私は世界で一番かわいい美少女
馨が自分のことを好きなのか、
不安を覚える柴乃。
そんな彼女に、好きにさせようと
姫野が作戦を立て・・・
「は? 弁当? 俺に?」
怪訝そうに顔をしかめながら、耳にはめていたイヤホンをはずす。
なんとも不機嫌そうなその顔は、とても言い出しにくくて渡しづらくてしょうがなかった。
「た、たまたま材料が余ったから、ひ、暇だったし作ってあげたのよ!」
「……確かお前、渉に作ってもらわねぇとド下手じゃなかったか?」
「う、うるさいわね! 練習したのよ! あんちゃんに教わって!」
「へえ~」
「いつも学食とかじゃ、いくらお金があっても足りないでしょ! 騙されたと思って、食べなさい!!」
「そんな覚悟で食べたくねぇよ」
ぐぬう……手ごわい!
あんなことを言った手前、ここで食い下がるにはいかないわ!
「いいから食べなさい! 私の気持ちを無駄にするわけ!?」
「あーわかった、わかった。そこまで言うかよ、ったく」
あれから何日か後、私は姫野の言う通りに行動を起こしていた。
正直あいつに乗せられているような気もして、乗り気ではないんだけど。
でもこのままだと、彼が誰か別の女のもとへ行ってしまいそうな気がする。
それだけは、絶対! 絶対嫌!
「……ん、まあいいんじゃねぇの?」
「反応薄っ! おいしいとか、他にないの!?」
「お前さあ……ちっとは落ち着けよ。かわいげがねぇ奴」
か、かわいげがねぇ、だと!?
初めて言われた、そんなこと。
しかも、こんな……こんな奴なんかに!
落ち着け、私。このままじゃだめ。
このままじゃ好かれるどころか、嫌われてしまう。
それだけは避けなきゃ、私は馨君の彼女なんだもの!
「そういやお前、今日暇?」
「え? ひ、暇……だけど」
「新しくゲーセンが出来たとこがあってさ。付き合ってくれねぇか?」
「またゲーセン? 本当好きよねえ、あんた」
「なんとでも。ところで、さっきから気になってたんだが、横にある袋何」
「え? ああ、これは……」
「おっ、うまそうな弁当食ってんじゃん」
私が話そうとする直前、耳元で声がする。
顔を上げると、馨君の弁当を興味深そうに眺めている隼人君だった。
彼の隣には組み合わせとしては珍しい、寺濱君がいる。
「浅沼君って料理出来るんだ? オレはてっきりできないんだとばかり」
「珍しいね、馨。いつもめんどくさいって、学食にあきた時は僕に頼んでくるのに」
「違う、これはこいつが押し付けたんだ」
むっ、押し付けたとはひどい言い方!
まあ事実だから否定しようがないけど……
それを聞いた二人の反応は対照的で、寺濱君は
「ああ、それで早起きしてたんですね。すごくおいしそうですよ」
と満面の笑顔で褒めてくれ、隼人君は
「……気をつけなよ、浅沼君。柴乃ちゃん、ものすんごく不器用だから」
と言って馬鹿にしてきた。
「失礼ね! 隼人君! そんなこと言うと、もうあげないんだから!」
「あげない? 何を」
「この柴乃様が、貴重な睡眠時間を削ってあんた達の分も作ってあげたのよ! 感謝してほしいくらいね!」
そういってずっと持っていた二つの袋を手渡す。
彼らを学食に来させたのは、私の作戦だ。
昼休みまで買わないでと事前に言っており、手渡ししてしまえばこっちのもん!
こぉんな優しい人、なかなかいないわよね~うんうん。
「えっ、僕達の分もあるんですか!?」
「ええ! 存分に味わいなさい!」
「……毒とかもってないよね?」
「隼人君は私をなんだと思ってるのよ!!」
「ま、ちょーど昼飯なかったし助かるわ。どーも」
「よかったらお昼、一緒にどうですか? 姫野さんや渉さんも、誘ってるんですけど」
「そうね! せっかくだし、全員で……」
「わりぃ、俺パス」
その言葉が彼のものだとわかるのに、数秒かかった。
気が付くと馨君は弁当箱を片付け終わったところで、軽い腰をさっと上げる。
「弁当、サンキュー。洗って返す」
「えっ! ちょっと馨君!」
足早に去っていく彼の背中が、いつにもまして冷たくて。
それがなんだか寂しくて、悔しくて。
今の私にはどうすることもできず、深いため息をつくばかり。
心配そうに私に声をかける寺濱君に対し、何か勘づいているような笑みを浮かべた隼人君がずっと私を見ているような……そんな気がした。
(つづく!!!)
こういう面を書くと、柴乃ちゃんも
女の子なんだなあって感じですよね。
そんな双子姫の本編も、いよいよ次週最終回です。
いきなり!? って皆さん、すみません。
本当は一話を投稿した2月まで
一年かけてやろうかとも思ったんですけど
流石にやめました笑
というわけで、次回! 最終回!
22日の9時頃に更新します!
馨の本心はいかに!?




