!!!!
おぉ…なんと言う事だ。
「ありがとう」
「いえ、気にする事はないわ」
ではお待ちかねの運命の時がやってきました。さぁ、いくのか俺?どうせ考えるくらいならいってしまぇ!!!
「いっただきま〜す!!」
パクっ!うまい!普通にお肉が美味しい!ん?ほんのり湿っていた部分があった。これはおそらく椎名さんの食べた跡だ。ということは人生初の間接キスだ。
俺が心の中で喜んでいると
「蒼〜。何か乾杯するらしいよ〜」
「え?何の?」
「新しいクラスのじゃない?」
「本格的だなぁ〜」
俺がそう言うと三浦さんがマイクで乾杯の説明を始めた。
「えー、乾杯はウェイトレスがつぎますのでしばしお待ち下さい。」
そして全員分つぎおわると
「では私の合図でいきます。乾杯!!!」
「「「乾杯!!!」」」
俺はグラスに口をつけると、違和感を感じた。何だ?この味は?これは…ワインだ!!
マジか!高校生がワイン飲んじゃいかんだろ。おいおい(笑)
このお食事会?大丈夫かよ