悪い予感しかしない新学期
あんちゃんの過去の思いを知った柴乃は
ますます仲を縮める。
楽しかった夏休みも終わり、舞台はついに二学期へ!
緑に染まった葉っぱが一枚、また一枚校庭に落ちていく。
まぶしい太陽の光が、カーテンを通して教室へと入ってくる。
「渕脇柴乃さん! 僕、ずっとあなたのファンでした!」
「君のその瞳で僕を永遠に魅了してくれたまえ!」
「おらの柴乃さんを思う気持ちは、だれにも負けないでやんす!」
お願いします! と声が三つ重なる。
廊下を通り過ぎていく人々の目が、痛いほど私に刺さっているのが分かる。
それが恥ずかしくて、腹ただしいあまり……
「お・こ・と・わ・り・し・ま・すううううううう!」
中の教室まで聞こえるような、大きな声で叫ぶ。
ショックを受けしつこくいってくる三人に目もくれず、私は教室のドアを閉めた。
それでも視線がこちらに向いていたので、みんなの方を睨むように振り向く。
みんながみんな、あわてて私から視線をそらした。
「始業式早々、モテモテだね。柴乃」
その一部始終を見ていたのか、いつの間にかそばにあんちゃんがいた。
やれやれと肩をすくめる彼女の姿を見ながら、私は静かに怒りをぶつけた。
「何がモテモテ、よ。嫌にしかならないわ」
「でも初めてじゃない? 三人も一気に来るのって」
「そうだけど、どれも知らない顔じゃない。何をどうしたら私に惚れるのか、分かったもんじゃないわ」
「またそんなこといって、他の人に嫌われるよ?」
「私の友達はあんちゃんで十分なの!」
長いようで短かった夏休みも、もう終わり。
今日から晴れて、二学期の始まりだ。
にもかかわらず最初から三人から告白されたら、こっちとしてはたまったもんじゃない。
祭りの時といい海の時といい、ろくなことないな私……
「まったく。柴乃がそんなんじゃ、あの人のことそんなに悪く言えないんじゃない?」
「あの人、って?」
「浅沼君のことだよ。さっき彼に告白して振られたって子が、私の知る限りで五人はいたから」
「そ、そんなに!?」
話を聞くだけで分かる。彼にはかなわないって。
やっぱり女性に興味がないってだけあって、好きにはならないのかな?
「はぁい、みんな席について~ホームルームを始めるよ~」
ちょうどそのとき先生がやってきたものだから私たちの会話は途絶え、仕方なく席に着く。
全員が席に着いたことを確認すると、先生は明るい笑顔で話し出した。
「皆さんに、うれしいお知らせがあります。二学期から、新しくこのクラスに転入生がきました。仲よくしてくださいね」
へぇ、転入生とか来るんだ。
まあ女子だろうが男子だろうが、私にはどうでもいいけど。
「では、海藤君入って?」
ん? その名字、どこかで聞いたような……
「初めまして、海藤隼人です。よろしくお願いしまーす」
「は、隼人君!?」
思わず椅子から立ち上がり、声をあげる。
はっと気づいた時には、もう遅かった。
みんなの視線が、一気にこちらを向いていたから……
「渕脇さん、お知り合いなの?」
「す、すみません! 人違いでした!」
「そう? じゃあ海藤君、開いてる席に座ってね」
「はーい」
空いてる席……って、私の隣じゃん!
なんで、なんでこの場に限って!
「よろしくね、渕脇さん」
私の反応を楽しんでいるような、意味ありげな彼の微笑みに、私は何も言えなかった。
つづく!!!
というわけで、新学期編です
ここから色々と複雑に進んでいきます
新キャラの彼が果たして何者なのか……
そこらへんにご注目を。
次回、新キャラの全貌開放!




