ep.39 デスィグナール・クエスト②
クリムゾン・グロリオサの姿がそこにあった。
ゴイモ谷の奥に来ていた三人。
以前からそこにアジトがあるという情報の元、来てみればもぬけの殻。
「ヴァルカスの奴。デタラメ言いやがって。」
少々。いや、かなりお怒りのヒイラギ。
「ヒイラギ様。ヴァルカスさんも言ってましたが、恐らくこの前のドロップ・リベレイション。あれが原因でこの場を離れたのかと。」
「わかっている。」
直ぐに型がつくと思っていたようだった、が肩透かしを喰らって、少し気が立っているようだった。
「ヒイラギさん。1度ギルドに戻って情報を洗い出して見ませんか?ですです。」
「ああ、そうしよう。」
リリィの転機でものすごくホッとしている様子のダウラが見て取れる。
____ギルドに戻ると一人の男に声を掛けられた。
「ヒイラギ君。」
振り返った先には、ギルド職員の服を着た男性が立っていた。
ラミラスだった。
「ラミラスさん。お元気になられたのですね。よかった。」
ぎこちない笑顔で返すラミラス。
きっと前に進もうとしているのだろう。
「ヴァルカスさんにちらっと聞いてね。俺の知っている情報で良かったらと思って。」
「それは、ありがたい。」
「ヴァルカスはデタラメしか教えないからな!」
どうやら先程のこと、相当根に持っているようだ。
意外と可愛い所もあるのですねヒイラギさん。
ラミラスが教えてくれた情報はこうだった。
叛逆夜賊のリーダーとは何度か合同クエストで一緒になった事があった。
【ジャフ・ラビラス】
元Sランク冒険者で職業は狂戦士。
防御を捨て攻撃に全振りしている。
大きな槍を使い、とても派手な戦闘スタイルなんだとか。
ラミラス曰くとても好戦的で戦場では誰よりも早く突撃を掛けていたようだった。
場をかき乱す。良く言えば相手を混乱される。
王都の出身で、もしかしたら王都周辺に潜んでいるかもとのこと。
ラミラスもメンバーのリストに目を通したが注意すべきはジャフ一人。メンバーが増えていなければ。
そしてラミラスは続ける。
「ヒイラギ君。いや。」
「クリムゾン・グロリオサのみんな。」
「ありがとう。」
深々と頭を下げるラミラス。
頭を下げたまま続ける。
「今、俺がここにいることが出来るのは君たちのおかけだ。本当にありがとう。」
三人は何も言わない。
何も語らない。
顔をあげたラミラスの前にあったのは。
三人の笑顔だった。
____王都へ辿り着いたグロリオサは、とりあえずギルド本部で情報を集めようとしていた。
ギルド本部に入るとざわつき始めるフロア。
昇格通達後初めて本部に顔出した、グロリオサの面々が来たのだからざわつくのも納得である。
「シブルク支部所属グロリオサです。」
「お嬢さん、少しお尋ねしたい事があるのですが。」
ダウラが受付で丁寧に聞く。
「クリムゾン・グロリオサの皆さん。お待ちしておりました。」
「こちら本部長からになります。」
差し出された紙には叛逆夜賊の情報が書かれていた。カリス・ローゼンからだった。
字はとても綺麗で読みやすい。
だが、何故であろう。読もうとすると彼の声が脳内再生されてしまう。
『クリムゾン・グロリオサ
今回の指名依頼、受けて頂き感謝する。
昨日、王都北の街道で行商人の荷馬車が襲われた。
私共の方で調査したところ叛逆夜賊の可能性が極めて高い事が確認できた。
ゴイモ谷のアジトから王都北のタカタン山の麓へと、拠点が移動したものと思われる。
相手にはSランクも含まれている。
くれぐれも気をつけてくれ。』
『追伸。
君たちの活躍が楽しみで楽しみで仕方がないよ!夜も眠れないほどに!!
早く報告を持ち帰って来てくれ!!
その際には僕に1番に報告を頼むよ!!』
やはり。と言うべきか。
追伸に気味の悪さが滲み出て、いや。
全面にでていた。
「ヒイラギさん。どうします?ですです?」
「すぐにでも向かいますか?」
少しだけ考えた様子のヒイラギ。
「いや、仕掛けるなら夜。しかも雨の日。」
「我らの存在も消せる。」
「今回は全員の捕縛も依頼内容に含まれているからな。動くならその時だ。」
「なるほどですです!」
「それまでは少しでも有益な情報を集めるのですね!」
「ああ。そういうことだ。」
グロリオサと叛逆夜賊が対峙する。
その時が刻一刻と近づいている。
____叛逆夜賊の拠点では毎晩、宴が開催されていた。
「今回も美味しい荷馬車でしたねぇ!頭ぁ!」
「ああ!次も上手くやるぞ!冒険者なんて辞めて正解だ。
あんな儲からねぇ仕事やってるやつは馬鹿だよ!馬鹿!」
「ハッハッハ!!!」
「おらおらー!飲め飲めー!」
ジャフの過去に何があったのか。
何故冒険者を辞めて賊に下ったのか。
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では、また次回。




