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何もかもうまくいく、なんてことはないよね

体育祭にて馨と隼人が対決するも

その最中に柴乃は倒れてしまう。


疑問と不安が渦巻く中、校内はもう一つのイベントの話題でもちきりで・・・

校庭の木々の葉が、いつの間にか赤に染まっている。

きれいなほど深紅の世界が、風で空を舞う。

ぎゃあぎゃあ騒いでいるみんなの声が、どうしようもなくうるさくて……


「ああ、もうあんた達うるさいわよ!! 全っ然決まらないじゃない!」


たまらず机をばんっとたたく。

にもかかわらず、みんなは話すのをやめようとしなかった。

あんなに盛り上がっていた体育祭の雰囲気は一変し、どこかみんな浮つき始めるこの時期。


蛍雪高校では、もう一つのイベント・文化祭が開かれようとしていた。

高校の文化祭なんて初めて! ってわけでもないし、今年最後の文化祭だ! なんてなるわけもない位置にいる。

それでも楽しみな人は楽しみならしく、話はそれでもちきりだ。

別にそれは分かるんだけど……


「ちょっと! あんちゃんからも言ってよ! うちのクラス一番進み悪いって、上級生から苦情来てるのよ!?」


「そ、そんなこといわれても……柴乃、少しは落ち着いて……」


「落ち着けない! 人を実行委員にしておいて、この不協力さはあんまりよ!」


渕脇柴乃、高校生活二年目にして初めて体調不良で欠席をしました。

原因はもちろん、体育祭で風邪をこじらせたせい。

その日に文化祭実行委員を決める話し合いが行われたらしく、誰もいないという理由から私にさらっと決まったらしい。


まったくもう! なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ!

あんちゃんがサポートとして、副委員になってくれたからまだいいものを……


「はーい、柴乃ちゃん。オレから一つてーあん」


騒いでいた生徒を静めるかのように、ぱっと手を上げたものがいる。

無論、隼人君だ。

彼の周りには相変わらず女子でいっぱいで、ちやほやされているように見える。


「何よ、隼人君。何かいい案でもあるの?」


「ん~文化祭って出し物やると、思う存分見に行けないじゃん? だから展示にしない? 無難に」


意外だな、隼人君からそんな言葉が出るなんて。

確かにそうだけど……展示するものなんて、一つも……


「あっ、こんなのとかいいんじゃない? 自分ちの家の近くの風景を撮って、飾るの! 写真展的な!」


写真好きで有名な井上さんが、声を上げる。

すると他のみんなも、いいかもいいかもと賛同していった。

先生も先生で、


「普段は気づかないものに、気付くきっかけになるかもしれないわね」


と前向きな様子。


「決まりってことで、いいのかな?」


「何よこの地味な決まり方は……」


「いいんじゃない? 浅沼君と当日自由に回れるって思えば」


「いちいちあいつの名前出さないで!」


くすっと笑いながら、あんちゃんは黒板に字を書いてゆく。

まんざらでもなさそうに、ふっと笑みを浮かべた隼人君。

そんな二人を見ながら、私は深いため息をつくしかなかった……


「写真展? お前のクラスが?」


シャーペンを耳に挟ませた彼が、怪訝そうに顔をしかめる。

しばらく沈黙が続いたかと思うと、そのシャーペンを手に取って一言。


「地っ味」

とつぶやいた。


反論する余地もなく、私は「うっさい」と短く返事をしただけだった。

今日の授業も無事に終わり、自分のクラスの出し物も決め終えた私とあんちゃんは放課後を利用し、隣のクラスの馨君のもとに来ていた。


基本的に文化祭の出し物は、かぶってはいけない決まりがある。

だから聞きに行こうって話になっただけで、別に馨君と話がしたかったわけではないんだからね!


「写真とか地味すぎんだろ。そいつの趣味疑う」


「提案したの、私じゃないんだけど」


「まあ大人には好評なんじゃね? 教育がどうとか言ってさ」


「浅沼君のクラスは、何するか決まったの?」


「ん~……まあ一応? 渕脇発案、メイド&執事喫茶」


執事、と聞いて思わず想像してしまう自分がいる。

言った本人である馨君はめんどくさそうに、ほらと黒板を指さす。

確かにそこには、メイド&執事喫茶に丸がついてあるけど……


「あんた!!!! 接客するの!?」


「しねえよ、めんどいし」


「なんでよ! みたいからってことじゃないの!?」


「お前の妹が何考えてるかは知らんが、俺はやらねぇ。第一不公平だろ、コンテスト首位が二人もいるんだし。それに実行委員だから、仕事あるし」


言われてみて、彼の机の上にあるのが企画書だということに気付く。

さらさら書かれていく字は、黒板の文字と一緒な気がした。


「じゃあ、寺濱君もやらないの?」


「あいつは呼び込み。厨房担当になりそうだったのを、俺がとめた」


「なんで止めてんのよ……あの人、無駄に女子力高いじゃない」


「そうかもしれねえけど、あいついなきゃろくに回れねぇんだよ。女子が湧いて出るから」


そういわれて、一つの考えが思い浮かぶ。

それは、文化祭で一緒に回る……ということ。

寺濱君には姫野もいるわけだし、馨君が一人になる確率は高い。

だったら、その前に私が……!


「じゃあ!! 馨君、私と……!」


「あっさぬ~まく~ん❤︎ 当日暇なんだよね? 店番終わったら、姫野と一緒に回らない?」


私の言葉を遮るようにやってきたのはもちろん、妹の姫野だ。

彼女の後ろの方には彼女が下僕と慕っている男子が大勢いて、その中に寺濱君もいる。

男子達が悲鳴に近い声を上げているというのに、姫野はにっこりと馨君に笑いかけていた。


「って、姫野! なんであんたがこいつと! 回る人なんて、数え切れないほどいっぱいいるでしょ!?」


「姫野は浅沼君と回りたいのぉ~なんでお姉ちゃんが入ってくるの~?」


「う、うっさい!」


「一緒に回ろうよ~姫野、浅沼君とじゃなきゃヤダ~」


「……んなこといわれてもねぇ」


「ちょっと! 渕脇さんだけずるい! 馨君は、私と回るのよ!」


「何言ってるの! 私が先に約束してたのに! ねえ、浅沼君!!」


姫野の会話を火ぶたに、次から次へと女子が買って出る。

人の流れにあれよあれよと流された私は、いつの間にか彼の姿が見えないほど遠くに来ていた。


「何よ、あいつ……人気すぎてうざいんですけど」


「これじゃ浅沼君もかわいそうだよね。よかったの? 誘わなくて」


「別に……って! なんで誘おうとしたこと知って……!」


「そんなの見てればわかるよ。また次の機会に持ちこそ」


優しげな言葉とともにきれいな笑みが、私に向けられる。

そんなあんちゃんを眺めみながら、私はまた一つため息をついたのだった。


(つづく!)

もう六月が終わりましたね。早いもんだなぁ


そういえば28日は

ストロベリームーンだったみたいで、

この子達でも想像してみましたが

なんか、そういうの信じなさそうな

人しかいないきがします


直樹が実質一番乙女なので

強制にでも馨を連れてみてそうですが…笑


次回、文化祭の準備はまだまだ続く!

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