90 軽いフリして、本気
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じゃあね、優奈!楓!また明日ー」
手を振って別れたあと、あたしは結城の横に並ぶ。
「ねぇ」
「ん?」
「優奈のことどう思っているの?」
「は?」
分かりやすい反応。ほんと面白い。
「別に深い意味はないよ。ただ普通に気になっただけ」
「普通だよ……ただの友達」
「ふーん」
少しだけ間を置く。
「じゃあさ」
あたしはわざと、すこし顔を近づけた。
「私のことは?」
顔の距離、近すぎ。
思わず結城は一歩引いた。その反応だけで、ちょっと満足する。
「……近いって」
「えっー、避けた?」
「避けてないよ」
ちょっとムキになるのも、相変わらず。もう少しからかっちゃおう。
「で?どうなの」
逃がさないように、あたしはそのまま目を覗き込む。
「別に……原田さんは原田さんだよ」
「なにそれ」
思わず笑う。
「雑すぎ」
「じゃあなんて言えばいいの!」
困ってる顔。ほんと面白い。
……でも。
「優奈は特別?」
一瞬だけ、空気が変わる。
「……」
黙った。
……あ、今の沈黙。
分かりやすいな、ほんと。
「ふーん、そっか」
あたしはわざと、あっさり引いた。
それ以上踏み込まない。
「ま、いいや」
くるっと前を向いて歩き出す。
「え、いいの?」
「なに?もっと聞いてほしい?」
振り返って、にやっと笑う。
「顔に出てるよ、結城」
「出てない」
「出てる出てる」
軽く笑いながら、少しだけ距離を詰める。
「でもさ」
さっきより少しだけ、声を落とす。
「優奈だけ見てると——」
ほんの一瞬だけ、息を止めてから。
「もったいないよ?」
私は軽く笑いながら距離を詰める。
そのまま、袖をほんの少しだけ引いた。
何事もなかったみたいに前を向く。
……せっかく、二人きりだったのに。
もう少しくらい、攻めてもよかったかも。
ま、いいか。
次は、ちゃんと取るし。
次回もよろしくお願いします!




