52話 鍛治屋
よし!今日は誰とも会わなかった!今度こそオヤジの所へ行ける。
この前グラルと会いつい手合わせをしてしまい一日を終えてしまった。
いや…楽しかったけどさ。
えっと…確かこの道を曲がれば…あっ…たぁ!?
オヤジの店に着くとその周りに大量の冒険者が居た。
えぇ…何でこんな賑わってるんだ。
いや、嬉しいけどさ。
並ぶしかないかぁ…。
そうして渋々その列に並ぶと並んでいた冒険者達が騒ぎ始めた。
…何で?
「あ、あの!もしかしてあの白刃の影…ですか!?」
…何だそれ。
いや、本当に何だそれ。
「…誰ですか、それ」
「………」
…気まず。
まさか、それ俺の二つ名だったりする?
「…俺は確かに刀を持ってるがまさか」
そうして神鉄を取り出し見せると近くにいた冒険者達が盛り上がった。
「マジで!?」「初めて見た…」「本物だぁ…」「サ、サインもらえるかな?」「やめとけやめとけw」「あの刀不思議な力が宿ってるような…」「…彼は勇者では…ないんだよな」
…色々な言葉が聞こえるな。
後サインぐらいなら別に書くけど…。
まぁここは…。
「皆さんお静かに」
すると一気に静かになった。
あ、人気便利…。
全く…オヤジに会いに来たのに…。
自分が有名人?になってるのを知るとは。
もしかして、俺が有名人になったからオヤジが有名になったのかな。
大人しく待つ事にしますかね。
〜数十分後〜
「やあ、オヤジ」
「ん…その呼び方をするのは…ふっやっぱり小僧か」
さっきまで仏頂面をしていたオヤジの雰囲気が和らぐ。
「それで、今日は何の用だ?」
やべ、久しぶりに顔出す事しか考えて無かったから何にも考えてないや。
「…その顔は、いや別に良いんだが」
あ、バレた。
「久しぶりだし、刀のメンテナンスをしようか、あの刀に問題が起きるとは思えんがな。
裏の部屋で待っていてくれ、まだ客人の相手をしなきゃならん」
「ああ、そうさせてもらうよ」
そうしてオヤジに案内された部屋でアイテムボックスを確認した。
オヤジの部屋は良くも悪くも必要最低限の物だけだった。
なんかオヤジらしいな。
そういえばハグレモノの素材はどうだったんだろうか。
ハーピィの羽
ハーピィの爪
ハーピィの卵
上質な翼
Aランク魔物の魔石
やっぱりハーピィのハグレモノだったから新しい素材が手に入ってるな。
てか、あれAランクだったのか。
しかし、(ハグレモノ)って付いてるけど何か違うのか?
後でオヤジに聞いてみよう。
…しかし時間が余ったな。
仮眠取るか。
そうして俺は少しの間意識を手放した。
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「………お………お…い…おい!」
「うわぁ!?」
少し深い眠りに入ってしまったようだ。
疲れてたのかな。
「全く、戻ってきたら机に突っ伏して寝てってから驚いた」
オヤジが少し呆れたように呟く。
「それはそうと刀見せてみろ」
「あ、ああ」
そうして神鉄を取り出し親父に渡す。
そうして親父は刀を引き抜いてじっくりと眺めた後ぽつりと呟いた。
「…やっぱり惚れ惚れする素材だな。
どこにも傷は付いてないし血液による錆もない使用者の技量が伺えるな」
「お褒めに預かり光栄だよ」
そうだ…この前疑問に思った事を聞いてみよう。
「なぁオヤジ」
「何だ?」
「この前この神鉄を作ってもらった時あっだだろう。
あれからこの武器の特異性が不滅…って分かったんだがどうしてオヤジはこれの造形を変えれたり出来たんだ?」
「ああ、成程、溶かした時の違和感はそれか。
その刀身は溶けはしたんだが、垂れたりしなくてななんて言えば良いんだ…その飴細工のような感じだったと言えば伝わるか?」
「なるほど、そう言うことか」
「あくまで不滅なだけだ壊れたり無くなったりしないだけで、変形は容易だ」
オヤジの言ってた事に納得しつつこっそりオヤジを阿頼耶識で調べる。
多分オヤジは雰囲気的になんか…普通の一般鍛治師って感じしないんだよな。
すると驚く内容が飛んできた。
{レオ=ワーグナー Lv79
鍛治の勇者
固有スキル
鍛治 鍛治関する技術向上
鉱物鑑定 限定的なのを代償に少ないリスク及び他の鑑定よりも精密に調べる事が出来る
武器使い 全ての武器を使えるようになる}
うわぁ…マジかオヤジって勇者だったんだ…。
しかもめっちゃ強い。
「小僧どうした?」
うーん、聞くべきなのか?これは。
「なぁオヤジって勇者だったのか?」
するとオヤジは小さくため息をついた。
「そうだな、俺は勇者の一員として呼び出されたがもらったスキルと称号が酷かった。
正直追放か処刑かだと思ったがここの王はそれをせずに俺を王都に住まわせ武器を作らせてくれた。
初めは乗り気じゃ無かったが一度槌を持ってからは楽しくしょうがなかった、武器が作られていく感覚と自分が思い描いた形がそのまま現実に現れる時の嬉しさはそう、言葉で表せるものでは…」
とそこまで話した所でオヤジは自分が熱くなっているのに気付いたようで「コホン」と小さな咳払いをした所で罰が悪そうに「まぁ…とにかく変なスキルを持っても追放とかしなかった今の王に感謝してるんだ」と言った。
…まともな王でよかったな。
マジで、これよくある追放物になる可能性あったぜ。
そうだ、オヤジにあれを渡してみよう。
「オヤジ、見てもらいたい素材があるんだが…良いか?」
「ああ、見せてみろ」
「これなんだが」
そうしてオヤジにハーピィの羽を見せると驚いたようにそれを手でなぞったり少し力を加えてみたりし始めた。
「お前…これ、どこで手に入れた?」
「いや、普通に戦って手に入れたんだ」
「はぁぁぁ…そう言うことかぁ…」
少し頭を抱えながらオヤジがさっきよりも大きなため息をつく。
「さすが白刃の影だな」
「いや、本当にそれなんだよ」
「知らないのか、魔族を退けたってだけでもすごいのにフィリップ領の立て直しを成功させて、道の開拓やAランク冒険者で、ハグレモノをソロ討伐、何よりお前のその刀の戦闘法の斬撃が見えない上におまけに刀には血がつかないせいでずっと刃は白いままって事が色々混ざり合って結果誰かが、白刃の影と言い出したんだ、それが冒険者達に知れ渡りあっと言うまに定着ってわけだ」
「な、成程…」
変な二つ名見たいのがついちゃったな。
「それと話を戻すと、ハグレモノの素材は普通の素材よりも硬度が高い上に魔力の通りがとても良くなる、剣に混ぜても良いし盾にしても良い、色んな使い方が出来て鍛治師にとっては夢のような素材だ。
ハーピィだと作れるのは弓矢と双剣になりそうだが…お前は使わないもんな」
「いや、作ってくれ、俺も刀程じゃないが弓は使える」
「よし、分かったお題に関しては刀を作った時にもらった金の分が残ってるから今回は払わなくて良いぞ、伝達魔法は使えるか?」
「ああ、使えるぞ」
「分かった、じゃあ手を出せ、俺との連絡を取れるようにしてやる、出来たら呼ぶからその時に受け取りにこいよ」
そうしてオヤジと連絡が取れるようになってから俺は店から出て、屋敷へと戻って行った。
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