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とある男子のマル秘事情

学校で起こっている不思議な出来事。

その原因が姫野だという隼人の言葉に

信じられない柴乃。

しかし彼女が家に帰ると、

傷ついた二人の中心に姫野がいてー・・・

時計の針の音だけが、カチカチと部屋に響いている。

静かにふり続ける雨を見ながら、携帯をぎゅっと握りしめる。

やっと鳴り響いた家のチャイムに私は敏感に反応し、急いで玄関に向かう。


「あ、柴乃。遅くなってごめ……」


「あんちゃん!!! 隼人君が……隼人君が!」


「落ち着いて。もう大丈夫だから、ね?」


私を慰めるかのように、あんちゃんが私の頭をなでる。

ようやく落ち着いた私は、うんと言いながら彼女から離れた。


「休日なのに、急に呼び出してごめんね……私、どうしていいか分からなくて……」


「うん、詳しくは中で聞かせてくれる? それと安心するかなって思って、連れてきたよ。彼も」


「彼?」


「とんだ災難だったな、柴乃」


あんちゃんの後ろにいたのは、私服姿の馨君だった。

呼んだのは彼女だけだったのに、わざわざあんちゃんが連れてきてくれたんだ。

今まで不安だった気持ちが彼の顔を見た途端、かき消されてゆく気がした。


「んで? 海藤は?」


「一応消毒とか、出来ることはやっといたけど……気絶したまま、目を開けてくれなくて……」


「話してくれないかな、柴乃。昨日、ここで見たこと」


そういわれて、私は浅くうなずくことしかできない。

私は包み隠さず、昨日起こったことを話した。

家に帰ると隼人君が倒れていたこと、寺濱君が鎖でつながれていたこと。

そしてすべての元凶が、姫野だってこともー


あのあと私は、何をどうすればいいかわからなくてあんちゃんにすぐ連絡を入れた。

隼人君をうちに寝かせて、出来る範囲のことをやって。

不安でしょうがないことを察したのか、あんちゃんはこうして来てくれている。

馨君まで来てくれたのは、正直意外だったけど。


「なるほど。つまりは渕脇妹の手の上だった、ってわけか」


「姫野ちゃんは一体、どうしたくてそんなことしたんだろう……」


「分かんないよ……信じられると思う!? 仮にも双子なのよ!? あいつのことは、私が一番わかるはずなのに!」


「落ち着いて、柴乃」


「あの時の話の続きを聞かせてもらおうか。狸寝入りの海藤君よぉ」


馨君が、私のベッドに寝ている彼に呼びかける。

振り返ると、さっきまで微動だにしなかった彼が体を起こすところだった。

頭を掻きまわしながら、私達を見て


「なんだ、気付かれてたんだ」


と、相変わらずの笑みを浮かべた。


「隼人君! もう起きて、大丈夫なの!?」


「平気。ずっと見てくれて、ありがと。柴乃ちゃん」


「お前は……渕脇の、味方なのか」


いつになく怒っているような、そんな感じが見受けられる。

そんな彼の様子を興味もなさそうに、隼人君が眺めている。

しばらくすると、隼人君ははあっとため息をついた。


「味方にされていた……が正しいんじゃないかな。オレもしっかりとは覚えていないんだ。海で姫野ちゃんに会ってから、本当の自分を奥底に閉じ込められているような感覚で」


「じゃあ今までの海藤君は、操られてたってこと?」


「……声が聞こえたんだ。柴乃ちゃんを好きになれ、紫乃ちゃんを幸せにするなって」


そうか、だから今までの彼と違うような気がしたんだ。

あんなに私にこだわっているように見えたのは、姫野の影響?

そんなことって……


「詳しいことはオレにもわからない。ただ、彼女の目的は柴乃ちゃん、君ってことには間違いないんじゃない?」


そんなこと、ない。

今までの出来事からして、それは自信をもって言える言葉ではなくなっていた。

姫野のこと、何にも知らないくせに。

彼女は確かそう言っていた。

私が傷つけてしまっているんだ。知らないうちに、姫野を。

あんな風にしてしまったのは、私の責任でもあるってことだよね……


わからない。

私が、何かしたっていうの?

昔はあんなに、あんなに仲が良かったのに。

いつもけんかばかりしていたわけじゃなかったのに。

どうして、こんなことになってしまったんだろう。

私達はいつから、こんな……


「どっちにしろ、渕脇自体に問題があるのは確かみたいだな」


そういうと馨君は、携帯に指を走らせる。

しばらく黙って捜査をしていると、彼は何かを確認したかのように私達を見た。


「渕脇の居場所が分かった。昔につぶれた、廃工場の跡だ」


「わ、わかったって……なんで馨君が……」


「知り合いに、そういうのにうってつけな人がいるってだけ。詳しい話は、あいつに聞いた方が早いだろ。行くぞ」


手短に用件だけ伝えた馨君は、そそくさと家を出てしまう。

不安そうに顔を見合わせた私達は、彼の背中を追いかけるように歩いていった。


(つづく・・・)

たった二話分控えただけなのに

ここに書くのが随分久しぶりなような・・・?


この作品を投稿して、六カ月・・・

つまり半年たちました。

なのにやっと中盤ですよ。どんだけ長いんだよって

もう私、作者なのにつっこみが絶えません。


今回は隼人君の行動の真実、がわかったわけですが・・・

つまりですね、隼人君全然怖くないんですよ。

読んでくれている友人が、隼人君怖いって言ってたので

正体がわかったらきっと好きになってくれる・・・はず。


次回、こんな場面にもかかわらず新キャラ登場です。


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