調子に乗ってるあの娘に一刀両断っ!
初めて初詣を、馨と二人で過ごした柴乃。
新年早々いいことあったと浮かれる彼女だが・・・?
『今日は来てよかった。ありがとう、柴乃』
彼の笑みが、まるで今いるかのようにふつふつと浮かんで見える。
あの時の手のぬくもりはいつまでも残っているかのようで、自分の手を眺めみる。
つないじゃったんだなあ、私。馨君と。
なんだかこれって、絶好調なんじゃないの!?
「新年早々、なんだかご機嫌だね。柴乃」
ふっと隣を見ると、そこには彼女―あんちゃんがはにかんでいる。
あけましておめでとうと笑いながらかわすと、あんちゃんも微笑みながらおめでとうと返してくれた。
今日は冬休みが明けた、初めの登校日。
一月になって少し寒くなってきつつあるにもかかわらず、私は絶好調真っただ中だった。
「それが聞いてよ、あんちゃん! あれから初詣行ったんだけど、手つないじゃった❤︎」
「えっ、すごいね柴乃。進展してよかったね」
「でっしょ~~❤︎」
「そっか……なんか、嬉しいな。前までは素直に言えなかった柴乃が、私に話してくれるのって」
一言多いよといいながらも、笑みを浮かべて見せる。
こうやって私の自慢話を自分のことのように聞いてくれるのも、彼女以外他にいない。
だから私も気兼ねなく話ができる。
本当、いい友達持ったなあ。私。
「そういえばあんちゃんこそ、大丈夫だった? 年末年始、バイト漬けだったんでしょ?」
「えっ? う、うん。大丈夫だよ?」
なんだか急に白々しくなったのは、気のせいだろうか。
バイトで何かあったのか、話を振ろうとする直前
「おはよ~柴乃ちゃん渉さん。あけおめ~」
と別の声で遮られる。
はっと気づいた時にはすでに自分の席に荷物を置いていた、隼人君がいた。
「海藤君。あけましておめでとう」
「二人は仲がいいね~見習いたいくらいに」
「そんなこと……あるかもしれないけど。そ、そういえば! あの後どうだったの! むぎちゃんと! 二泊したんでしょ!?」
「したけど、何も変わんないよ。仮にもあっちは、仕事中だからね」
「なんで何もしないのよ!! この意気地なし!」
「し、柴乃。おちついて……」
あんちゃんがなだめてくれなきゃ、私は彼に突っかかって言っていたかもしれない。
男ってみんなそう。
人があげたチャンスを、こうも簡単につぶしてしまう。
もう! せっかくこの私が手伝ってあげてるっていうのに!
「ていうかさぁ、オレ的にあっちをくっつけたほうがいいと思うんだけど」
「あっちってどっちよ」
「姫野ちゃんだよ。あの一件があったんだから、一人に絞ってもいいんじゃないかな~ってさ」
言われなくてもやっている、そう言いたかった。
でも彼の行動・言動を見る限り、説得力に欠けるのは分かっている。
協力するって言っちゃったし……このまま姫野をほっとくわけにもいかないしなあ……
「あ、いた。柴乃~渉に海藤も。ちょっといいか?」
そんなことを考えていた時、ちょうど彼―馨君が現れた。
私たち三人を呼ぶかのように、手招きをしてみせる。
お互いに顔を見あわせた私達は、仕方なく重い腰を上げる。
「何よ、馨君。朝っぱらから」
「いやー今年は始業式前に、一波乱ありそうだなって」
「どういう意味?」
「こっちに来てみな。面白いことになってんぞ」
馨君に言われるがまま、そっと隣のクラスを覗いてみる。
するとそこに広がっていた光景はー
「だぁかぁらぁ、直樹君は姫野のだぁいじなお世話係さんなんだよ~」
「お世話係も何も、うちの兄は高校生です! バイトでもないのにただ金で働かせるなんて、不公平ですよ!」
「んも~あなたしつこぉい~」
「しつこくないです! うちの兄を返してください! 今、すぐ!」
「や、やめてくださいよ、二人とも~。先生に見つかったら、怒られちゃいますよ~?」
どうしようと言わんばかりの困惑っぷりの直樹君が、二人の女性の間に入っている。
もちろんその一人は、姫野だ。
姫野が対立している女子は、私でも見たことがない子。
制服のリボンの色が私達と異なるところを見ると、一年生なのかな?
一体何がどうなって……
「おーいお前らーいい加減にしないと、始業式始まるぞー?」
まるで先生のような声を、馨君があげる。
彼の声のおかげで、ひとまずの危機は脱したのだった―。
(つづく!!!!!)
というわけで、姫野・直樹のターンですね。
季節でわかる方もいるとは思いますが、
実は結構終わりに近づいてきています。
長いような短かったような・・・
あっという間なものですね。
次回、謎の少女VS姫野?




