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「貴方、仮にも白金さんのお兄さんなのに、こんな事して、全く恥ずかしくありませんか?」



俺は今、正座をしながら、ある人物に説教を受けている。


時は遡り


「じゃあ、留守番お願いね」

「うん、わかった。気をつけてな」


夏木は笑顔で手を振り、買い物へ出かけて行ってしまった。


そして、一人家に残った俺は、リビングでお菓子を食べながらゲームをしていた。


最近、あるゲームが発売され、俺は今そのゲームに没頭中だ。


そんなときだ。


俺の家のインターホンが鳴った。


先ほども言ったが、夏木は今、買い物中のため、家にいるのは俺だけ。


ゲームをしていた俺は、出たくなかったが、俺しかいないため渋々俺が出た。


「こんにちは、そちら、白金さんのお宅でしょうか?」


「は、はい」


「あ、あの夏木ちゃんはいますか?」


と俺の前に現れたのは、茶髪交じりのショットヘヤーの女性と、黒髪のロングヘアーの女性。


一人は、なんだか、恥ずかしそうにしており、俺と目を合わせようとしないが、もう一人は、凛とした姿勢で俺を見てくる。


なんか、二人は対照的な印象だ。


「ごめんなさい、今、夏木は買い物に出ていて、いないんですよ」


「そうですか……なら改めて、出直します」

「し、失礼します!」


と二人は帰ろうとした。



「あの、すぐに夏木は帰って来ると思いますので、どうぞ家に上がりませんか?」


夏木は、近くのスーパーに行っただけだし、せっかく来てくれた二人をすぐに帰すのは悪いと思い、俺は二人を引き止めることにした。


「どうぞ、汚いリビングですが……」


「もしかして、これは最近発売された、シュマブラ!」


と机の上にあったゲームソフトをとると、ショートヘアーの女の子は目を輝かせていた。


「あの、夏木が来るまでの間、良かったらやります?」


「えっ!?良いのですか?」


「別に構いませんが……」


「では、お言葉に甘えて……」


と言うと、ショートヘアーの子はゲームを始めた。


「あのー、良かったらどうですか?えっと……」


「私の名前は柊。そっちのゲームをしているのは、双葉 璃子さん」


「そうですか……あの、ひいらぎさんも、良かったら……」


「大丈夫です。それよりも、お手洗いを貸して頂きたいのですが……」


「それなら、リビングの扉を出て、突き当りの右の方に」


「分かりました」


と言うと、柊さんはお手洗いに行った。


なんだか、柊さんは、クール女子ていう感じで、近寄りがたい存在だ。


一方、双葉さんはゲームに夢中だ。


「そこだ!」「とりゃ!」と子供のようにゲームをする双葉さん。だが、俺が見る限り、この人かなりの猛者だ。


動き一つ一つに無駄がない。


双葉さんがやっている姿を見ていると、俺に気づいた双葉さんが言った。


「良かったら、一緒に対決でもしませんか?……」


勝てるかは分からない。


けれど、かなりの実力者と勝負出来るなら、やってみたものだ。


「やらせてもらいます」


と俺は双葉さんが座ってる横に行こうとした。


だが、俺はやらかしてしまった。


「あっ!」


俺は目の前の双葉さんの方に倒れこんで……


目の前にドアップに映る双葉さん。


双葉さんは顔を真っ赤にし、とても驚いている。


「……!」


「す、すみません!つい足を滑らせてしまって!」


と慌てて後ろに下がると、誰かにぶつかったのだが……


もしかして


「白金さんに遺言はありませんか?……」


と腕を組み俺をゴミのように見下ろすのは柊さんではありませんか!


やばい、柊さんは絶対に双葉さんを襲っていると思っているに違いない。これは、何とかして、誤解を解かなければ!


「あの、ですね、柊さん。これは事故なんですよ!」


「では、なぜ、双葉さんは震えているのでしょうか?双葉さん事情を聞かせて下さい」


と柊さんは双葉さんに事情を聞き始めた。


「わ、私今、この人に襲われました……」

「ちょ、ちょっと!双葉さん何を!」

「決まりですね……では、白金さんのお兄さんは、私の前で正座をして下さい」

「えっ、どうしてそうなるのですか!」

「いいですから!正座をして下さい」


と言われたので、俺は、柊さんの前で正座をする羽目になった。

そして、柊さんは俺を見下しこういった。


「貴方、仮にも白金さんのお兄さんですのに、こんな事して、恥ずかしくありませんか?」


ーー現在ーー


「だから、あれは事故で!」


「まだ言い訳をするおつもりですか・・・・・・全く救いようないクズですね。こんな姿を見た白金さんは、一体どんな思いをするのでしょうかね?」


必死で事故だと言っても、信用してくれない柊さん。

一体、どうしたら信用してくれると言うのだろうか



と必死に弁明していると「ただいま」と声が聞こえた。


災厄のタイミングで帰ってきてしまった夏木。

柊さんが言っていた「こんな姿を見た夏木さんは一体、どんな思いをするのでしょうね?」と言う言葉を思い出す。


「おにぃ、どうしたの……」


俺が柊さんの前で正座をさせられている所を見て、動揺していた。


そんな夏木に対しても、容赦なく柊さんは言った。


「白金さん。あなたのお兄さんは、貴方の友達に手を出すほどのゲス野郎ですよ」


「だから、違う!・・・・・俺は」

「まだ言い逃れを!白金さんからも!」


すると、夏木が俺を優しく抱きしめてきた。

そして、頭を撫でるとこう言った。


「大丈夫。おにぃがそんなことをしないくらいわかっているよ」


まるで、今の夏木は、女神のようだ。

夏木は、双葉さんの方へ行き、双葉さんの手を握った。


「ごめんね、璃子ちゃん。おにぃ結構ドジで、こういう事もあるの。だから許してください」


「ほ、本当なの夏木ちゃん。」


「うん、ほんと。だっておにぃは、人を襲うなんてこと出来ないもん!」


と双葉さんに満面な笑みを浮かべた夏木。

そして、今度は柊さんの方を見ると、柊さんの方へ進む。


「柊さん、私のおにぃの悪口を言わないでくれます?私、すごく悲しいです……」


「ご、ごめんなさい。でも!」


「分かっている。これも璃子ちゃんを守るためにやったんだよね?」


「そ、そうです」


「偉い!柊さんは友達思いで偉いよ!」


と夏木は柊さんの頭を撫でる。


「そんな、褒めたとことで……」


と言っているが、柊さんはまんざらでもないほど、笑みを浮かべている。


そして、俺と目が合うと柊さんは我にかえり、「白金さん、もうやめて下さい」と言うのであった。


「そういえば、二人はどうしてここにいるの?」


すると、柊さんと双葉さんは、互いを見てほほ笑んだ。

そして、柊さんがあるものを夏木に渡した。


「もう少しで、お誕生日ですよね。だから、これ、私達からの招待状です」


「えっ、これって」


「そうです。これは、私達からの招待状です」


「この日、予定空いてますか?……」


「な、夏木ちゃん!」


「白金さん、どうしたのですか?」


驚く二人。

夏木は、今、二人を抱きしめていた。


「二人とも、ありがとう……私、とても嬉しいよ……」


夏木は、涙を流している。

だけど、すぐに涙を拭くと、満面な笑みを浮かべ「この日は、大丈夫だよ!」と答えるのであった。



「では、この日に私達がお待ちしていますので、楽しみしていてください」


「はい!」


「あ、あの夏木ちゃんのお兄さんにも……」


双葉さんから俺は、あるものを受け取った。

双葉さんから受け取ったものは、何かのチケットだが……


「これ、夏木さんの誕生日パーティーのチケットです。ぜひ、一緒に来てください」


と笑顔で、チケットを渡す双葉さんに対して、柊さんは俺を睨みつけていた。


――玄関にて――


「では、お邪魔しました」

「今度は遊びに来てね!二人とも!」


「はい!またシュマブラやりに来ます!」


こうして、二人は、俺の家を後にした。


「夏木、ちょっと出かけてくる」


「えっ、うん。気を付けてね・・・・・」


その後、俺は二人の後を追いかけて行った。

この二人にはある提案をするとともに、この二人が、恵理が言っていた、夏木の友達だろう。

だから、この二人を何としてでも誘い出さなければ・・・・・・


「あの、二人とも!」


「何でしょうか?白金さんのお兄さん」


「実は、このパーティーなんだけど、これ、俺の家でやってくれないかな?」


読んでくれてありがとうございます!

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