第11111話:ガレージ・ザ・ローカルロードライダーズ
多分、四季は二季になった。
そして多分、梅雨も二期になったのだと俺は勝手に思っている。
梅雨の二期。そして四季の二季。 四季は「夏季」と「冬季」になり、梅雨の二期は夏季前の「前期梅雨」と夏季後の「後期梅雨」。
ん? それなら別に四季でもいいか。 「夏季・雨季・冬季・雨季」という絶妙に微妙、いや大いに微妙、いやいやこんなのは勘弁してくれという、妙な四季でも。
まあまあ、それはそれとして――まあまあまあまあ、今日も雨だ。
9月に入ってからもう半月。9月15日の天気は雨。 俺の記憶が確かなら、ここまで晴れた空を見た記憶が半日分くらいしか無い。 友人にそれを話せば、「そうだな」という返事が返ってくることを俺は確信できる。賭けてもいい。
だが――空模様なんてものは、地球都合だ。 うだうだ考えても、グダグダ愚痴を言っても、どうにかなるわけでもなければ、どうにもならないものだ。
だから俺は、この雨の中、自分に出来ることを出来る範囲でやるだけだ。
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山に囲まれたクソ田舎。 そこで俺は、軽トライダー……運び屋、田畑と農道の草刈り屋、その諸々のいわゆる「何でも屋」をしている50代、独り者のおっさんだ。
今日やる仕事を午前中であらかた済ませた後、午後は特に仕事もなく、そして用事もない。
それならば……趣味に走るか。
俺は階下のガレージへ降り、窓から入る外の明るさでは少し足りないので、そこの蛍光灯をONにした。
そこに停まっているのは、仕事で使う軽トラ・ダイハツハイゼット。 長いことプライベートで乗っている愛車・トヨタカローラワゴン。 そして、趣味のバイク・ホンダPCXの3台。
先日と言っても8月の話。 若い友人とツーリングに出かけてから3週間、全く動かしていない。
この小型スクーターにしては大きく、ビッグスクーターと言うには小さい、絶妙なサイズのバイクに、俺は2010年発売の初代から2023年モデルまで一貫して乗っている。
サイズも微妙なら排気量も微妙な156cc。 だが、これが俺には絶妙だった。
だから16年もこのバイクを乗り継いできたわけで――おっと、深い語りに入りかけていた。
このバイクの話になると妙に深くなっていくのは、バイク好きならまあまあよくあることだと俺は勝手に思っているし、俺だけじゃないとも勝手に思っている。
なあ、そこのあんた。今、頷いただろう?(笑)
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3週間前のツーリング。 朝早く出掛け、昼は早めに帰ってきたこともあり、8月にしては「虫」の被害は少なめだった。
それでもスクリーンとフロントフェンダーには、それなりに「衝突の跡」が残っている。
次に乗る日のために、軽く拭き掃除をしておくか。
虫の跡がついている部分に霧吹きで水をかけ、ウエスで丁寧に拭き取っていく。
一回できれいになるわけもなく、それを2回、3回と繰り返し、最後にペーパータオルで水滴を拭き取って完了。十分もかかることなく作業は終了した。
作業が終わってやることは、ガレージ備え付けの保冷庫に入った缶コーヒーを取り、ツーリングキャンプで使う愛用の折り畳み式チェアに座って、綺麗になったバイクを眺めながら休憩だ。
バイク乗りなら多分誰もがそうだろう。
綺麗になったバイクを眺めながら飲む缶コーヒー一杯は、美味い。
ロングスクリーン、トップケースの他、細かなカスタムを施し、とあるカスタムスクーターへの憧れで、その雰囲気を出そうといくつも貼り付けた大小さまざまなステッカー。
人気車種ゆえの悩みで、走っているととにかく他のPCXと被る。
それを自分のセンスで差別化するのも、人気車種であるからこその醍醐味だ。
……などと勝手な思いに浸りながら飲むコーヒーは、これまた美味い。
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このガレージには、最初のPCXを買った時に作ったサインボードを飾っている。
そこに大きく描いた「ザ・ローカルロードライダーズ」。
初代の125ccに乗っている時にふと思い浮かんだ言葉に込めたのは、
「下道しか走れない呪いを誇りに」
という、今思い出すと少々気恥ずかしくなるような話だ。
だが、この俺の趣味空間に訪れた友人たちは自然にここのことを「ガレージ・ザ・ローカルロードライダーズ」と呼ぶようになり、今は俺もしっかりそれに乗っかっている。
大小さまざまなバイク乗りの友人が時々訪れ、コーヒーを飲んでバイク談義なり馬鹿話なりをして帰っていく。ここはそんな、ざっくりとした場所だ。
そんな場所を中心にしたこの物語を、俺の気が向く時に気ままにつらつらと語っていこうと思う。
「なあ、そこのアンタ。バイクは好きか?」
あとがき
ガレージ・ザ・ローカルロードライダーズ:著者の気が向いたら執筆する不定期投稿で連載中――




