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なるほど、......この人が依頼者っていうことか。上等な服を身に纏ってる。怪我もしてるし...
...権力絡みの内輪揉めか。事情は聞かないほうがいいやつだな。
「はいっ。できた。」包帯を巻き終わった美夜がそう言う。
「変な匂いがしたり、ズキズキしだしたらまたここに来るんだよ。いいね?」
「分かりました。ありがとうございます」
そう言って、俺のいる扉の方に小走りで近寄る。
「待たせたね。」
……俺か?
そう思った瞬間、横を風が抜けた。
後ろを振り返ると、いつのまにか誰かが立っていた。
背の高いポニーテールをした女性だ。見た感じ武士のように見える。
警戒の眼差しで俺を見つめた後、少年を肩に担ぎあげる。
「ちょっ、我は歩ける。下ろせ!」
「いえ、反抗いたします。」
「歩けるって言ってるだろ!」
そんな会話をしながら廊下の奥へと行った。
随分と暴れてたのに、彼女の手はビクともしなかったな...
「美夜、あの人達が依頼者ってことだよな。」
包帯や保冷剤とかを片付けながら言う。「そうだね。なんか命狙われてるらしいね」
「レイはなんか怪我?」
「いや、依頼内容を聞こうと朱那を探してただけだ。用は済んだし戻るよ。」
「んー。さよならー」雑に手を振りながら、椅子をぐるりと回した。
帰る途中。始めに居た部屋の前を通りかかった。
中から...朱那とあの少年、の声が聞こえてきた。
依頼内容の確認とかか?
「おどろか___きいて_しい。かの___、あ__なんだ。」
「あと_ぎ__そ_で」......
なんて言葉が微かに聞こえてきた。
やっぱり、面倒なやつだ。逃げてるってことは跡を継ぐつもりはないだろうに。
命を狙うなんて、阿呆らしい。
なんてこと考えながら部屋に戻った。
それからしばらくして、やっぱり暇だった。
ベッドでなんとなく、微睡んでいた。
世界が黙ってて......自分が動く音だけが響いていた。
ドンッと隣の部屋から物音が響いてきた。
部屋を飛び出して、隣の部屋の扉を開ける。
暗い部屋の中で、2人の人影がみえた。
「大丈夫です...か」
俺のいる廊下の光が、部屋で反射して光る。2人は刀を持って、にらみ合っていた。
「あ?...」といいながら手前にいる凪が、こっちを振り向く。
奥の人物は流れるように刀を腰にしまった。さっき出会った女武士だ。
凪は女武士の方に向き返して軽くお辞儀をして、俺の方に飛んで来た。
腹に冷たいものを突きつけられる。
...ナイフだ。
「邪魔するなよ。ころすぞ」
殺意は感じないが...まじでやる時はやりそうだな。
「ごめん。物音が聞こえて、何かあったのかな?って」と小声で言う。
「物音?そっちの音じゃなかったのか?」
「え?いや、俺は何も...」
『...え??』
なんとなく、部屋の方に目をやる。
あの、女武士がいない。
と思った矢先、突き上げるような衝撃が走って空中に飛び跳ねた。
部屋の物は一斉に散乱して、照明も千切れそうなほど揺れる。
建物が割れそうなほどの衝撃が続く。
腰のナイフに手を添えて、身構えた。
二つ、三つほど向こうの部屋の扉が開く。メイナだ。何かをいいながら三つ先の扉を叩いてた。
三つ先の扉が開いて、クロがでてきた。メイナとクロが何かを話している。
と思ったらメイナがクロの部屋に倒れ込むように入っていった。
「なあ、レイ。シオンはどこか知らないか?」
「そんなの知るわけ...」
「そう...だよな」
と言って凪が廊下の奥へ進もうとする。
「ちょっと待て、シオンは部屋にいないのか?」
「シオンは俺と同じ部屋だ。今日、俺が部屋に帰ってから一度も帰ってきてない」
「は?...ちょっ、待て俺も探す」
一瞬俺を振り返って、また向こうを向いた。「勝手にしろ」
やばいやばいやばい。地震始めてだからこういう時どうすんの...え?
扉を叩きながら言う。「クロ!クロ!!」
「何?」といいながらクロがでてきた。安心で足の力が...
倒れ込むようにして、クロの部屋にはいってしまった。クロもその勢いで倒れる。
扉がしまった。
「え、え、えわ、え、えや、えっと......事故!そう事故!!」
「分かってるって」といいながら私を立たせる。
額にデコピンをしてくる。「動揺しすぎ。で、なんのよう?」
「えっと...」やばい、動揺して来ただけだから理由考えてなかった!!
「怖くて、助けを求めてきただけ?」
ギグッ。
それだけなのが、なんだか気まずくって目が合わせらんない。ゆっくりと頷いた。
「はぁ。邪魔しなかったら自由にしてていいから」
と言ってクロが部屋の奥に進んでいった。
私も一歩踏み出そうとした...が「わっ!!」動揺と揺れのせいでバランスがとれなかった。
クロがそれに気づいて受け止めてくれた。
「ちゃんと歩けよ」呆れたような目で見ながらそう言ってきた。
くるっと回ってまた、部屋の奥に歩いていった。
すごい...こんな揺れてるのにバランス一切崩してない。
次は慎重にクロの後ろをついていった。
「ごめん。凪」




