51話 手合わせ
…久しぶりオヤジの所に顔出すか。
書類仕事も終わり、オヤジに作ってもらった神鉄で鍛錬をしながらふと思いついた。
何かと最近色々忙しくてオヤジの所に顔出せて来なかったしね。
歩いても行けるけど今回はギルドの転移魔法を使ってみようかな。
確か。ああ。あったあった。
小さく人差し指にはめるタイプの指輪をアイテムボックスから取り出す。
確かこれには固有の魔力が込められてるから本人以外じゃ起動しないらしい、便利だ。
魔力を込めると足元に魔法陣が展開され光で覆われ光が霧散するとそこはギルドの一室だった。
へー、ここに転移してくるんだ。
これ、重なったりしないんだろうか。
そうしてギルドのドアを開けると一人の男性がギルド員に何かを頼み込んでいた。
ギルド員も大変なんだなと一人遠くで見ているとギルド員が俺の事を指差した。
え…?
すると男性は俺の方へと急いで寄って来た。
だ…誰だ?いやここは逃げた方が。
そう思い走り出そうと向きを変えたがそこで男性の容姿に見覚えがあることに気づいた。
もしかして…。
「グラルか?」
近くまで来た男性に聞いてみると、その男性は嬉しそうに「ああ!」と答えた。
しかし…それにしては体格が凄い変わったなあの時より筋肉がしっかりついていて、しっかり騎士って感じだ。
「全く、あの後言われた通りに手合わせをお願いしようとしたら魔族を退けて王に謁見してるわ、落ち着いたかと思ったら褒美の領地をもらって貴族になってるわでずっと待ってたんだぞ、なぁジャン?」
「ふふっ、それはすまなかったな、それと俺の名前はルア=フィリップだ」
少々グラルに犬の尻尾と耳を幻視し和んだ。
「ああ…そうか、名前変えたんだもんな」
「それはそうと今ギルド員には何を頼んでたんだ?」
するとグラルは少し不機嫌になりながら「そりゃいつでも手合わせして良いって言われたからいる場所を教えてくれって頼んでたんだよ」
「それで…結果断られた感じか?」
「…そうだ」
んー、オヤジに久しぶりに会いに行こうかと思ったけど思わぬ所で知人にあったな。
…後日でも良いか。
「今時間あるか?」
「ああ、そりゃあるが…まさか」
「今なら手合わせ出来るぞ」
「…!頼む!」
なんか…本当こいつ犬みたいだな。
それじゃあ場所を用意しないとな…確かギルドの訓練場を借りる事ができたはず。
「分かりました、手配します」
よしよし。
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「ルア、何でやる?」
「そりゃもちろん俺は刀で行くぞ、互いに全力で行きたいだろう?」
「ははっ、納得だそれじゃあ構えてくれ」
「嗚呼」
互いに大きな怪我をしないよう木製の武器を使いやり合うことにした。
打撲程度なら治せるしな。
そうしてほぼ同時に地面を蹴り相手に向かった。
「ぐっ…」
凄い前に戦った時よりも重く強い。
あの後かなり鍛えたんだろうな。
俺もこの状態で手加減していたなら平気で負けそうだ。
全力を出そう。
月城流、「疾風!」
グラルの攻撃をいなしつつグラルに攻撃を入れるがそれもやはり浅い。
でも月城流はこれだけじゃ無い!
「村雨!」
からの。
「月虹!」
月城流の技を出しつつグラルにどんどん距離を近づけていく。
「…やっぱ惚れ惚れするな…この技」
グラルは戦闘で楽しくなって来たのか顔が紅潮して来た。
「グラル!まだ本気を出して来ないのか?それならこっちが勝つぞ!」
「…煽ってくれるじゃねぇか?」
グラルの目が爛々と光った。
来る、彼の本気が。
「クリスタルアルマ!」
マジか、これは予想してなかったな。
いくつもの剣の刀身が飛んできた。
技術もここまで洗練されるものなんだな。
「アラスベン」
「ぐっ…」
刀身を避けているとグラルが次の新しい技術で攻撃して来ていた。
これは…銃弾。
技術…変幻自在すぎるだろう…。
しかも何度も装填可能。
「凄い腕を上げたな…」
「お褒めに預かり光栄だな、あの時からずっと鍛え続けたからな」
…本当なら月城流だけで戦いたかったが使うか。
「俺も新しい技を身につけたんだ、覚悟して食らえよ?」
刀身を避けながら複数の事前に術式を刻んだ札を巻いておいた。
これは殺し合いじゃない、ただの試合なのだから…威力は抑えて。
「銀竹…ぶち抜け」
グラルに向けて発動する。
「どわぁ!?いきなりとんでもない量打ち込んでくるなよ!」
「それは、こっちのセリフだよ!」
互いに互いに対して文句を言いつつ長い間何度も何度も技をぶつけ合い続けた。
楽しくなり、ずっと夢中になっているとだんだん日が落ちて来ていて、そろそろ戻らなければいけない時間になってしまった。
「グラル次で最後にしよう、互いに全力でぶつけようか」
「ははっ楽しい時間はすぐに過ぎるもんだな、いいぜ」
そうしてグラルは目を閉じて自身の魔力を練り始めた。
よし、俺もゆっくりと魔力の流れを手足に流す。
深呼吸をして全身に酸素を回すイメージを持つ。
目を閉じて精神統一。
これは…久しぶりに使うな。
「グラル準備出来たぞ、行けるか?」
「ああ、問題ないいつでも来い!」
地面を割るほどしっかりと踏み締め、グラルに一直線に向かう。
月城流、奥義…「閃影 朧月」
「そうくるかよ!デュランダル!」
互いにぶつかり合い激しい押し合いが………始まらなかった。
何とぶつかり合った途端その負荷に耐えられなかったようで根本からしっかりと折れてしまった。
「…なぁグラル」
「…何だルア」
「引き分けって事にしないか?」
「…そうしよう」
そう何とも締まらない終わり方で俺らの手合わせは終わったのだった。
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