↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/50

少年よ、闘志を抱け!

直樹の恋事情を知り、姫野とくっつかそうとする柴乃

その作戦はあっけなく、馨にも知られてしまう。

それでも彼女はあきらめず、策を練り続ける・・・

いつも通る桜並木が、緑に色づいている。

地面に落ちていた一枚の葉を、私は拾いながら空に透かして見せた。

季節はすっかり夏。

いかにも元気とばかりに、今日も今日とて太陽は絶好調に私を照らしていた。


「夏ってきらぁい、熱くてまぶしいし。かわいい姫野のお肌が焼けちゃうんだも~ん。お姉ちゃんもそう思わない?」


「……知らない」


私の横で、文句を言いながら自分の顔を鏡で見ている奴がいる。

無論、姫野だ。

相当日焼けが嫌なのか、夏はいつも日傘常備。日焼け止めなどの対策もばっちりである。


私にとって彼女といるこの時間こそが、一番嫌いだ。

特に朝の通学。

通るだけで色々な人に二度見されるだけでなく、姫野に限っては男子がたむろってしょうがない。

その被害にあう私の目になってほしいものだわ。


「おはよ、柴乃」


そんな地獄から解放してくれるのは、いつもあんちゃんだ。

彼女は私を見つけると、こうして話しかけてくれる。

おはよと軽く挨拶すると、あんちゃんは


「相変わらず朝は機嫌悪いね」


と、呆れたように言った。


「当たり前でしょ? 毎日毎晩これなんだから」


「ぶれないね、姫野ちゃんは」


「まったく、こんな奴が妹なんて……」


「あっ♪ 浅沼くぅぅぅぅん❤︎」


こんなにぶりっこな声を出すときは、決まってかわいいところを見せつける時だ。

しかも彼女が呼んだ名前……まさか……


「こんな朝早くから会えるなんて、運命みたい❤︎ おはよっ♪」


「……どうも」


姫野と話しているのは、まぎれもなく浅沼君だ。

後ろの方には彼のファンであろう、女の子達がいっぱいいる。

当の本人である浅沼君は、いかにも寝起きっぽいようなあくびをしている。


「あれから考え直してくれた? 姫野のこと」


「なんだったっけな、覚えてねぇわ」


「え~ひっどぉい、姫野本気なんだよぉ?」


「ひ、姫野さん! おおおおおおおはようござい、ますっ!」


「あれ、寺濱君もいたんだ。おはよ~」


見るからにテンションが違う。

彼女があいさつした彼―寺濱君は、そそくさと浅沼君の後ろに隠れてしまう。

やっぱり姫野は、完全に彼を狙っている。

それだけは絶対に阻止しなくちゃ!!

そう思ってた、その時。


「あ、そうだ❤︎ 浅沼君、甘いもの好き? 最近できたって話題のカフェがあるんだ~姫野と一緒に行かない?」


「悪いが、今日は用事があるんだ。誘うならこいつでも誘えば?」


「うええ!? 馨、何言ってるの!?」


こ、これはチャンス到来って奴じゃない!!


「実はねぇ、姫野! 寺濱君ってちょ~~~甘いものが好きなのぉ! あんたと好み合うんじゃないかな?!」


「し、柴乃さんまで!? そんな僕には……!」


「え~? 何~? ぜひ行かせてくださいって~?」


にこにこ笑顔を浮かべつつ、彼の口をふさぐ。

もごもごと何かを訴えている寺濱君の言葉は、私達には届かなかった。

こんなチャンス、私が見逃すわけないじゃない!

ここでこの二人をくっつければ、浅沼君との距離が縮まるし!


「寺濱君、甘いもの好きなの?」


「ほえ!? え、ええ。まあ……」


「じゃあ姫野と、一緒に行く?」


よし! 大成功!

あとは寺濱君が行くって返事をすれば……!


「え、えっと……明日でもいいでしょうか……?」


はぁ!??!


「ちょっと寺濱君! なんなのよ、明日でもいいでしょうかって! ふざけてんの!!!?」


「ふ、ふざけてないです! そもそも、どうして僕が行くことになってるんですか!?」


「二人とも、少し落ち着いて……」


「どうでもいいけど……人のバイト先でやるの、やめてくんね?」


その日の放課後、私たちは浅沼君のバイト先でもある喫茶店に来ていた。

というのも彼がバイトだといったのが始まり。

クラスが違うからまともに話すことができないため、こうして放課後にしか集まることができない。

そのため朝からたまっていたイライラを、彼にぶつけているところで……


「あんた分かってるの!? これはまたとないチャンスなの! 姫野と二人きりになることで、距離だって縮まるでしょ!?」


「無理です! いきなりすぎます!」


「男でしょ!? びしっと告白くらいしてきなさいよ!」


「ここここここここ告白!? そ、そんなことできるわけっ!」


「お前らうるさい。ここから追い出されてもいいのか?」


浅沼君の一言がなかったら、私達は延々と言い合いをしていただろう。

それくらい私はいらついてたし、正直今でも収まらない。

だって信じられる? せっかくの姫野の誘いを「明日」に伸ばすなんて!


「大体、馨のせいでこうなったんだよ~? 責任とってよ~」


「事実を言ったまでだろ? そもそも俺、甘いもん苦手だし」


へえ、浅沼君って甘いもの苦手なんだ……。

って何ちゃっかり覚えようとしてるのよ、私は!


「言っとくけど明日もバイトだから、助けにすがってもいないからな。自分で頑張れ」


「ええ!? ひどいよ、馨ぅ!」


「俺より頼りになるもう一人の淵脇さんいりゃあ、大丈夫じゃね?」


いきなり彼から名前が出たものだから、びっくりしてジュースをこぼしそうになる。

相変わらずと言っていいほど浅沼君は平然とした顔で、私達の隣の席を布巾で拭いていた。

ていうかこの人、今頼りになるって言わなかった?

私、もしかして期待されてる!?

そうと分かれば、やることはひとつ!


「いい!? 寺濱直樹! 姫野と一緒に出かけるってなった以上、絶対に告白はしてもらうわよ!」


「ほ、本気ですか!?」


「当たり前でしょ! そうと決まれば、練習よ! 私を姫野だと思って! さあ早く!」


「ええええ!?」


その後私と彼との告白練習は、日が落ちるまで行い続けたー


(つづく!!)

何もかも普通すぎる、直樹君の特徴がへたれです。

だからこそ柴乃とのやり取りは、

いつも楽しくて仕方ないです。

この作品では美男美女ぞろいなんですが、

直樹君はほんっとうになんもない

平凡な人なので・・・笑


次回、ついにその時が!?!?!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。